10年過ぎたら毎年車検!!
排気量251cc以上のバイクには「車検」があり、2年に1度とはいえ経済的な負担があるのも事実。ところが以前は毎年車検を受けないとならない「1年車検」なるものがあった。手間とお金がしょっちゅうかかるし、じつはいまどきの旧車価格にも影響している……かも!?
【懐かしのバイク用語 Vol.1 燃料コック】「昔は燃料警告灯なんてなかったよね…… 」
バイクやクルマは長く乗るほど扱いが厳しくなる…
―― 251ccを超える小型二輪車に付帯する自動車検査証、略して「車検証」。登録番号(ナンバー)や車両の種別の他、車両のデータや所有者などが記載される。車検が切れる日は「有効期間の満了する日」として表記される。23年1月4日からはA6判サイズにICタグの付いた電子車検証になる。
春はツーリングシーズン到来の喜びと共に、気が重くなる自動車税の季節でもある。四輪車は初年度登録から13年(18年でさらに)を過ぎると重課税される(税金が高くなる)ことから、旧車好きや愛車を長く乗っているユーザーから不満の声が上がっている。
その点、バイクは自動車税の重課税は無いモノの、車検時に支払う重量税は13年以上/18年以上で高くなっていく。数百円の重課税とはいえ、なんとなく納得しがたい感がある……。
ところがかつては、古くなったバイクや車に対してもっと厳しい制度があった。新車から10年過ぎたら、毎年車検を受けなければならない、いわゆる「1年車検」だ。そもそも10年なんて旧車とは言えず「ちょっと古い」程度。それなのに毎年車検に出す手間とコストは、ユーザーにとってけっこうな負担だった。
10年経つと車検のスパンが短くなる!?
車検とは、正式には「自動車継続審査」のこと。道路運送車両法によって、バイクの場合は251cc以上の小型二輪車に法令で義務付けられている。車検が切れていると公道を走行することができず、違反すると厳しい罰則がある(違反点数6点で30日の免停。同時に自賠責保険も切れていると、さらに違反点数6点で合計12点になり120日の免停。もちろん罰金も科せられる)。そんな車検だが、道路運送車両法の改正によって、何度か制度が変わっているのだ。
バイクの車検の変遷
図のように、1995年までは新車から10年を過ぎると毎年ごとに車検を受ける(いわゆる1年車検)必要があった。この制度は95年の改正で車検は永続的に2年毎に変わった。これは旧車ファンならずとも多くのバイク、クルマユーザーに歓迎された。
さらに2007年からは、新車登録から初回の車検が3年に延長された。ちなみにこの「初回3年」だが、自家用自動車(四輪車)は24年も前の1983年に改正されている。これもなんとなく不公平感が……。
製造技術の進化で丈夫になった
そもそもなぜ「1年車検」という制度があったのか? そしてなぜ改正されて永続的に2年毎になったのか?
