2024年F1第17戦アゼルバイジャンGP。首位の座を奪われたシャルル・ルクレールは、レース中盤以降オスカー・ピアストリを必死に追いかける。その差は1秒を切っていたが、なかなか追い抜き返すまでには至らなかった。そしてレースの最終盤、表彰台を争っていたカルロス・サインツとセルジオ・ペレスが接触し、混乱のなかで今年のアゼルバイジャンGPは幕を閉じた。アゼルバイジャンGP後半を無線とともに振り返る。
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【F1第17戦無線レビュー(1)】「わかった。どれくらいやればいい?」ノリスのチームプレーでマクラーレンが先頭キープ
レース中盤以降は、首位を奪われたシャルル・ルクレール(フェラーリ)がオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を追う展開となった。15周以上にわたって1秒以内の差をキープし、時にはコンマ1秒まで迫ることも。しかし最高速に優るピアストリを抜き切れない。
35周目
トム・スタラード(→ピアストリ):ルクレールのリヤタイヤは、君のより悪い。
映像でフェラーリのタイヤの状態を確認したのか、あるいは単にピアストリへの励ましか。一方フェラーリ陣営は、コース上で抜けないのならと、ピットインを指示した。
36周目
ブライアン・ボッツィ(→ルクレール):マクラーレンの逆でピットインだ。
しかしルクレールは入って来ず。マクラーレンに聞かせるためのダミー無線だったようだ。
39周目
ボッツィ:プランCを考えている。
ルクレール:バカじゃないのか。
プランCが何を意味するのか不明だが、ルクレールはその提案を一蹴した。抜きあぐねていることで、イライラはかなり募っている。
37周目までハードタイヤを引っ張ってピットインしたランド・ノリス(マクラーレン)は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の後ろ7番手でコース復帰した。
ウィル・ジョゼフ(→ノリス):最大限プッシュして、最後にフェルスタッペンに追いつこう。
チェッカーまで13周の時点で、両者の差は15秒。はたして追いつけるか。
40周目
ルクレール:ピアストリが苦しみ出している。
ボッツィ:ペースを維持しろ。
コンマ5秒前後の差でピアストリを追い続けるルクレール。抜けないとはいえ、タイヤにはまだ余裕があったようだ。
一方ノリスは、1周1.5秒のペースで、フェルスタッペンとの差を縮めていた。
ジョゼフ(→ノリス):アンドレア(・ステラ/チーム代表)が耳元で、「すべてのコーナーの立ち上がりで、ホイールスピンさせるな」と言っていると考えてくれ。
3番手セルジオ・ペレス(レッドブル)は、首位争いを繰り広げるふたりから2秒前後後方で、慎重に周回していた。
43周目
リチャード・ウッズ(→ペレス):そろそろ周回遅れにぶつかる。かなり混乱しそうだ。
上位3台のペースが落ちてきたことで、4番手カルロス・サインツ(フェラーリ)も追いつきつつあった。
48周目
ルクレール:もうリヤタイヤがない。
接近しすぎたのか、ルクレールのタイヤに突然の壁がきた。ピアストリとの差は2秒以上に広がってしまった。逆にペレスがルクレールのDRS圏内に入り、サインツもペレスの1秒以内に。そんな状況の50周目、三つ巴のバトルの最中、サインツとペレスが接触。ウォールに激突し、2台はリタイアに終わった。
50周目
ペレス:あいつは、何をやってるんだ!? 気が狂ってるのか?
サインツ:一体、何が起きたんだ?
リカルド・アダミ:大丈夫か?
サインツ:ああ。でも、何がどうなってるんだ?
ニコ・ヒュルケンベルグ:何事だ?
ギャリー・ギャノン:ダブルイエローだ。
ヒュルケンベルグ:何か大きなものにぶつかった。これは赤旗だよね。
ヒュルケンベルグ:何か大きなものが、フロントウイングにぶつかった。
ギャノン:チェックする。
ヒュルケンベルグ:どうして彼らは……
ギャノン:VSC、VSCだ。
ヒュルケンベルグ:ありえないよ。
ギャノン:確かにめちゃくちゃだ。
ヒュルケンベルグ:XXXX!! XXXX!! 馬鹿げてる!!
51周目
ヒュルケンベルグ:まさかセーフティカーを出さないとはね。言葉もないよ。
事故直前に10番手を走行していたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)は、セーフティカー、あるいは赤旗中断を見越して減速。その間にルイス・ハミルトン(メルセデス)やオリバー・ベアマン(ハース)らにかわされてしまった。
チェッカー後
ギャノン:ニコ、この結果は本当に残念だ。申し訳ない。シンガポールでリベンジしよう。
ヒュルケンベルグ:君が謝る必要はないよ。僕が彼らを行かせてしまったんだから。今まで戦ったアゼルバイジャンで最高のレースだったのに、最後の120秒ですべてがふいになってしまった。皮肉としか言いようがないね。
ジョージ・ラッセル:あのクラッシュは酷かった。夕日がまともに目に入って、何も見えなかったんだ。完全にモヤのなかに突っ込んでいく感じだった。
フランコ・コラピント:このレース結果、信じられないよ。おまけにハミルトンまで抑え込んだ。
ガエタン・イエゴ:モンツァとアゼルバイジャン、この2戦の君は本当に素晴らしかった。間違いなくF1のシートに相応しいよ。
スタラード:素敵な仕事だったぞ、オスカー。最高だ!
ピアストリ:おそらく人生で最もストレスを感じた午後だったかも。でも、凄いオーバーテイクだっただろ。
そしてノリスはチェッカー3周前の49周目にフェルスタッペンをオーバーテイク、15番グリッドから4位入賞を果たした。担当エンジニアのジョゼフはノリスの健闘を讃えつつ、ある頼み事をした。
ノリス:優勝おめでとう。
ジョゼフ:君の努力のおかげでもある。ファステストも獲ったしね。
ノリス:そうだね。あのクソみたいな昨日から、よく戻って来れた。しっかりポイントも獲れてよかった。
ジョゼフ:差し支えなかったら、このレースを誰かに捧げてもいいかな?
ノリス:もちろんだ、ウィル。
ジョゼフ:父が10年前の今日、亡くなったんだ。シンガポールに行く途中だったか、いや、帰国の途中だったかもしれない。そこで父の死を知らされた。このレースを彼に捧げたいんだ。
ノリス:そうしてくれ。
ジョゼフ:本当にありがとう。君がペレスを抑えてくれたからこそ、オスカーは勝つことができた。
このふたりに限らず、レース中はかなり激しい言い合いをすることもあるドライバーと担当エンジニア。しかし彼らは他の誰よりも、深い絆で結ばれている関係でもある。このやり取りを聴いて、改めてそんなことを感じた。
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