スパルタンな印象のFD2型シビックタイプRがベース
2003年登場なので、現在では古い部類に入ると思われるFD2型シビック・タイプR。インテグラを吸収した感のある4ドアセダンで、その後のモデルは限定の時期もあったため、今でも熱い思いのユーザーが多数いると感じているが、このFD2型もとんでもないタイプRだった。
レーシングドライバーもたまげた高性能! 伝説の「シビック無限RR」リバイバル試乗
本質がサーキットベストであり、4ドアセダンでありながらもあまりに走りに特化していた。そのために日常使いで買い物に行くような際には乗りたくないほどの本格派、どころか本物。それこそ箱根の峠道で撮影するときは、誰もがFD2のステアリングを握りたくなるのに、都内へ戻るときには譲り合いが起きるほど。とにかく峠道は最高に楽しいが、一般道での快適性を無視したのではないかと思うような乗り心地だったので、ホンダの本気をここに見た! などと感じたものだ。
ほぼ同時期のCL7型のアコード・ユーロRがあまりにもスポーツ性と快適性を高い次元で両立していたのにも関わらず、FD2はスパルタン。同じRでも「タイプ」と「ユーロ」でキチンと差別化がなされていた。まさにホンダの目論見道理の結果が得られたわけだ。
アクセサリー用品もヒットするほどの人気ぶり
そこで人気を集めたのがホンダ・アクセス。メーカー直系から発売されたダンバーはスパルタンなFD2の角を曲げてくれて、なんとも良い塩梅。タイプRからユーロRに変えられる5段階調整機構サスペンションキットを18万円以下(当時:税抜き)で販売したことから大ヒット。そんな新車記事を書かせていただいたが、のちにディーラーの知人に伺ったところ、ディーラーで新車時から装着できるこのアクセスのパーツが大人気に。
オプション品だから家族にばれずに装着できることも多いらしく、かつてないほど人気だったことから(ローンで支払うと月々の支払は変わらないぐらいに安いこともプラスに働いた)、知人に「あの記事のおかげです」と感謝されたことも覚えている。
刺激的な走りをさらに際立たせた限定モデル
そんなFD2にはスペシャルなモデルがあった。それが独立系ながらホンダのチューニングの顔として知られている「無限」が、一部の正規ディーラーにて300台限定で販売したのだが、すぐに完売。歴史的モデルとなる。前置きが長くなったが、無限初となるコンプリートカー、伝説のシビック無限RRを振り返る。
ホンダとは完全な別会社ながら、F1参戦経験もある無限が手掛けるパーツは、すでに高い評価を得ていてファンであれば誰でも知る存在。無限初となるコンプリートカーとして、このRR(ダブル・アール)は300台の限定発売となった。
特徴は、エンジンのカムプロフィールを専用として、ラム圧を稼ぐダクトレイアウトと大容量のエアボックスを持つ吸気システムを採用。排気マニフォールドと低排圧を達成するデュアル排気システムを備えることで、K20A型エンジンからプラス15psを達成する。最高出力は240ps/8000rpm、最大トルク22.2kg-m7000rpmを発揮。高性能なi-VTECエンジンをメカチューンでさらに磨き上げた。
減衰力5段調整式ダンパーと軽量かつ高剛性専用鍛造ホイールに、ブリヂストンと共同開発したポテンザRE070RRスペックというグリップ力が強大なタイヤの組み合わせもあって、走行性能と快適性を両立。ブレーキもスリット入りのローターや低膨張率のブレーキホースの採用で、ブレンボ製のブレーキキャリパーの性能を存分に発揮させる内容だ。限界性能はもちろん、コントロール性にもこだわった。
専用エアロパーツは空力特性も追求
外観はカーボンやアルミ合金を多用したことで軽量化を果たし、ベースモデルから15kgも軽量化。さらにエアロパーツはマイナスリフトバランスとなっているので、戦闘力は非常に高い。
室内も着座位置が変えられるレカロ社製の専用前席シートを採用。それに合わせたショートストロークのシフトレバーが操作性を高め、まさに劇速FFマシンに仕上げられている。
このシビック無限RRは、先に述べたように300台限定だけにあっという間に完売。一台一台手作業で作られるモデルなので、台数が作れないのは仕方がないのだが、それゆえにメルセデス・ベンツAMGのようにシリアル・プレートが備わる。つまり世界で自分のためだけに作られた一台が手に入るのだ。
価格は当時の税抜きで455万円。ボディカラーはミラノレッドというホンダ車では定番のカラーのみ。手に入れることができた方はラッキーだし、長く日本国内に残っていてほしいモデルだ。今日すれ違ったミラノレッドのタイプRは、もしかしたら世界に300台しか存在しない、そんな貴重モデルだったかもしれない。
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みんなのコメント
ちゃんと確認しろよ
発信できるチャンネルは増えたけど、質の低い書き手や記事が増えたのも事実だね。