パイクスピーク・ヒルクライム優勝経験を持つ映画監督
ポルシェは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を阻止するために自宅で楽しめる趣味講座「#GetCreativeWithPorsche」を展開中。この講座には毎回その道のプロが登場し、ロックダウン中でも自宅で自動車に関するクリエイティブなスキルを身につけられるようになっている。
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今回はムービーカメラマンのジェフ・ズワート(Jeff Zwart)が、動画製作の秘訣を明かしてくれた。彼はパイクスピーク・ヒルクライムでの勝利経験を持ちながら、ポルシェをこよなく愛する映像監督だ。
ポルシェのコマーシャルやショートフィルムを30年間撮影してきたズワートは、どの映像関係者よりもポルシェを熟知していると言えるだろう。彼は生涯にわたってポルシェを愛し、モータースポーツイベントでポルシェのステアリングを握ってきた。つまり、ポルシェのアクションシーンを撮ることにおいて、彼以上の適任者はいないという訳だ。
スチールカメラマンから映像作家への転身
ズワートは1970年代半ばに大学を卒業すると、すぐに『ロード&トラック(Road and Track)』誌でスチールカメラマンとして働き始めた。彼はその時点でもラリードライバーとしてのキャリアを続けており、同時に撮影の仕事で世界中を飛び回っていた。自動車撮影の第一線で10年以上活躍した後、彼は初めてコマーシャル撮影を経験する。
「私はこの30年間、映像を撮り続けてきました。でも、スチール撮影が教えてくれたノウハウは本当に役立っています。写真と同じようにそれぞれのショットの絵作りができてれば、それは一貫した哲学を持つ素晴らしい作品になるはずです」
ズワートはポルシェ以外の仕事も行ってきたが、個人的なポルシェへの情熱が作品作りに影響してきたことは間違いない。
「すべてのポルシェには“物語”があります。ポルシェの歴史は本当に豊かですから、撮影していると必然的に物語が紡がれることになります。クルマ自体が美しいのですが、その中に最高レベルのパフォーマンスが込められています」
「私はこれまで世界中のほとんどすべての自動車メーカーのコマーシャルを撮影してきました。ポルシェは、視覚的にもパフォーマンスの観点からも、もちろん歴史的にも、撮影者に強いモチベーションを与えてくれるブランドのひとつです」
映像作家やラリードライバーとしてだけでなく、ズワート自身がファンとして空冷エンジン搭載ポルシェが集うイベント、ルフトカルト(Luftgekuhlt)にもたびたび参加している。そんな彼がコロラドの自宅から、自動車の動画撮影のコツをレクチャーしてくれた。
撮影機材に縛られることがないように!
「現代の映像作家は、カメラの黄金期を生きています。価格、サイズ、汎用性、どの点でも素晴らしい選択肢が広がっているのです。昔のフィルムカメラは重さが45ポンド(約20kg)で、ボディだけで10万ドルもしました。それに特別な撮影では巨大な移動式クレーンやヘリコプターが必要とされていたものです。でも、今ならスマートフォンだけで撮影を始めることができます。『最高のカメラは手元にあるもの』という、昔からの言い伝えが、これほどしっくりくる時代はないでしょう」
「大切なことは、どんな道具であれ使い勝手の良いことが重要です。私たちの世界では、仕事中にカメラが頭に引っかかる存在であっては意味がありません。自分を縛り付けるような機材で仕事をしていても、いい作品は撮れないのです」
「カメラは自分の体の延長線上にあるべきです。仕事はできる限り縛りがなく、自然に流れるように進めていくようにしましょう。例えば、太陽が沈み、嵐が近づいてきて、でもクルマがあなたに向かって近づいてくる・・・。装備を早くセットアップして撮影できないなら、装備が悪いのかもしれません(笑)」
「シンプルなカメラであっても、あなたが思っている以上に多くのことがカバーできます。撮り始めたばかりの頃は、あらゆる機材を使う必要はありません。中心になるのはストーリーであり、自分の目なのです。シンプルかつ小さなカメラで、このエキサイティングな世界のメインストリームに立てる時代になっています。撮影できる機材があって、他の誰も撮っていないものであれば、あなたは“ゾーン”にいることになるんです」
絵コンテを用意して撮影全体を理解する
「コマーシャルフィルムの世界では、クライアントのコンセプトを視覚的に解釈するのが私の仕事になります。自分のために撮影する場合でも、計画表を作成してください。基本的な絵コンテの作成は必須です。例えば30秒のムービーを撮影するとして、絵コンテの30コマの中に静止画、アクション、セリフを入れてみましょう。そうすることで撮影に関する全体像を理解することができます」
「撮影当日、撮影が終わったコマをひとつひとつ消していくことができます。何かを撮影するときには、今でも私は紙に書き出してから撮影するようにしています。そうすることで撮り逃してしまうことがなくなるのです」
悪天候は逆にチャンスになる場合も?
