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8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性

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8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性

8年目を迎えた小さな成功作:Q2

2016年に発売されたQ2は、多くの新規顧客をアウディへ導いた成功作。既に8年目を迎え、お手頃な中古車も市場には出回っている。同時に、レクサスLBXやミニ・カントリーマンなどによる世代交代で、経過した月日を隠しきれないことも事実だ。

【画像】ブランドらしい実力派 8年目のアウディQ2 ライバルのクロスオーバーたち 全144枚

とはいえ、市街地でも高速道路でも、Q2は扱いやすく快適。装備も充実している。

英国の場合、選択できるエンジンは、3気筒で115psの1.0Lと4気筒で150psの1.5Lという、2種類のガソリンターボ。前者は30 TFSI、後者は35 TFSIを名乗る。ディーゼルは導入されていない。

トランスミッションは、30 TFSIでは6速マニュアルのみ。35 TFSIでは、7速デュアルクラッチ・オートマティックも指定できる。

2021年にフェイスリフトを受けており、トリムグレードはスポーツとSライン、ブラックエディションの3択。アウディ最小のSUVとなるが、全長は4208mm、全幅1794mmと、そこまで小さいわけではない。

実は、更に小さいQ1というモデルも計画にはあったという。しかし、フォルクスワーゲン・グループのMQB A1プラットフォームの都合で、実現していない。Q3が基礎骨格とするのは、MQB A2。フォルクスワーゲン・ティグアンも同様だ。

英国価格は、30 TFSIで約2万8000ポンド(約543万円)から。35 TFSIで7速ATのブラックエディションでは、約3万5500ポンド(約689万円)へ上昇する。

直線基調の面構成 ハッチバックに近いシルエット

エンジンは、共通して横置き。パワーステアリングは可変レシオの電動機械式で、切り込んでいくほど、ダイレクト感が増していく。トルクの半分をリアアクスルへ伝えることができる、四輪駆動のクワトロも設定される。

サスペンションは、前輪駆動ではリアがトーションビーム式。だが、クワトロではマルチリンク式へアップグレードされる。アダプティブダンパーはオプションだ。

スタイリングは、新鮮味が薄れたものの、定期的なアップデートで古びてはいない。折り目がしっかりついた直線基調の面構成が与えられ、好ましいと感じる人は多いはず。シングルフレーム・グリルは八角形で、存在感が強い。

リアまで伸びやかに続く、面取りされたショルダーラインが印象的。太いリアピラーはボディと異なるカラーに塗られ、快活な雰囲気を生んでいる。

テールゲートは強く傾斜し、プロポーションはハッチバックに近い。テールライトが大きく、後ろ姿も記憶に残るものだと思う。

日常での気使いが軽減される、未塗装のフェンダートリムやアンダーガードを得られるのは、ベーシックなスポーツだけ。それ以上のグレードでは、ボディ色に塗装される。

高品質なインテリア 空間は期待ほど広くない

Q2のインテリアは、先代のアウディA3から少なくない部品が流用されている。それでも登場時は、先代のメルセデス・ベンツGLAなどより上質感があり、品質では優れていた。ツートーン仕立てのダッシュボードは、スタイリングとのバランスが悪くない。

車内空間は、期待するほど広くはない。後席側は、空間効率に優れた、ひと回り小さいハッチバックと同等といえる。とはいえ、平均的な身長の大人なら、前後へ問題なく座れるが。

荷室は広め。Q3より125L小さいものの、405Lある。ただし、開口部の位置が高めで、重い荷物は少々載せにくい。後席の背もたれを倒し、高さを変えられる床面を持ち上げれば、フラットな空間を作れる。

インフォテインメント・システムは、MMIと呼ばれるもの。2016年当時は先進的な仕様といえたが、最新のシステム並みにタッチモニターが操作しやすいわけではなく、旧バージョンに感じられることは否めない。

英編集部のオシは30 TFSI 落ち着いた操縦性

それでは、市街地へ出てみよう。現在のラインナップで、英国編集部が推すのは30 TFSI。3気筒ターボが、0-100km/h加速を10.5秒でこなす、不満ないパワーを生み出すからだ。2000rpmから20.4kg-mの最大トルクを発揮し、力強く走らせる。

中間加速も充分。追い越しも気張らずこなせる。排気音にターボの高音が重なり、サウンドも悪くない。6速MTの正確な変速感も好ましい。

35 TFSIはパワフルで、よりレスポンシブ。最大トルクは25.3kg-mへ上昇し、0-100km/h加速を8.6秒でこなす。高負荷時でも滑らかなことが魅力だ。

ただし、7速デュアルクラッチATの反応は今ひとつ。アクセルペダルの小さな角度変化で変速したがる傾向がある一方、踏み込んだ時のシフトダウンは遅れ気味。運転体験の印象を濁している。1.5Lでも、MTの方がベターだろう。

登場から8年目でも、落ち着いた操縦性は変わらず。通常のダンパーが組まれたQ2でも、姿勢制御は引き締まり、軽快に身をこなす。サスペンションのストロークは長く確保されているが、カーブでのボディロールは抑制されている。

可変レシオのステアリングは感触が薄いものの、フロントノーズは素早く反応。切り込んでいくほどクイックさが増していき、驚くほど高いフロントタイヤのグリップ力を活かせる。ブレーキ制御のトルクベクタリング機能と相まって、積極的に旋回できる。

硬めの乗り心地 アウディらしい実力派

全体的には淡泊な印象で、運転で得られる充足感が高いわけではない。それでも、想像より機敏に走れることは間違いない。

乗り心地は硬め。前輪駆動の試乗車には、選択肢では最小となる17インチ・ホイールが組まれていたが、低速域では揺れが目立っていた。高速域ではしっとりさが増すものの、このクラスでは引き締まった側にある。

アルミホイールは、Sラインやブラックエディションでは18インチへ拡大する。他方、マルチリンク式のクワトロでは快適性で一枚上手。燃費は、17インチ・ホイールの30 TFSIで17.2km/Lがうたわれる。

手頃なサイズ感で、充分な実用性と快適性を備え、落ち着いた運転体験を得られるアウディQ2。登場から8年が経過しても、まだ魅力的な選択肢といえる。楽しい走りを味わえるわけではないが、凛々しいスタイリングに惹かれる人も多いはず。

このクラスでは、コスパに優れた競合が少なくない。特にカントリーマンやルノー・キャプチャーなどは、優れたパッケージングで訴求力は勝るように思う。だが、アウディらしい強みは備わり、街なかで頻繁に目撃するだけの実力派なことは間違いない。

◯:安心感のある操縦性 上質なインテリア 入門グレードの訴求力
△:全体的に印象は淡泊 やや息苦しさのあるエンジン 上級グレードはお高め

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