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今や600万円オーバー! 懐かしのスカイラインRSターボ”鉄仮面” の現在地 

掲載 更新 45
今や600万円オーバー! 懐かしのスカイラインRSターボ”鉄仮面” の現在地 

 “鉄仮面”という言葉を聞いたことがあるだろうか? きっと40代以上のクルマ好きなら、1980代のR30型スカイラインに設定された後期型のスカイライン2000ターボRSと、ピンとくるだろう。

 薄型ヘッドランプにグリルレスのフロントマスクを持ったフロントマスクから、鉄仮面と呼ばれたスカイラインターボRS/RS-Xは、190ps/205psを発生する、FJ20ET型2L、直4ターボを搭載していた。

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 現在、ネオクラシックカーブームを受けて、R32GT-Rや70スープラ、FD3S型RX-7が高騰しているが、この鉄仮面のスカイラインRSターボは高騰しているのだろうか? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が、鉄仮面スカイラインの今に迫る!


文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹 日産
取材協力/UTILITAS

【画像ギャラリー】GT-Rなき時代の史上最強のスカイライン”鉄仮面”の詳細写真をチェック!

“鉄仮面”の歴史を簡単解説

1981年8月に登場したスカイラインRS

 まずはR30型スカイラインの歴史を振り返ってみたい。1981年8月にデビューしたR30型6代目スカイライン。1981年10月には、日産としては8年ぶりのDOHCエンジンとなる2L、直4、4バルブDOHCのFJ20E型エンジン(※1:150ps/18.5kgm)を搭載する2000RSを追加。

 この2000RSはGT-Rの再来と期待されたが、FJ20E型は直列4気筒であるゆえにGT-Rを名乗らなかったといわれている。

※1:エンジンの最高出力はすべてグロス値。グロス値はエンジン単体で測定した値で、1985年8月以降はエンジンをクルマに積んだ状態で測定するネット値が使われている。

1983年2月に登場したスカイライン2000ターボRS

 1983年2月になると、FJ20E型にターボを装着したFJ20ET型(190ps/23.0kgm)を搭載した2000ターボRSを追加。このターボRSのキャッチピーは「史上最強のスカイライン」が用いられた。

 そして、1983年8月のマイナーチェンジで、薄型ヘッドランプ、ラジエターグリルレスの精悍なフロントマスクを持つ、通称“鉄仮面”が登場。

1983年8月に登場した”鉄仮面”ことスカイライン2000ターボRS

伝統の丸型テールライトを採用

1983年2月、FJ20E型にターボを装着したFJ20ET型(190ps/23.0kgm)を搭載したスカイラインRSターボが登場。翌1984年には空冷式インタークーラーを装着し、205ps/25.0kgmを発生するスカイライン2000ターボインタークーラーRS/RS-Xが登場

 8種の電動調整機構を備えたシート、パワーステアリング、クルーズコントロール、ダイバーシティ付き4スピーカーFM・AMラジオなど快適装備を充実させた上級仕様、2000ターボRS-Xを追加。

 さらにその1年後の1984年2月にはRSターボに空冷式インタークーラーを装着して、205ps/25.0kgmを発生する2000ターボインタークーラーRS/RS-X(通称ターボC)に発展。

 外観上の違いはフロント左下のエプロンにインタークーラーの冷却用開口部が設けられた。なお、RS-XターボCでは、前述のハイタッチモケット仕様の内装が選択可能となった。

空冷式インタークーラーを装着した2000ターボインタークーラーRS/RS-X(通称ターボC)

スカイライン2000ターボRS-Xのコクピット

スカイライン2000ターボRS-Xのシート

R30型スカイラインに強い専門店に取材

 ふと「鉄仮面」ことR30日産スカイライン2000ターボRSの後期型のことが気になった。中学生か高校生だった時に憧れていたクルマだ。

 とてもじゃないがガキに買える値段のクルマではなかったが(1984年当時の新車価格はスカイライン2000ターボインタークーラーRS-Xで273万9000円)、今ならば、その中古車を買えるのではないか……と思って検索すると、どうやら都内では小金井市の『UTILITAS』というショップが鉄仮面にかなり力を入れている模様。

 さっそく電話でアポを取り、鉄仮面および前期型2000ターボRSの中古車事情について詳しく聞いてみることにした。

R30型スカイラインの中古車情報はこちら!

東京都小金井市に店舗とファクトリーを構えるスカイライン専門店、UTILITAS代表の池谷祐一さん

車両価格249.8万円の1984年式RS-XターボC。こちらはレストアされたものではなく、UTILITASの顧客が長年乗り、UTILITASで定期的な点検と整備を行ってきた個体

こちらの1983年式ターボRS-Xは車両399.8万円。サビなし上質ベース車を用いたレストア車両で、前オーナーはガレージ保管の雨天未使用だった

UTILITASのホームページはこちら!

