BMWのフラグシップSUV「X7」の高性能版「M50i」に小川フミオが試乗した。印象はいかに?
迫力の走り
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自動車の楽しみは、選ぶところにある。それもなるべく細かく。そこがよくわかっているのが、BMW「X7」シリーズだ。たんにL(ラージ)サイズのSUVというのでなく、走りが積極的に味わえるモデルが設定されている。
日本でのX7のラインナップは、ディーゼルモデルと、超がつくほどパワフルな「M50i」で構成される。全長が5165mmもあるのに、BMWはSAV(スポーツアクティビティビークル)と呼称。それが納得できる仕上がりなのだ。
Xシリーズ中で最大サイズのX7は、そもそも米国市場をねらって開発されたため、3列シートを備える。エンジンもトルクがたっぷりある大排気量志向で、「35d xDrive」は2992cc直列6気筒ディーゼルターボ、「X7 M50i」は4395ccのV型8気筒ガソリンターボになる。
デカイことは悪いことではない!? BMW X7 xDrive35d 試乗記
390kW(530ps)の最高出力と750Nmの最大トルクを持つX7 M50i(以下M50i)に乗った印象をひとことでいうと、米国のマッスルカーを思わせる。大パワーエンジンを載せた、あちらのスポーツ・クーペのように走るのだ。
1800rpmから最大トルクを発生するV8エンジンは、大きな波に乗ったようなトルク感による加速を味わえる。そこはキャデラック「エスカレード」とやや似ているが、M50iは車体のロールが少なく、より乗用車にちかい。
BMWは、ふつうのモデルでも十分楽しめるのに、リアル・スポーツカーのようなMモデルを設定するのが常だ。M50iもまったくもって「M」というネーミングへの期待を裏切らない。
M50iは、アクセルペダルの踏み込みに即座に反応して、3tちかいボディをぐいぐいと押し出す。瞬発力にも長けているし、急な加速でも車体の姿勢はつねに安定。
マヌーバビリティが高いのも、操縦性からみたばあいのM50iの特筆点だ。どんな道でも一体感をもって自在にとばせる。高速道路のレーンチェンジにおける安定性といい、曲率の大小にかかわらずフラットな姿勢を感じさせながらのコーナリングといい、3tちかいボディにもかかわらず、よくぞここまで! と、感心。これこそ、BMWのエンジニアリングの醍醐味といってよい。
スタイリングも、エレガンスよりアグレッシブさが追求されている。大型のエアダムには、さらに装飾がほどこされ、このクルマが車内のリアビューミラーに映ったら、かなりの存在感だろう。
「X3 M40i」でも同様のことを感じたのを、すぐ思い出した。BMW・XシリーズのMモデルは、迫力がある。いやもっと正確にいうと、ありすぎ(笑)。ただし、こけおどしでなく、性能がちゃんと伴っているところがすごいのだ。
ピープルムーバー(多くのひとを載せるクルマ)としての機能を重視するなら、ディーゼルの「X7 35d xDrive」も遜色ない。ガソリンユニットのようにスムーズにまわるエンジンと、しなやかな足まわりの組み合わせはとても印象的だ。
豊富なラインナップに関心
やや不満があるとしたら、インテリアだろうか。メルセデス・ベンツが「GLシリーズ」に新しいデザインテーマを採用したのに対して、BMWは以前からおなじみの造形。BMWオーナーならX7に乗りこんで一瞬で操作がわかるものの、そろそろ、次世代に向かう時期かも……と、思ってしまう。
もちろん、変えなくていいものをあえて変える必要はない。たとえば、昨今、多くの自動車メーカーが(コスト削減のため)採用しているタッチスクリーン式の操作系は、はたして使い勝手がよくない。
X7にあるような、むかしからの物理的なスウィッチのほうが、走行中のブラインド操作に向いているように思う。そこはドライビングプレジャーの追求を謳うBMWのこだわりだろうか。あいにく、シフトレバーまわりに操作系を集約する“アイランド”とBMWのデザイナーが呼ぶデザインは、小さめのスイッチがこみいっていて、見ないで操作するにはかなりの慣れを必要とするが。
3列目シートは、おとなでも座っていられるスペースが確保されている。アクセスは2列目シートのバックレストを倒すか、2列目がキャプテンシートの場合は左右シートのあいだをウォークスルーしてもいい。多人数の家族なら、楽しめるパッケージだ。
M50iの価格は1595万円。3列シートの大型ボディという点では、競合ブランドであるメルセデス・ベンツの「GLS580 4MATICスポーツ」が思いつく。360kW(489ps)の3982ccV8ガソリンターボ・エンジンを搭載した5210mmのボディを持つ。価格は1669万円。
ただし、GLSにはAMGモデルが(まだ)設定されていない。高性能V8エンジン搭載車としては、415kW(565ps)と700Nmの「レンジローバーSVオートバイオグラフィ」などもある。
でも、これらの2列シートのSUVの分野は、X3 M40iやX5 M50iに任せておけばよい。X7 M50iはライバルを見つけるのはむずかしい。これもM50iの強みだ。こうみると、BMWのラインナップの豊富さに感心してしまうのだった。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
こんなデザイン、安いチンピラしか喜ばないだろ。
またあおりの常習者に買われて評判落とすだけだ。
ライト薄いからグリルが悪目立ちしてる