■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
2022年年央に発売が予定されているトヨタ初の本格的EV(電気自動車)「bZ4X」のプロトタイプに袖ヶ浦レースウェイのコース上で短時間試乗することができた。「bZ4X」は、トヨタがスバルと共同開発したEV専用プラットフォーム「e-TNGA」を用いて開発されたEVだ。
運転性能、安全性、航続距離がアップしたホンダのビジネスジェット機「HondaJet Elite S」
バッテリーを床下に配置し、前後1基(出力109ps)ずつ2基のモーター(出力218ps)を搭載し4輪を駆動する4WD版と、1基のモーター(出力204ps)で前輪を駆動する2WD版の2車種が用意されている。EVで気になる満充電あたりの航続距離は、4WD版が約460km、2WD版が約530km。都市部在住で、自宅や職場で夜間に充電できるならば十分な距離だろう。
高速道路のサービスエリアやディーラー、商業施設などの外出先での充電に関しても、国内ではまだ数が少ないが今後の普及が求められている150kw級の急速充電にも対応が可能だ。
機械として優れているか? ★★★★ 4.0(★5つが満点)
ボディーサイズは、同じトヨタの「RAV4」より95mm長く、全高は60mm低い。全幅は20mm広いが、ホイールベールが160mm長い。車内のサイズは、前席と後席のヒール段差が「RAV4」よりそれぞれ55mmと40mm減じられているのは、フラットなフロアによるEV専用プラットフォームの恩恵だ。加えて前後シートの間隔も55mm伸ばされて広くなっている。
4WD版と2WD版をそれぞれ3ラップずつ走らせて印象に残っているのは、4WD版の安定感の高さと加速の上質感。2WD版の加速の軽快感だった。4輪で駆動するか、2輪で駆動するかの違いはコースでも感じることができた。回生ブレーキや、今まではスバル各車に装備されていた走行モード「Xモード」などは試すことができなかった。
商品として魅力的か? ★★★ 3.0(★5つが満点)
「bZ4X」には、内装の新機軸が折り込まれている。最初に眼に付くのは「トップマウントメーター」と呼ばれるメーターパネルで、ハンドルのずっと奥に位置している。開発者によれば、ドライバーの視点を遠方かつ上方にメーターパネルを設置させることによって、運転中の視線移動量を軽減させ、運転への集中しやすさと先進感を表現したものだという。
狙いは理解できるのだけれども、遠くなった分だけそれぞれの表示が小さくなり、見えにくくなってしまっている。同じようなメーターパネルにプジョー各車やアウディ「e-tron GT」のものなどがあるが、どちらも円形のステアリングホイールの円の上縁の一部分を切り取った形状にしていて、どうせならば「bZ4X」も異形のステアリングホイールを採用して徹底すれば良かったのではないか。
また、メーターパネル自体はフルデジタルパネルによる表示だが、用途によって切り替えることができない。2022年に発表されるクルマ(それもEV!)としては古すぎるのではないか。他のトヨタやレクサス各車などのメーターパネルは切り替えられて、用途に応じた的確な大きさの表示を行なっているのだ。ACCなどの運転支援機能をONにしてみても、画面上には自車を表すアイコンが小さなままなのは見にくく、とても使いにくい。
その一方で「bZ4X」には、トヨタの継続的な開発が実を結んでいる機能もある。オプションのソーラー充電システムだ。屋根に装備されたソーラーパネルで、駐車中には駆動用バッテリーを充電し、走行中にも12Vバッテリーに充電し、駆動用バッテリーの消費を軽減することができる。「プリウスPHV」のオプションとして2世代にわたり開発が続けられ、性能を向上させて「bZ4X」に設定された。
太陽光エネルギーで充電するわけだから、ランニングコストはゼロ。メインテナンスフリー。充電設備のないどんな場所でも、日照さえあれば充電可能。災害などの停電時でも電源確保が可能と、いいこと尽くめだ。
どれくらいの充電性能があるかというと、名古屋市の日照データを元にしたシミュレーション値によると1年間で1750km相当を走行できる。もし年間1750km以下しか走行しないというドライバーだったら、理論上、コンセントにプラグを差し込む充電は不要となる。それは極端な例としても、ソーラーパネルによる充電は、完全なグリーンエネルギーによって走行エネルギーを自給自足できるわけだから、さらなる性能向上を期待すると夢が広がっていく。
EVに限らず、最近のクルマは高機能&多機能化が著しいが、その反面、独自の機能や方法を持つクルマが少なくなっている。そんな時代にあっても、このソーラー充電システムは「bZ4X」の独自の個性になっている。今後も開発を続け、大切に育成してほしい。
「bZ4X」のプロトタイプコースを走って感じられた第一印象は良好だった。EVとして堅実にまとめられているが“EVという商品の新しさ”の魅力をもっと打ち出しても良かったと思った。パワートレインがエンジンからモーターに変わった以上の、存在としての新しさが表現されているEVを期待したい。
■関連情報
https://toyota.jp/info/bz4x/new/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)
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