――ということでUTILITAS代表の池谷祐一さん、鉄仮面の中古車相場も、最近のR32 GT-RとかR34 GT-Rみたいに爆騰してるんですか?

池谷さん 今、世の中は「ちょっと古いモノ」がブームだから、R30の2000ターボRSも昔と比べれば上がってますよ。

 でもR32 GT-Rみたいに海外にじゃんじゃん輸出されてるわけでもないし、日本国内でも「最近いきなり盛り上がってきた」という感じはないですね。30年ぐらい前から一貫して静かな人気……みたいな感じかな。

――なるほど、上がってはいるけど「爆騰」ってほどではない、という感じなんですね。……でも、それにしては御社の2000ターボRS、400万円とか600万円という値が付いてますが?

池谷さん 弊社でそのぐらいの値段で販売している個体はレストア済みの車両です。全部バラして、ボディはエンジンルームを含むオールペイント施工、新品部品があるものについては新品パーツに替えて、新品がないものは自社で作ったりリビルトしたり、再メッキしたりして組み上げてます。

 そうすると必然的にそのぐらいの価格で販売しないと採算が取れないんですよ。それでも、純粋に時間あたりの工賃を全額転嫁できていない状況です。

車両価格400万円以上クラスの個体は、いわゆるドンガラの状態まですべてをバラし、塗装も剥離させたうえで再び組み上げていく

フルオーバーホールを経て組み上げられ、ヘッドカバーの結晶塗装もやり直してエンジンルーム内に戻ったFJ20ET型DOHCターボエンジン

――そうなんですか?

池谷さん そりゃそうですよ。例えば売価700万円の商品車にまで仕上げるには、大の大人3人がかりで丸3カ月以上はかかる。……そうするとね、車両原価と部品代、材料費、外注費用なども加算すると、作業工賃を全額転嫁するほどの金額で販売できるほどDR30の中古車相場は高くない手……というのが現状なんです。

 もし同じレストア作業をハコスカやS30Zでやれば、こんな低価格で販売することもないのですけどね。もしも収益を追求するなら、R30のレストアなんてやりませんね(苦笑)。

――そんなに儲からないこと、なんでわざわざやってるんですか?

池谷さん そりゃもう「好きだから」というひと言に尽きますよね。子供の頃からスカイラインと桜井眞一郎さんが大好きで、中学生で2000ターボRSに衝撃を受け、次のR31にはぜんぜん惹かれず(笑)、18歳で免許取ったらすぐに鉄仮面を買って……って、浪人したので買ったのは1年後ですが(笑)、まぁそんな感じで“好き”なんですよ。

――クルマ屋さんを始めたのは何歳のときですか?

池谷さん 大学生のときからすでに車屋みたいなことはしてましたね。体育会の自動車部で練習するかたわら、友人のクルマの車検を取ってあげたり、中古車を探してあげたり。で、そのまま就職しないで、自分でクルマ屋を始めたわけです。

――最初の段階からR30型RSをご専門で?

池谷さん いや最初のうちは、自分が大好きな2000ターボRSとランドクルーザーのほかに、普通のミニバンとかも置いてたんですよ。

 でもそっちはなぜかあんまり売れなかったし、自分が大好きで、自信をもって仕上げた2000ターボRSを、これまた2000ターボRSのことが大好きなお客さんが「これ、クルマがいいね!(状態がいいね!)」って言ってくれると、こっちも嬉しいじゃないですか? 

 それでどんどんそっちのほうに特化していった感じですね。でも、今だってご注文があれば何だって販売しますよ。それこそプリウスだって、ダンプだって。なんたって私は“クルマ屋”ですから!

レストア済み車両のコクピットはこのような感じ。ステアリングホイールは、純正品に新品のレザーを巻き直している

新品の純正部品はまだ買えるのか?

足回りのリフレッシュに使われる部品類(のごく一部)

ヘッドライトユニットはすべてこのようにバラしたうえで徹底的な磨きと再メッキなどを行い、LEDのバルブはハロゲン調の色味に調整したものを使用する

――プリウスはさておき(笑)、鉄仮面とか前期型の2000ターボRSって、今でも新品の純正部品はメーカーから出るんですか?

池谷さん レストア時に必要なボディ関連パーツをはじめ、ブレーキやエンジン回りの部品すらも日産さんからは入手できない状況ですね。ゴーンさんの改革があったときに全部廃番になりました。

――じゃ、整備とかはどうすりゃいいんですか!

池谷さん 弊社の場合は、私が約30年にわたって集め続けた中古部品も中古ボディも山ほどあるし、必要な新品パーツもストックしてるから問題ないですけどね。ないものは代用品を使用したり、自社オリジナル部品を製作している場合もあります。

中古車選びは販売店選び!

――なるほど。パーツ供給に関しては、少なくとも御社で車両を買って面倒を見てもらう場合には心配なし、と。ありがちな質問ですが、鉄仮面および前期型2000ターボRSの中古車選びの際に気をつけるウイークポイントは?

