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ルーバー改造疑惑によるポイント剥奪も乗り越え、カイル・ラーソンが今季初勝利/NASCAR第7戦

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ルーバー改造疑惑によるポイント剥奪も乗り越え、カイル・ラーソンが今季初勝利/NASCAR第7戦

 アメリカ・ヴァージニア州リッチモンド・レースウェイにて開催された2023年NASCARカップシリーズ第7戦『トヨタ・オーナーズ400』は、終盤2回のリスタートで新たなチームメイトを従えたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が、今季最初のショートトラック戦でシーズン初勝利を記録。

 レースウイーク直前の水曜には『ボンネットルーバーの違法改造疑惑』により、カップ史上最高額の罰金とポイント剥奪の裁定が課せられていたチームに対し「ポイント剥奪の撤回」が認められたことも受け、HMSにとっては起死回生のワン・ツーフィニッシュとなった。

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 3月初旬のフェニックス戦以来続くHMSの“ルーバー疑惑”は、スターメンバーの集結で話題を呼んだ前戦COTAのイベントを前に、各4台に対する10万ドル(約1330万円)の罰金と100ポイント(+プレーオフ10ポイント)の剥奪、そしてクルーチーフ4名の「4戦出場停止」処分が言い渡される重い内容となった。

 そのペナルティに対し控訴を提出していたHMSは、裁定を担う『ナショナル・モータースポーツ・アピール・パネル』から新たな通知を受け取り、修正案では「ポイント剥奪の撤回」が認められることとなった。

「パネルの全員がこの問題に多大な時間と労力をかけ、関心を寄せてくれたことに感謝したい」と語ったチームオーナーのリック・ヘンドリック。

「今日の結果は事実を反映しており、パネルがポイントペナルティを覆す正しい判断をしたことをうれしく思う。これにより不明確なコミュニケーションや、我々が提起したその他の問題に関する懸念が検証されることとなった。今週末のリッチモンドでのレースを皮切りに、残りのシーズンに集中できることを楽しみにしている」

 一方で、このパネルの声明を受けたNASCAR側は「ペナルティを修正するというパネルの決定に失望した」とのリリースを出した。

「まずは、ナショナル・モータースポーツ・アピール・パネルが、ヘンドリック・モータースポーツがルールブックに違反したことに同意したことをうれしく思います。しかし同時に、ペナルティが完全に遵守されなかったことに失望しています」

「ポイントペナルティは、ルールブック違反後のガレージを管理するため必要な強力な抑止力であり、この場合、ペナルティは問題解決へ前進する重要な部分であると信じています。我々は、ファンとガレージ全体にとって公平で平等な競争の場を確保するべく、最高レベルの精度でNASCARガレージ全体を検査し、公式化し続けるでしょう」

 こうして始まった4月1~2日の週末は、雨が土曜のプラクティスと予選セッションをキャンセルし、アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が前戦ファステストや順位などの総合で、ポールポジションから発進する権利を確保した。

「この週末は、おそらくピットストール・セレクションが最重要項目になるだろうね」と、剥奪されたポイントが戻りランク首位に返り咲いたボウマン。

「とはいえ、僕の5番も悪くない。大きな違いはないが、明らかに最初にクリーンエアを持っていることが重要だ。ここは過去にも好成績の要因を理解するのが難しい場所のひとつだったが、うまくいけば良い一日を過ごせるだろう」

 明けた日曜、快晴となった0.75マイル・オーバルでは作業エリアのポジショニングが「大切」と語っていたボウマンが、チームメイトのラーソンや、レース中盤に好調さを披露したトヨタ陣営のデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)らと隊列を牽引。この日の最多リードラップ、117周を記録したバイロンがステージ1を制し、同71周をリードしたハムリンがステージ2でひさびさの勝利を手にする。

■追突され優勝争いから脱落のバイロン「彼の動きは急降下爆弾だ」
 しかし両者ともに最終ステージで不運に見舞われ、すでに今季2勝を挙げているバイロンは、残り20周のリスタートでクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)に追突され、優勝争いから脱落の24位。一方のハムリンも最終ストップでの高額な罰金を含むふたつのピットロード・ペナルティを受け、最終的に20位に沈む展開となってしまう。

「パック前方4番手からリスタートしたところだった。9番(ジョシュ・ベリー/HMS)にタイトに留まり、良いリスタートを得ようとしていたが、突然左後方からタグを付けられた」と不満を漏らしたバイロン。

「彼(ベル)の動きは急降下爆弾だ。それが現実さ。この日の僕らは素晴らしいレースカーを持っていた。だから今後もそうした速いレースカーを提供し続ける。コーションの前は3勝目が目前のように見えていたし、速いクルマを維持し続けることが(次の勝利を得る)唯一の方法さ」

 これによりレース序盤のピットロードでダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)と衝突するアクシデントに遭遇しながらも、トータルで93周をリードしたラーソンが快走。最後は負傷したチェイス・エリオットの代役を務めるベリーとのチームメイト対決も制し、リッチモンド2勝目、キャリア通算20勝目と、暫定クルーチーフを務めるケビン・メンダリングにカップ初勝利をプレゼントした。

「本当にクールだ! 僕らはここまで何度も勝利に近づいていたし、今回は物事がすべてうまくいき、ピットクルーは素晴らしい仕事をしてくれたんだ」と、今季初勝利を飾った2021年カップ王者のラーソン。

「この5号車は本当に素晴らしかった。セカンドステージのピットロードで99号車(スアレス)に突っ込んでしまったんだけど、その後はヒドかった。ダメージが原因だと思うが、それでも彼らは僕を落ち着かせ、ふたたび集中する必要があると言い聞かせてくれた。だからこそ、これを成し遂げることができたんだ!」

 一方、残り55周弱で始まった最後のアンダーグリーン・ピットサイクルで、チームから「より長くトラックにステイするよう」求められた2位ベリーは、代役4戦目にして最後に勝利を争うポジションを与えられた。

「気に入った。本当に大好きだよ」とチームの戦略立案を讃えたベリー。「僕らはときどき良いペースを持っていると思っていたが、きれいな空気が必要だった。彼らは固定観念に捉われずに考えたし、それこそがレースで必要なことさ。彼らはいくつかの大胆なコールを掛けてくれたし、クルーは一日中素晴らしかったよ」

 このオーバル戦でHMSの“精神的支柱の代打”という重積を担うベリーから称賛された、こちらも“暫定”クルーチーフを務めるトム・グレイは、ベリーのショートトラックでの能力と、オールドタイヤでのペース管理に自信を持っていたことを明かした。

「放送で彼のことを『Mr. Short Track(ミスター・ショートトラック)』と呼んでいるのが聞こえて、思わず笑ってしまったよ。じゃあ僕らは、その『Mr. Short Track』が何者であるかを彼らに見せよう、と言っていたんだ」

 併催となったNASCARエクスフィニティ・シリーズ第7戦『トヨタケア250』は、最後のリスタートでトヨタ陣営のジョン-ハンター・ネメチェク(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)を仕留めたチャンドラー・スミス(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)が勝利を飾る結果に。

 同じ週末にテキサス・モーター・スピードウェイで開催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第5戦『スピードキャッシュドットコム250』は、ホワイトフラッグの攻防に散ったライバルを出し抜き、20歳のカーソン・ホセバー(ニース・モータースポーツ/シボレー・シルバラードRST)が初勝利を決め、服部茂章率いるハットリ・レーシング・エンタープライズ(HRE)の16号車タイラー・アンクラム(トヨタ・タンドラTRDプロ)は、荒れた展開でマシンダメージを抱え26位に終わっている。

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