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リア・サスペンションの機能美 アウディeトロン GT 長期テスト(3) 当初の不安は払拭

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リア・サスペンションの機能美 アウディeトロン GT 長期テスト(3) 当初の不安は払拭

積算6970km 街の景色へ溶け込む控えめさ

速いクルマが砂埃で汚れていると、しっかり走り込まれた印象を受けて筆者は嫌いではない。しかし、鳥の糞は別問題。そこでロンドンの北に位置する、手洗い洗車を得意とする専門ショップを訪れてみた。

【画像】好バランスなBEV アウディeトロンGT 技術を共有するタイカン Q8 eトロンも 全132枚

長期テストのアウディeトロン GTは、想像以上に汚れていた様子。驚くほどの艶を取り戻した。帰り道は、アウディA7のように街の景色へ溶け込んだように感じられた。この控えめさが気に入っている。本当は、快音を奏でるR8の方がもっと好きだけれど。

積算7580km EVへの当初の不安は消え去った

アウディeトロン GTの長期テストが始まってから数か月。バッテリーEVとの暮らしが混乱したものになる、という心配は殆ど消え去っている。筆者は、その事実に驚いている。自宅はアパートで、充電できる環境がないにも関わらず、だからだ。

実際のところ、さほど大変な思いはしていない。筆者のライフスタイルを知っている知人も感心している。彼らは、アレコレ悩むことへ期待していたようだが。他人の不幸は蜜の味というのは、どこの世界でも変わらない。

この付き合いやすさを生んでいる理由は、eトロン GTが充分な航続距離を備えることと、モニターに表示される予想の航続距離が正確だから。特に、ドライブモードをエフィシエンシーにしている時は、かなりの精度で当初の想定距離を走れる。

リアアクスル側に組まれた2速オートマティックは、ロングなギアに固定され効率を高め、エアスプリングは車高を落とし空気抵抗を小さくする。速度抑止用のスピードバンプを乗り越える時は、フロントスカートをこすりがちになるが、見た目も良くなる。

家族で唯一のクルマとして所有も可能

気温の上昇とともに、航続距離は伸びている。93.4kWhの容量を持つ駆動用バッテリーを100%まで充電すると、現在得られる距離は426kmほど。更に大容量のバッテリーを積むBMW iXには及ばないものの、普段はほぼ困らない数字といえる。

充電ステーションも、最近は利用者が増えつつあるが、長く待たずに利用は可能。ただし、急速充電能力を発揮させるほど高速な充電器は殆どない。利用料金が1kWh当たり0.65ポンド(約118円)と安くはないから、あえて選びたいとも思わない。

大抵の場合、充電ステーションに到着してから5分以内に充電を始められ、20分後には再出発できる。不便さを感じないで済む待ち時間といっていい。

家族で唯一のクルマとして、eトロン GTを所有できるだろうか。今までの経験での答えは、ほぼイエス。

だが、eトロン GTをメインのクルマとして乗りつつ、ガソリンで走るコンパクトカーもセカンドカーとして所有する、というのがベストなソリューションかもしれない。長距離ドライブの翌日、駆動用バッテリーの残量が乏しい場面で、きっと役に立つ。

英国では、2008年式のフォード・フィエスタなどが、バックアップ車両として最適だろう。eトロン GTのオプションをいくつか諦めれば、所有できる価格帯で売られている。

機能美溢れるリア・サスペンション

さて最近、eトロン GTはタイヤを外す機会があった。スローパンクの傾向があり、タイヤショップで見てもらうと、トレッド面の中央にビスが刺さっていた。幸い、修理可能な部分だった。

作業時はリフトアップされ、eトロン GTの下側を観察する絶好の機会になった。排気系などがないおかげで、駆動用バッテリーが敷き詰められたシャシーの底面は、完全なフラット状態だ。

リアのディフューザーはかなり大きい。コントロールアームには、空気の流れを整えるフィンが付いている。いずれも、航続距離を1kmでも伸ばすために有用なアイテムなのだろう。

リア・サスペンションは、機能美に溢れる。複数のリンクが交錯し、構造を理解することは難しい。アッパー・コントロールアームは、エアスプリングを避けるように滑らかにカーブを描く。ボディとのクリアランスを保つため、斜め下方にえぐられてもいる。

後輪操舵システム用の電動アクチュエータとのリンケージも組み込まれ、ロワー・ウイッシュボーンは巨大。アンチロールバーとダンパーが、その隙間に収まっている。この複雑な構成で、一般道でのしなやかな乗り心地を叶えているわけだ。

殆ど隙間がないように見えるが、お互いが干渉せず、ボディに当たることなく、タイヤが上下に動くことへ感心する。マクラーレンの技術者へ写真を見せると、こう呟いた。「ポルシェの最近のリア・サスペンションは、見事なパッケージングですね」。と。

テストデータ

気に入っているトコロ

カタパルト発進のような加速:530psと65.1kg-mを発揮することは殆どない。しかし、追い越しはあっという間に完了できる。

気に入らないトコロ

ピアノブラックの内装トリム:グローブボックスには、メガネクロスを常備している。センターコンソール周辺の内装トリムやタッチモニターには、盛大に指紋が残る。

テスト車について

モデル名:アウディeトロンGT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
新車価格:11万2850ポンド(2031万円)
テスト車の価格:11万6315ポンド(約2093万円)

テストの記録

航続距離:426km
電費:4.5km/kWh
故障:スローパンク(30ポンド:約5000円)
出費:なし

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みんなのコメント

7件
  • やっぱドイツ車は足回りの造りがすごいね。
  • カッコエエノォ。
    EVスポーツと言ったらこれとポルシェのタイカンだね。
    800Vとミッションといち早く導入した勇気も讃えたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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