現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【比較試乗】「メルセデス・ベンツ Gクラス vs アウディ Q8 vs BMW X7」三車三様の特別感

ここから本文です

【比較試乗】「メルセデス・ベンツ Gクラス vs アウディ Q8 vs BMW X7」三車三様の特別感

掲載 更新 118
【比較試乗】「メルセデス・ベンツ Gクラス vs アウディ Q8 vs BMW X7」三車三様の特別感

ここではフラッグシップSUVについて考察を行った。本来ならメルセデスはGLSとなるが、堂々たる風格と価格帯、そして国内マーケットでの人気と知名度からGクラスを選出し、2列目にキャプテンシートを備えた豪華絢爛なX7、そしてクーペボディで走りの洗練さに磨きをかけたQ8と比較を行い、各々のスペシャリティを探った。

6発ディーゼルを積みGの魅力はうんと増した

【国内試乗】「BMW X7」最上級のもてなしは、セダンからSUVの時代!?

時代が変わった。いまや街中を最新の7シリーズロングで走っても見向きもされないけれど、X7なら相当に目をひく。横に並んだ内外のSUV乗りが目を向く。対向するBMW乗りが口を開けているのがはっきり分かる。 SUVがスペシャリティではなくフツーの乗用車となって久しい。コンパクトからラージまで、今やパーソナルカーのファーストチョイスだ。ゆえにセダン全盛時代がそうであったように、クーペが生まれ、高性能グレードが望まれる。そして、超高級なトップグレードも誕生する。SUVという名の山の裾野が広がったのだ。

そんな現代のSUV山頂に君臨する3台、すなわちセダン時代と同様に、ドイツのプレミアムブランド御三家の用意した3モデルを比較してみることになった。アウディQ8、BMW X7、そしてメルセデス・ベンツGクラスである。

メルセデス・ベンツの場合、GクラスではなくGLSクラスという手もあったが、モデルチェンジしたばかりであいにく最新モデルが上陸していない。それならばいっそGLSよりも日本では人気のGクラス、しかも待望のディーゼルターボ350dが導入されたばかりで、これをぶつけてみようということになった。このクラスもまたメルセデスが先鞭をつけた得意分野であり、さしずめアウディとBMWは挑戦者と言っていい。 ちなみに、新型GLSクラスはさらに巨大で、まず間違いなく名実ともにSUV界のSクラス級クォリティとなっているだろう。新興勢力に対するGクラスとGLSクラスによる挟撃。メルセデスの戦略に今のところぬかりはない。 では、その隙のないメルセデス・ベンツの人気者、G350dから乗り込もう。スタイリングをはじめ、随所にロングセラーモデルの面影をたっぷりと残した現行Gクラス。辺りに響くロック解除音はそのたびにドキリとするが、オーナーになれば気にならなくなるのだろうか。かなり大きな音だ。

随分とモダンになったインテリアを眺めている限り、その視界の高さとノーズの見切りの良さ以外にGクラスらしいと思うところはもはやない。けれども、ひとたび動き出したなら、話は別だ。

これでも乗り味は随分とモダンになった、とはいうものの、やはり最新の乗用SUVとはひと味もふた味も違っている。クロカン四駆時代の名残が随所にあって独特だ。ひと言でいうと、タッパを感じる。クセがあるのだ。地上高、サスストローク、車高などなど、車体にまつわる全ての高さが、他の最新SUVとは違う。当然、それは物理量なので走りに影響を与える。最新のGクラスは高さによるネガを削ぎ落とす設計や制御としたが、完全ではない。けれどもそこがまたGの魅力で、特に今回、6発ディーゼルを手に入れて、その魅力はうんと増した。メルセデスのこのディーゼルターボは、本当に洗練されており、とろけるような味わいに充ちていた。

