製造時の環境負荷を打ち消すためには?
text:Jim Holder(ジム・ホルダー)
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translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
EVの製造に必要なエネルギー量と大気中に排出されるCO2は、ICE(内燃機関)車よりも多いという話は以前から議論の的となっている。昨年末、英国ではアストン マーティンやホンダが関与する「報告書」が大きな話題を呼んだ。
様々な自動車メーカーやサプライヤーの協力を得て行われた調査によると、製造時の消費エネルギーを相殺するためには、EVを約7万7000km走行させる必要があると推定されている。
著名なEVアナリストのアウケ・フックストラは、製造効率から利用可能なグリーンエネルギーの組み合わせまですべてを計算し、約2万6000km近いと推定する。
2020年11月、アストン マーティンやボッシュ、ホンダなどが関与したEVの性能に関する報告書について、「意図的にEVの性能を低く見せ、政策に影響を与えようとしている」としてタイムズをはじめとする英国の各紙が報じた。エンジン嫌いともいわれるガーディアン紙は、一面にこの記事を掲載した。
関係者にとっては見苦しいニュースだったが、この記事により、EVの製造時に必要なエネルギーとCO2排出量について議論が再燃した。
バッテリー製造時にCO2大量発生
EVの製造時、ICE車よりも多くのCO2が発生する。これを相殺する唯一の方法はEVを運転することであり、どれだけ早く相殺できるかは電力の生産方法にかかっている。
CO2の多くはバッテリー製造時に発生している。フォルクスワーゲンの報告によると、EV製造時に排出されるCO2の約40%がここで発生していることが示唆されている。これは、鉄鋼(18%)、アルミニウム(6%)、電気モーター(5%)の製造から発生する量の2倍以上だ。
もちろん自動車メーカーは、世界的な排出量目標の圧力を受けて、これを削減しようと努力している。あらゆる段階でグリーンエネルギーを使用するとともに、工場の効率化を図っているのだ。こうしたアプローチを実施するために、膨大な時間と投資が必要になることは間違いない。
英AUTOCAR編集部では、約2万6000kmがベストなシナリオで、約7万7000kmが最悪のシナリオとみている。しかし、この数字は採掘技術、製造方法、エネルギー源などによって変化し続けるというのが実情だ。
クルマの平均寿命は8年と15万マイル(約24万km)である。CO2の観点から見ると、EVの方が有利なのだ。
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