何が問題？ 高級カーシェア投資問題、従来の個人間方式と何が違っていたのか

■カーシェアには個人間と法人と2種類あり

　ニュースなどで話題となっているスカイカーシェアの「高級カーシェアの投資詐欺問題」。
　
　この高級カーシェアは、個人間カーシェアの形式をとるものの、エニカに代表される個人間カーシェアリングサービスとは諸々の内容が大きく異なっています。
　
　では、法人カーシェア（レンタカー型カーシェアリング）や従来の個人間カーシェアとは、どのような違いがあるのでしょうか。

　2020年10月8日に600名以上の投資者に対して、事業停止の連絡をおこなったことから明るみに出てきたスカイカーシェアの経営破綻問題。

　実際、カーシェアリングサービスには、大きく分けて「法人カーシェアリング（レンタカー型カーシェアリング）」と「個人間カーシェアリング」の2種類があります。

　レンタカー型カーシェアリングとは、タイムズやオリックスなどの法人が運営するカーシェアサービスです。

　運営会社が用意した車両を時間単位で貸し出すサービスで、レンタカーと同様に自家用自動車有償貸渡業となるため、道路運送法第80条第1項による許可が必要で、ナンバーもレンタカー同様「わナンバー」となります。

レンタカーと違って、短時間（10分から15分単位）から利用可能で、コインパーキングやマンションのシェア車両専用区画などにて24時間(例外あり)無人で貸し出しや返却が可能です。

　近年はホンダの「Every Go」や日産の「e-シェアモビ」など自動車メーカーが展開するカーシェアリングも人気を集めています。

　一方で個人間カーシェアリングは、法人が運営するカーシェアリングアプリなどを介して、個人オーナーが提供する車両をドライバーがシェアする形態のカーシェアリングです。

　共同使用という観点から「わナンバー」として登録される有償貸渡業とはなりません。

　シェア料金は「月額維持費の1日分」という設定になるため各オーナーが自由に設定できます。

　個人間カーシェア最大手のエニカでは、車種、年式、購入価格、自動車保険料、駐車料金など、車両購入に関わる費用や月々の維持費などを専用サイトで入力して上限のシェア料金が自動的に算出されます。

■問題の高級カーシェアとエニカはどこが違う？

　個人間カーシェアリングを標ぼうするスカイカーシェアと業界最大手のエニカのシステムではどこが違うのでしょうか。

　各項目について解説します。（スカイカーシェアの契約内容や条件は、契約時期によって異なるケースがあります）

　シェア車両の購入や選択において、エニカでは、これまで所有してきたクルマをシェア車両として使うオーナーが一般的ですが、カーシェアとしての運用を主目的にクルマを購入するケースもあります。

　一方のスカイカーシェアでは、スカイカーシェア側がオークションなどで仕入れた車両を投資者にあてがいます。

　多くの場合、スカイカーシェアに関連する中古車販売店を通じて投資者に販売する形態で、投資者はプレミア、イオン、アプラス、BMWファイナンス、ジャックス、オリコなどの信販会社のほか、福島銀行、武蔵野銀行などの銀行から融資を受け、ローンを組んで購入する流れです。

　実際はスカイ側が月々のローン代、自動車保険料などを投資者の口座に毎月入金し、数日後に投資者の口座から信販会社や銀行にローン代金や自動車保険料として引き落とされます。

　車種はメルセデス・ベンツ、ポルシェ、BMW、アウディ、レクサス、マセラティなどで、一般的に「高級車」に位置付けられるブランドの中古車ではありますが、過走行車、事故車など価値が低い車が大半を占めていました。

　また、シェア車両の運用方法は、エニカでは車両を所有するオーナーが登録し、ドライバーとして登録した人が好みの車両をシェアする形式ですが、スカイカーシェアでは投資者にローンを組ませて中古車を購入。運営会社がシェア車両として運用する形式となっていました。

　車両の貸し出しと返却では、エニカの登録ドライバーがアプリを介して好みの車両を予約し、オーナーとドライバーがアプリのチャットなどで連絡を取り合い受け渡しや返却場所を決めておこなっています。

　一方でスカイカーシェアでは、ドライバーがアプリで予約をおこない、都合の良い場所（駅前など）までスカイのスタッフがクルマを持ってくる方式です。

　カーシェア利用料については、エニカがクルマの年式や車種、維持費をもとに設定された上限価格以下でオーナーが自由に設定可能。

　スカイカーシェアでは「レンタカーより安く高級車に乗れる！」がアピールポイントで1日24時間あたり7000円から、月単位では7万円台から30万円台。利用料金はスカイカーシェアの運営側が車種や車格に合わせてレンタカーより安い価格で決めていました。

　車両の維持について、エニカではクルマを個人で所有するのと同じく、オーナー自身が車検や点検、日々のメンテナンスをおこないます。

　スカイカーシェアでは、投資者が車検証上の使用者名義人となっていても、車両はスカイカーシェア側に完全に預ける形となり、車検や故障修理、自動車税の納付などもすべてスカイカーシェアがおこなっていました。

　シェア利用時の自動車保険について、エニカではドライバーは必ず指定の1日自動車保険に加入することになっていますが、スカイカーシェアでは、シェア車両を使うドライバーが1日自動車保険に加入する形になっていたが、投資者の名義で契約された自動車保険（ほぼ全車、あいおいニッセイ同和）もあり、事故などの修理費用として1日自動車保険でカバーされる範囲を超えた場合などは、こちらの保険からも支払われていました。

　そして、気になる部分のカーシェア利用に対する報酬です。

　エニカでは、自ら設定したシェア料金が報酬として受け取れます（そのうち10％が手数料としてエニカ側に支払われる）。

　スカイカーシェアでは投資者に対する報酬は以下のとおりです。

・契約時に車両購入代金の1割（サービス開始当初は一律34万円）
・毎月1万円（契約時期によってはシェア利用された料金の5％）
・7年後、契約期間満了時に100万円（2年契約のケースもあり）

　これ以外に投資者がスカイカーシェアで好みのクルマをシェアする場合は、通常料金の半額（5000円程度）で利用できるなどの特典がありました。

Comments

保険会社が気づくハズ　保険会社＝金融庁だが
投資サギと言えばそれで終了だが　そもそも保険会社が個々の契約でおかしいと見抜けなかった訳が無い　何故なら同じナンバー車台番号の車検証で保険契約を１度づつして顧客に貸していた訳だから保険会社もそうとうグレーでしょう　高級車ですから車両保険なども付帯しているので事故した時にも本当の使用者の状態なども分かっていたハズでしょう　包括契約だとすればかなりの保険料ですから明らかにおかしい　現に壊れた車が置いて有るという事は何度か対応した事でしょう　陸運局ではワナンバーで届けていない限りはおそらく何も予知できないと思うが