走りに一抹の古めかしさを感じるのは低速域のみで、速度にのってくるに従い、そのライドフィールはどんどんモダンになっていく。これはもう劇的というべきで、首都高のカーブを流れにのってクルーズするような場面では、以前のGクラスとは別次元の動的一体感をみせた。なるほど、個性派SUVとしていまだ随一の存在だ。

X7は大きな体躯ながら走りは紛れもないBMW

X7もまた、その巨体に似合わずブランドの個性を体現している。つまり駆けぬける歓びがあった。これには本当に驚かされた。

見た目にはほとんどミニカリナンというべき存在感である。特に巨大なフロントマスクは新時代のBMWラグジャリーを表現するもので、冒頭にも記したように、街中では相当に注目を浴びた。

室内は8シリーズなどと共通するモダンさで、その角張ったスタイリングのままに広々とした空間と相まって、Gクラスとは異質の空気が流れていると言っていい。X5とは違って、非パーソナルな雰囲気さえ漂う。走りをがんがん楽しもうなどという、BMWらしい気分にはなってこない。

ところが、だ。いざ走り出してみれば、これがもうちゃんとBMWらしいから驚いてしまったのだ。外から見たときの大きさ感は動き始めた瞬間に消え失せて、ちょうど7シリーズが5シリーズのように走ってくれたように、X7もまたX5のように走り出す。

BMWの6気筒ディーゼルには、力強さとともにレスポンスの良さを楽しむという他のディーゼルターボにはない魅力があった。これが、ハンドリング性能の良さと実に素晴らしいコラボレーションをみせるからファンなのだ。高速コーナリング中の確かな手応えもまた、BMWのSUVらしい。

Q8もまた、アウディらしさがたっぷりとあった。面白いことに、Q8と比べると、X7とGクラスの走りは“同じ側”にある。低速域におけるQ8のドライブフィールがそれだけ異質なのだ。これは、7シリーズやSクラスに比べてA8のライド感がまるで違ったこととよく似ている。

Gクラス、X7と乗りついでからQ8に乗ると、その軽快な足のさばきにむしろ戸惑ってしまった。ボディサイズなりに予想される重厚な感覚がないからだ。ポルシェ・カイエンにはあった“動きのため”がまるでない。その意外性がまた、実にアウディらしい。

それでも首都高のクルージング領域に入ってしばらく経てば、次第にそのドライブフィールにも慣れてくる。四肢を踏ん張らせて、路面をくわえこむようにして走る感覚はアウディ・クワトロの真骨頂で、そう感じるころにはもうボディサイズのことも忘れて“ミズスマシ”のように高速コーナーをクリアするQ8の走りと、クリーンでスムースなエンジンフィールに快感を覚える自分がいた。

さすが独プレミアムブランドのフラッグシップSUVだけあって、その巨大なボディサイズに関わらず、ブランド特有のドライブフィールを実現していた。安心のメルセデス・ベンツに、快感のBMW、そして軽快なアウディ。内外装の見映え質感は甲乙付け難いレベルにあって、これはもう、好き嫌いで選んでもらう他ない。ビッグサイズの頂上SUVであっても、妥協することなくブランドの走りを注入する。その開発姿勢こそがプレミアムブランドの矜持であり、また個々の開発哲学の現れというべきだろう。

【Specification】AUDI Q8 55 TFSI QUATTRO DEBUT PACKAGE S LINE

■全長×全幅×全高=4995×1995×1690mm
■ホイールベース=2995mm
■車両重量=2210kg
■エンジン種類/排気量=V6DOHC24V+ターボ/2994cc
■最高出力=340ps(250kW)/5200-6400rpm
■最大トルク=620Nm(51.0kg-m)/1370-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=前後ウイッシュボーン
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ=前275/50R20、後285/40R22
■車両本体価格(税込)=11,220,000円