これは端的に言えば製造技術(設計や素材なども含む)の進化によって、昔よりバイクが壊れにくくなったから、というコトだろう。時間経過による故障率の根拠はともかくとして、昔は10年を過ぎたら壊れる可能性が高まるから毎年車検でチェックしよう……だったのが、それほど壊れなくなったから車検の有効期限を延ばしても大丈夫、に変わったわけだ。
じつは初回の車検が3年に延長された2007年は、他にも点検に関わる改正があった。バイクや自家用自動車は車検とは別に12カ月ごとの法定点検があり、07年以前は新車登録から6カ月の「初回点検」も義務付けられていたが、この6カ月初回点検が廃止。
またバイクに乗る前に必ず行うよう義務付けられていた「運行前点検」も、使用者自身の判断で走行距離や運行時の状況から適切な時期に行う「日常点検」に変わった。このことからも、昔よりバイクが丈夫になり壊れにくくなった、と公的にも判断されたことがわかる。
1年車検は絶版旧車のタマ数にも影響
ここまでは「1年車検」の昔話だが、じつはコレが近年人気の絶版旧車のプライスにも少なからず影響しているのだ。
中古車情報のWEBサイトで、カワサキのZ2やホンダのCBX400Fなど人気の旧車の価格を見ると、目を疑うような高額のプライスが付いている。その理由は「需要と供給のバランス」で、ようするに人気があるのに『タマ数が少ない』からだ。登場してから長く時間が経っているので、壊れたり事故で廃車になったりして徐々に数が減っていくのは当然だが、ここに1年車検が関係してくる。
まず当時乗っていたユーザーにとっては、新車から10年経過して1年車検になることで経済的な負担が増すので、手放す人が増える。当然ながら中古車として販売するにも1年車検はデメリットでしかない。そのため、よほど走行距離が短くて程度が良ければともかく、それなりにヤレて距離が伸びた車両は、順次廃車にされてしまったのだ。車検を通さずに放置されて傷んだ車両などは、なおさら廃車の対象になった。
「そんなもったいない話があるか!」と思われるかもしれないが、たとえばカワサキのZ2初期型が10年経ったら1983年なので、バイクブームの真っただ中。まさに高性能モデルが日々ラインナップされる状況下の当時としては、現在大人気のZ2も「低性能な古いバイク」でしかない。生産から10年そこそこのバイクは旧車としての人気も無かったのだ。
車検制度が改正された1995年から10年逆算すると、1980年代初頭までのバイクは1年車検の餌食になって、その時点で少なからず姿を消した。これが現在のタマ数の少なさの一因でもあるわけだ。
―― 1973年 カワサキ 750RS[Z2]
今でこそ超人気の絶版旧車だが、80年代はバイクショップの中古車コーナーで埃を被り、ヒトケタ万円で売られていた。また海外から中古輸入したZ1をキレイな売りモノにするための「部品取り」にも使われて激減してしまった。
―― 1979年 ホンダ CB750F
CB750FOURやカワサキZ2と比べたら新世代で、中古車価格も80年代から相応に高めだった。当時は大人気で沢山走っていたが、現在は中古車サイトで見てもタマ数の少なさに驚く。
―― 1979年 カワサキ Z400FX
400ccの4気筒ブームを作った立役者で、角張った硬派なスタイルも大きな魅力。当時から盗難ややんちゃな改造も多かったので、1年車検で廃車になったモノも多かったと推測。
―― 1981年 ホンダ CBX400F
当時のホンダの最新技術を余さず投入した高性能400はレースでも活躍。再販した2型は1984年10月発売なので、ギリギリで1年車検の対象にはならなかった。
車検は延びたけれど、メンテナンスは忘れずに!
というワケで、1年車検で絶版旧車のタマ数が減ったのは残念としか言いようが無いが、バイクが丈夫で壊れにくくなったおかげで車検制度が見直されたのは喜ばしい事実だ。……とはいえ、乗っていればどこかしら消耗するし、時間が経てば故障の可能性も高くなるし、まったくの手放しではキチンと安全性や性能を維持できない。
さすがに「壊れないから車検に出さなくてイイや」というライダーはいないだろうが、12カ月ごとの法定点検は受けなくても罰則が無いので、点検に出していない人も見受けられる。しかし法定点検を受けていないとメーカー保証が無効になる場合もあるし、なにより安全性が担保できないので、メンテナンスの重要性は忘れないようにしよう。
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みんなのコメント
私のSR500初期型は78年式10年過ぎて1年車検になるときに廃車をを考えたが丁度1年車検から2年車検に改定されて継続できた。今も現役で稼働中ですよ。
俺の記憶では中古のCB750Fなんか30万位でいくらでもあったと記憶してる(でもZⅡ、Z1000R、CB750Four、CB1100Rなどはそれなりに高かった)。
今は教習所で大型自動二輪免許取れるから、乗れる人が増えて需要に中古の旧車の供給が追いつかなくて高くなってるんだろうね。