「光は撮影技術のなかでかなり大切な要素ですが、あなたがコントロールできないもののひとつでもあります。でも、毎日太陽が同じ軌道を描いて移動していることも知っていますよね。従って光がどこにあるのか、そして光がどのようにクルマにフィットするのかをよく考えなければなりません」
「以前はロケに行く前に光がどう当たるのか事前研究が必要でしたが、今ではそれを瞬時に行うことができるテクノロジーが出てきました。スマホのアプリは太陽がどこに沈もうとしているのか、光がどのように当たるのか、何が邪魔になっているのかを教えてくれます。最新のテクノロジーを利用することに躊躇する必要はありませんよ!」
「そして『天気予報にこだわるな!』です。映像作家は、完璧な快晴を望んでいると思われがちですが、私の経験では悪天候がたくさんのチャンスをもたらしてくれました。天候が悪いとなぜか仕事が早くなりますしね(笑)。特殊効果では決して望むことができないような、超ドラマチックな空を見ることができます」
撮影前に自分自身が何を見せたいのか、じっくり検討
「私が撮影するものには、常に没入感のある参加型の感覚を求めています。つまり観ている人に、自分も動画内に存在しているような感覚を持って欲しいのです。そのアプローチはいくらでもあります。映像作家の視点をもって、あらゆる動画をチェックしてみてください。自分が影響を受けたものは何か、自分の好きなものは何か、そしてそれをどうすれば再現できるかを考えるのです。個人的な視点を持つことは非常に重要です」
「対象としているクルマを素晴らしく魅せる要素は何か? 自分自身に問いかけてみてください。目線の高さから撮影すべきか、俯瞰での撮影がいいのか、それとも地面から煽るようなアングルがいいのか・・・。どのようなストーリーを伝えたいかによって、“高さ”はとても重要になります」
「オープンスペースの真ん中にクルマを置いて、その周りを歩いてみてください。低いところから見たり、高いところから見たり、望遠レンズや魚眼レンズを試してみるのが鍵です。そしてクルマを鏡だと思ってください。光を反射しますが、それがあらゆる光の中でもっとも見栄えが良いというわけではないのです。太陽の位置を確認したり、日陰を慎重に選びましょう」
“引っ張り”や“追っかけ”で臨場感のある撮影を
「スピード感を持たせたいのであれば、被写体と一緒に走行してください。この撮影方法には、クルマの前で撮影車から撮る『引っ張り』か、前のクルマを追いかける『追っかけ』があります。クルマが自分に向かってレースをしているなら、引っ張りの撮影が有効です。突然、60km/hのスピードが、150km/hくらいに見えるはずです」
「基本的に同じスピードで撮影しますが、追っかけの場合、クルマがやっと追いついたように感じさせると効果絶大です。もし素晴らしい空があれば、カメラを180度回転させたり、道路の反対側にジャンプしたりする準備をしておきましょう。とにかく状況に合わせたアドリブがキモです」
「録音は試行錯誤の連続です。排気音だけではなく、エンジン、タイヤ、風などの組み合わせも重要です。マイクの位置を色々と試してベストなサウンドが収録できる場所を探してみてください。そして、風や排気の影響を受けないようにしてください。これは簡単なことではありませんが、ポルシェで撮影しているときは本当に注意が必要ですからね(笑)」
できるだけ短く! 撮影素材をすべて見せる必要はない
「編集作業の段階で“エゴ”は置いてきましょう。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、他人に見てもらうための作品を製作するのであれば、まずは視聴者のことを考えなければなりません。多くの場合、ラフカットは長すぎます。視聴者が誰なのか、どんなものが彼らを惹きつけるのか、明確にしましょう。そしてできるだけ短くまとめるべきです。たくさん撮影したからといって、すべての素材を入れなければならないというわけではないんです」
「ポストプロダクション(撮影後の作業)は、私たちにとって非常に大切な時間です。時間はたくさんかかります。でもクライアントや編集者には、常にいくつか選択肢を用意します。たとえ自分自身のために撮ったものでもです。何がうまくいくのか、うまくいかないのか? 2枚のショットより1枚のショットが物語をより上手く伝えることができるのか? 編集プロセスからたくさんのことを学ぶことができます」
「映像の世界で素晴らしいキャリアを積むには、なにも監督である必要はありません。カメラマン、編集、特殊効果、撮影助手、照明監督、衣装、小道具・・・。映像の世界には多くの役割があります。監督だけではなく、そこには大きな可能性があるのです」
「映画製作は自分自身の延長線上にあるものです。常に進化し続けていて、時間や予算、そしてもちろん光の制限にも負けない素晴らしい挑戦なのです。私は『挑戦を愛すること』を、ぜひ学んでほしいと思っています。出かけるときは撮影の準備をしてから、新しいチャンスに目を向けるようにしましょう。綿密な計画を立てつつ、突発的な撮影チャンスに反応できる態勢を持つことが大切です」
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