マツダのフラッグシップをCX-8と思っている人もいると聞くが、いやいや、フラッグシップは「アテンザ=Mazda6」である。デビューから6年経って、大改良を受けたアテンザ・セダンに試乗。その進化ぶりを試してみた。TEXT & PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)
現行アテンザがデビューしたのは2012年11月だから、すでに6年が経過している。6年も経てば、当然モデル末期となって話題もなくなっていくものだが、いまのマツダは違う。商品改良で一切手を抜かない。アテンザも2018年6月に大幅改良を受けた。
この大幅改良というが、すごい。異例と言っていい。インテリアは全面改良でインパネを作り替えている。現行アテンザで2度目のインパネ作り替えだから、これは本当に異例中の異例だ。先進安全技術系の進化も当然だが、エンジンも大きく進化している。
今回試乗したのはSKYACTIV-D2.2を搭載したセダンのAWDモデルである。
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マツダのフラッグシップであるアテンザの最新型に乗ってみたかったのだが、なかなか機会がなかった。今回は週末に500kmを超えるロングドライブをすることができた。
まず外観にうっとりする。ソウルレッドクリスタルメタリックのボディ色は、やはり美しい。新デザインになったフロントグリルも上品でいい。デザインもまったく古さを感じない。相変わらずかっこよくて美しい。
ボディサイズは全長×全幅×全高:4865×1840×1450mm。トヨタ・カムリとほぼ同サイズ。クラウン(全長×全幅×全高:4910×1800×1455mm)よりちょっと短くてちょっと幅広いサイズだ。日本の路上で、もてあまさずしかも堂々としていられる上限の大きさ(?)だと思う。
ちなみに、自分のBMW320i(全長×全幅×全高:4645×1800×1440mm)よりは220mm長いから、自宅のガレージに駐めると鼻先20cmがはみ出す感じだった。
クルマを借り出して、運転席に腰を落ち着ける。シートの出来はいい。長距離乗っても腰が痛くなることはなかった。本革シートだったが、やはりシートは本革ではなく布が好みである(あくまでも個人的な好みです)。
内装は、大きく質感が上がった。インパネのトリムは、東レが世界に誇る「ウルトラスエード・ヌー」色合いも触感も高級だ。
エンジンをかける。
全然関係ない話で恐縮だが、以前自動車メーカーのエンジニアと話をしているときに
「最近の若い人たちは、"エンジンをかける”っていわないんですよ」
「???」
「エンジンは”点ける”ものなんです。ほら、いまのクルマはキーをひねったりしないで、スイッチを押すだけでしょ? 彼らの感覚ではエンジンは"スイッチを押して点ける”ものなんです」
という会話をした。
もちろん、アテンザのエンジンもスイッチを押して「点ける」タイプだ。
ディーゼルだがうるさくない。「ディーゼルって気づかなかった!」とは言わないが、7万km走ったBMW320iの2.0ℓ直4直噴ターボ(N20型)より静かなことは確かだ。室内ではまったく気にならないし、外に出ても音のレベルは低かった。
走りは……これはもう気持ちよくて快適。アクセルペダルに足を載せておけば、スーッと走ってくれる。450Nmの最大トルクを発生するSKYACTIV-D2.2は、とくに高速巡航でとても楽だ。何km/hで走っていようとアクセルにほんのちょっと力を入れれば(入れるほどではないくらい)たちどころに思った通りに加速する。
トランスミッションは、6速AT。昨今の8速以上の多段化ATではないが、まったく不足を感じない。ちなみに6速MTを選べるというのもアテンザの魅力だ。販売比率も10%に迫るほどだという。これはこのクラスのセダンにはないポイントだ。
ヘッドアップディスプレイはフロントガラスに投射するタイプに変更されたので、ここも高級感アップに効いている。
高速道路と郊外路を中心に470km走った燃費は17.2km/ℓだった。車重1670kgの大型セダンとしては優秀なのではないだろうか。
乗り心地も合格点だ。225/45R19という大径のブリヂストンTURANZAを履いているが、高速道路でのしっとりとした乗り味は好感がもてた。
ドライブ中、狭い1車線(交互通行するには譲り合わないといけない)山道を10数km走る機会があった。しかも夜。照明はなし。
新型アテンザのヘッドライトはアダプティブLEDヘッドライト(ALH)に変更されている。これがいい。ALHは、水平に並べた複数のLED光源を独立して点灯・消灯させ、先行者や対向車がいるエリアだけを消灯して前方のクルマをまぶしくさせることなくハイビームで走り続けられるのだ。従来型は片側4分割だったが、新型では片側20分割になったから、よりきめ細やかな制御がかかる。
繰り返すが、このヘッドライト、すごくいい。対向車が来ると、そこだけスッと減光(というか消灯)する。視界がいい、見える、というのが運転するうえでもっとも重要だとあらためて認識した。
この細い山道で感じたのは、大きなボディなのにクルマが素直に曲がってくれることだ。これはGVC(Gベクタリング・コントロール)が効いているのだろう。夜の山道のドライビングが楽しい!
新型アテンザ、マツダのフラッグシップに相応しい高級車然としたデザインと走りで、充分に高級セダンカテゴリーで競争力があると感じた。
気の早い話だが、2020年と噂されているFR化まで、このアテンザが商品力を保つことができるか。580kmのドライブの感想では、「できそう」という結論だった。
さて、583.9km走って燃費は
16.6km/ℓ
これを金額に直すと
軽油130円/ℓとすると約35ℓで4550円
これがBMW320iの場合、おそらく同じような走行パターンで、燃費は14.0km/ℓだとして
ハイオク41.7ℓ
ハイオク158円/ℓとして6588円。
その差額は2038円となる。
走りもいい、財布にも優しい、そして高級感もある。アテンザ、いいです。あとはサイズがもうちょっと小さかったらなぁ(個人的な感想です)
580kmドライブして非常に満足したアテンザだが、不満がないわけではない。
インテリアの質感は非常に高いし、シートの出来もい。メーターはシンプルだが、見ていて惚れ惚れするほど繊細で美しいレタリングを使われている。不満は(予想通り)ナビゲーションシステムだ。進化しているのはわかるが、これは「フラッグシップ」に相応しい完成度とは言えない。また、惚れ惚れするほど繊細で美しいメーターからナビ画面へ目を移すと、マップの表示(精細度・フォントなど)が、メーターほど洗練されていないのだ。起動も遅いし……マツダコネクトのナビがもっと洗練されたら、さらに高く評価できたのに……と思った。
マツダ・アテンザ(セダン)XD L Package(AWD)
■ボディ寸法
全長×全幅×全高:4865×1840×1450mm
ホイールベース:2830mm
車両重量:1670kg
駆動方式:フルタイム4WD
■エンジン
形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
型式:SH-VPTR型
排気量:2188cc
ボア×ストローク:86.0×94.2mm
圧縮比:14.4
最高出力:190ps(140kW)/4500rpm
最大トルク:450Nm/2000rpm
燃料タンク容量:52ℓ
■トランスミッション
6速AT
■燃費
WLTCモード燃費:19.0km/ℓ
WLTC市街地モード:16.0km/ℓ
WLTC郊外モード:19.1km/ℓ
WLTC高速道路モード::20.9km/ℓ
■車両本体価格:426万6000円(試乗車はオプション7万5600円含む434万1600円)
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