モーターファンでもおなじみのレーシングドライバー塚本奈々美選手が、自身のモータースポーツ活動をサポートしている群馬自動車大学校、東京自動車大学校、両校の小倉基宏学校長と新春対談を行った。単に整備士を育成するだけではない、その魅力とは? また、自動車学校での受講生満足度を高める取り組みとは?
塚本:
明けましておめでとうございます。
2018年は、ニュルブルクリンク耐久選手権(VLN)、ドリフトキングダム、TGRラリーチャレンジ、そしてZ EXPERT TROPHYという4つのカテゴリーに参戦させていただきました。
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おかげ様で2019年のニュルブルクリンク24時間レースに参戦するために必要なライセンス「パーミットA」を取得するなど、自分なりに結果が出せたと思えるシーズンになりました。
小倉:
明けましておめでとうございます。
塚本さん、それだけ違ったカテゴリーにシリーズ参戦して、昨年は年間どのくらい走っているのですか?(笑)
塚本:公式戦だけで20戦に出場しました。
小倉:群馬校、東京校のいろいろなイベントにも参加して頂きましたね。
塚本:はい、群馬校では学園祭に、東京校では特別講座や走行会の講師役など楽しく参加させて頂きました。
私はクルマのディーラーさんのチームでもレースに参加させて頂いていますが、そこでは普段はお客様のクルマの整備をされている整備士さんにレースメカニックを担当していただきました。
私のポルシェカレラカップ参戦時のメカニックさんは東京校のOBの方でした。
今は全国的に整備士が不足していると伺いましたが、群馬校・東京校ではどんな対応や方針で臨まれておられるのでしょうか?
小倉:まずは教育の質が大事です。わが校の教員はほとんどが国家1級整備士資格を持っていて、全国的にもトップレベルだと自負しています。
また、今季は数あるスーパーカーの教材車に加え、ニッサンGT-Rを11台そろえ、新たに教材車にします。
実際に学生が手に触れて整備実習ができ、かつ高価な人気車種としてGT-Rを選びました。これは他校にない試みだと思います。
塚本:わぁ~、学生時代からGT-Rをいじれるなんて、素晴らしいですね。私は最近よく海外遠征もしていますが、日本のGT-Rは海外でもすごい人気です。
海外と言えば、群馬校や東京校の学内でも多くの外国からの留学生の方をお見受けします。
小倉:そうですね。整備士になると日本の就労ビザも下りやすいんです。いまはベトナム、ミャンマー、スリランカ、インドネシア、マレーシアなど、東南アジアから多くの留学生が来ています。
塚本:研修旅行としても海外に学生を派遣されていると伺いました。
小倉:はい、昨年群馬校はイタリアに、東京校はドイツに行きました。単に自動車メーカーの工場などを見学するだけじゃなく、海外で見分を広め、時にはスリ被害にあって苦労しながらも異文化に触れる経験をすることが大事だと思っています。
また昨年はその折に、イタリアでフェラーリF1のクランクシャフトやピストンコンロッド、ランボルギーニではライン上のピストンをいただき、学校の教材として展示しております。
塚本:う~ん、そうして世界のトップカテゴリーのものに触れることが出来るって、幸せな学生さんたちですね。
小倉:もう一つ、本学の特徴として、アフターマーケットでモノが売れる整備士の育成にも力を入れています。
塚本:ディーラーさんやショップでお客様がいろいろ相談できるのって、いいですよね。そういえば、赤城グループさんとして群馬・栃木に7つの自動車教習所も運営されていますね。
実は私も今(19年1月5日現在)そのうちの1校である赤城自動車教習所で大型二輪免許の講習を受けています。
小倉:二輪はまったく初めてなんでしたよね?
塚本:はい、見かけによらず(笑)。
初めてバイクに乗る私は中型免許を持ってる方より知識も技術も低く、課題を一度でクリアできないことも…。
何度も失敗をしていると、私に合った別のやり方や説明の仕方を教官さんたちが柔軟に対応してくれることにビックリ。
「出来ないなら、出来るようになるまでやる」というのが当たり前だと思って私としては、あらためて『人を教えること』のコツを教わった気がします!
私もいろいろなセミナーで四輪の運転を教えることもあるので、教習所の教官の方々の教える技量の高さを勉強させてもらい、今後の参考にしたいと思います。
なんだかバイクに乗る以外のこともたくさん教わった気がしています。
小倉:教習所ではまずは合格率を上げることに力を入れています。群馬県下の学科合格率の平均が71%程度に対し、赤城グループの中には91%の合格率を誇っている教習所もあります。これは解り易い講習をしている証拠とも言えます。教習を受けられる方を「お客様」とし、インストラクターが丁寧で親切な講習をさせて頂いています。
もちろん、ダメなことはダメ、危ないことは危ないとルールはしっかり教えて事故を防ぐことにも配慮しています。
塚本:実は私、教習所というと学校の延長のようなどこか堅っ苦しいイメージがあったので、教習初日は緊張して教習所入りしました。
ところが、そこは昔の暗く重苦しい空気は全くなく、明るくって何より驚いたのは「〇〇様」とお客様としてきちんと扱って頂けたこと!
通うことが全く苦にならないな~って、私の教習所のイメージが180度変わりました。とにかく今は通うのが楽しくて仕方ないですね。
小倉:楽しいと言えば、一度高校でばらばらに進学した中学時代の同級生が教習所でばったり再開して盛り上がったりと、アットホーム的な雰囲気がありますね。
塚本:それから私は教習所の合宿所に入っていましたが、設備がきれいで、一人一人に自転車まで用意されている好環境に感心しました。
女性専用フロアーがあり、セキュリティもしっかりしていますね。
小倉:そうなんです。個室が都内のビジネスホテルのシングルより1.5倍は広いし、17泊快適に過ごしてもらいたいとの想いから、
17日間で同じような食事メニューが出ないようにも心掛けているんです。
塚本:専門学校と教習所、どちらも若者の自動車離れの傾向を意識して様々な創意工夫をされているんですね。
なんでも今年の東京オートサロン(1月11日~13日@幕張)では群馬・東京両校の展示ブースも拡大されると伺いました。
小倉:はい、今年は東京校がニッサンセドリックS49年式230をレストアして展示し、群馬校はリバティウォークさんとのコラボでMINIクーパーをカスタマイズして展示します。授業とは違った面白いカスタマイズが出来ることなどをアピール出来ればと考えています。
塚本:ラッピングされたランボルギーニも展示されますが、実は私その実習授業にも参加してるんです。
また、オートサロンでは私も1月12日、13日の11時と14時にブースにお邪魔して握手会・撮影会をさせて頂きます。
一緒に盛り上げさせて頂ければと、今からすご~く楽しみにしています。ブースは北10ホールNo-1001ですね。
小倉:私どもでは今季も塚本さんをサポートさせて頂きます。今季はどんな活動を予定されていますか?
塚本:まずは春先のニュルブルクリンクVLN耐久レースに出場し、その後6月のニュル24時間に挑戦することが決まっています。
また、昨季同様にTGRラリーチャレンジにも参戦します。6月には群馬の渋川でも開催されます。それから、国内や海外のドリフトシリーズに参戦出来ればと考えています。それから、近々大型二輪の免許も取れそうですので、群馬でツーリング企画などもやってみたいですね。
小倉さん、今回はお忙しい中お時間を頂き、有難う御座いました。オートサロンでまたご一緒させて頂きますので、宜しくお願い致します。
★聞き手:
群馬自動車大学校・東京自動車大学校 サポートレーシングドライバー
塚本奈々美
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