【Specification】MERCEDES-BENZ G350d

■全長×全幅×全高= 4660×1985×1975mm
■ホイールベース=2890mm
■車両重量=2500kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2924cc
■最高出力=286ps(210kW)/3400-4600rpm
■最大トルク=600Nm(61.2kg-m)/1200-3200rpm
■トランスミッション=9速AT
■サスペンション=前Wウイッシュボーン:後リジットアクスル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ=前後265/60R18
■車両本体価格(税込)=11,920,000円

【Specification】BMW X7 xDrive 35d DESIGN PURE EXCELLENCE

■全長×全幅×全高= 5165×2000×1835mm

■ホイールベース=3105mm
■車両重量=2440kg
■エンジン種類/排気量=直6DOHC24V+ターボ/2992cc
■最高出力=265ps(195kW)/4000rpm
■最大トルク=620Nm(63.2kg-m)/2000-2500rpm
■トランスミッション=8速AT
■サスペンション=前Wウイッシュボーン:後インテグラルアーム
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ=前後285/45R21
■車両本体価格(税込)=12,290,000円

関連タグ

こんな記事も読まれています

レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
レクサスの末っ子LBXに、次世代モダンインテリア空間を表現したElegantが新登場
カー・アンド・ドライバー
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
荷台が“伸びる”ダイハツ「斬新軽トラ」登場! “画期的”発想の「超ロングボディ仕様」がスゴい! まさかの「実車化」果たした衝撃のモデルでWRCをサポート
くるまのニュース
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
新車で買える!? トヨタ「シエンタ“SUV”」がスゴイ! 5人乗り仕様もある「小型SUVミニバン」が台湾で人気すぎるワケとは
くるまのニュース
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
「トイレに行きたいのですが…駐めちゃダメ?」 高速にある「謎のバス停」 SNSでは「一般車が進入していた」の声も どんなルールなの?
くるまのニュース
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
運賃交渉すれば“村八分”にされる? 荷主を過剰に気遣う中小運送の社長たち、本当に守るべきは誰なのか?
Merkmal
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
ホンダ「ADV160」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
いやこれは凄いわ……[EV]の歴史に残る一台が韓国から出ている件
ベストカーWeb
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
軽自動車ってのが凄すぎる…! 世界に誇れる自動車と言えば[スズキ ジムニー]でしょ! 
ベストカーWeb
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
レッドブル&HRC密着:突貫工事でリヤウイングを修正。マシン性能を出し切っての予選5番手にフェルスタッペンも満足
AUTOSPORT web
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
ポールのラッセル「壁に接触、望みが消えたかと思った」マシンの速さについては「理由が分からない」/F1第22戦
AUTOSPORT web
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
次期デリカD5はこうなってほしい!! 唯一無二の価値を持つSUVミニバンへの期待
ベストカーWeb
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
フェルスタッペン予選5番手「ベガス用リヤウイングを作らないという方針がハンデに」タイトルには有利な位置を確保
AUTOSPORT web
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
佐藤万璃音、2025年もユナイテッド・オートスポーツからWEC世界耐久選手権にフル参戦
AUTOSPORT web
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
やっぱたまらんなV型エンジン!! [スカイラインNISMO]とレクサス[IS500]の[パンチ力]にひれ伏した件
ベストカーWeb
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
【角田裕毅F1第22戦展望】ファクトリーと現場の連携で活きたレッドブル製リヤサスペンション。改善の継続が7番手に繋がる
AUTOSPORT web
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
エバンスとの実質的な一騎打ちもタナクはトップ譲らず。ヌービルは7番手に挽回【ラリージャパン デイ3】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
メルセデス・ベンツCLE 詳細データテスト 快適で上質な走りが身上 動力性能と燃費効率はほどほど
AUTOCAR JAPAN
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
WRCラリージャパンSS12恵那での車両進入事案について実行委員会が声明。被害届を提出へ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

118件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

870.01560.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

288.83060.0万円

中古車を検索
Gクラス カブリオの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

870.01560.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

288.83060.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村