池谷さん ……そういった質問に対してはですね、私はいつもこう答えることにしてるんです。「中古車選びは“クルマ選び”ではなく“販売店選び”が重要」ってね。

――どういうことですか?

池谷 DR30に限らず一般的に、プロが販売する中古車に対して素人が“クルマ選び”をするのは難しいと思います。

 テキトーなクルマをロクに整備もせず、見えるところだけキレイにして「古い車ですから、まぁこんなもんですよ」みたいに説明しながら売ってる販売店って、本当に多いんですよ。

 でもあなた、それを見抜く眼力はありますか? 相手は海千山千のプロですよ?

――ハッキリ言って見抜く眼力はないですね。見抜けない自信にあふれてます!

池谷さん それが普通だと思います。だから、ウイークポイントがどうのこうのと言いながら“車選び”をしても意味ないんですよ。

 そんなこと言ったら、車齢30年のDR30スカイラインは過去に大きな事故をしている可能性もありますし、どの部位も壊れる可能性がある(笑)。

 だから、「この販売店/セールスマンが言ってることは信用できるかどうか?」という部分の見極めに全精力を使うべきだと思いますね。そうすれば、満足のいく旧車が買えるはずです。

――なるほど……。話としてはよくわかりますが、それでも「UTILITASで400万円とかで買うのではなく、ヤフオクか何かで格安に買って、それをボチボチ直していく」みたいなやり方も、つい考えてしまうのですが?

池谷さん それはそれで悪くないと思いますよ。そういった考え方もあると思いますし、D.I.Y.でメンテナンスや部品の発注などができる人なら、やってやれないことはないと思います。無理に当社で買っていただく必要はないんですよ。

――ですよね!

池谷さん しかし2020年現在、整備に必要な純正部品の日産からの供給は皆無ですし、整備しながら乗っていくのも一筋縄ではいかない状況です。

 格安ベース車を当社の販売車両と同じように仕上げようと思ったら、販売価格以上にお金がかかっちゃうでしょうね。

 これはセールストークでもポジショントークでもなんでもなく、実際に取り扱っているからわかってることなんです。

 でも、そういったD.I.Y.作業がお好きな方が、あくまで趣味として自分で作業するのは、決して悪いことではないですよね。

――ううむ、そうですか。でも例えばヤフオクとかで格安なやつを買って、それを御社でメンテしてもらうというのはアリですか?

池谷さん 構いませんよ。初期に150万円程度の基本整備を施工いたします。その後は、弊社で車両を買ってくださったお客様の愛車と同じですね。

 ただし順番待ちをしていただく必要はあります。弊社で車両を購入してくださったお客様の作業が優先になりますので。

――ううむ、なるほど。鉄仮面および前期型2000ターボRSの世界観というか、購入と維持の秘訣のようなものは、なんとなくわかったと思います。では最後に「これから鉄仮面を買うかも?」という人に向け、メッセージをお願いします。

池谷さん 製造からもはや35年以上が経過した工業製品であるDR30です。維持に対する予算確保と、紫外線と降雨から愛車を守る保管環境の確保をして大切に乗ってあげてください。

 弊社で販売している車両は、車両本体価格のほかに納車整備費用30万円(税別)がかかります。

 通常、中古車販売の納車整備で30万円の請求をするお店はないと思いますが、購入してからオーナーさんが保守整備に注力する必要がないように、エンジン回りとシャシー回り、特にラジエターやウォーターポンプなどの冷却系統、ブレーキ回りの全オーバーホールとホースやブッシュ類のゴム関係交換、消耗品&油脂類の全交換、エアコンやパワステなど点検およびオーバーホール等々をやります。

 同じことをディーラーでやるとなると、30万円の2倍か3倍はかかるはずです(笑)。まぁ本当にご興味があれば、ぜひお問い合わせくださいね。

――本日は取材にご協力いただき、また率直な忌憚なきご意見、ありがとうございました!

多岐にわたる徹底的な納車整備は別途30万円(税別)。ディーラーにこれと同じ作業を依頼するとなると、間違いなく2倍から3倍の請求額になるとのこと


■スカイラインハードトップ2000ターボインタークーラーRS-X主要諸元
●ボディサイズ:全長4620×全幅1675×全高1360mm
●ホイールベース:2615mm
●車両重量:1245kg
●エンジン:FJ20ET型直4DOHC4バルブターボ・1990cc
●最高出力:205ps/6400rpm
●最大トルク:25.0kgm/4000rpm
●トランスミッション/5速MT
●サスペンション:前ストラット/後セミトレーリングアーム
●ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク/後ディスクタイヤ
●タイヤサイズ:205/60R15(ヨコハマ・アドバンA450)
■1984年発売当時新車価格:
・2ドアハードトップ2000ターボインタークーラーRS-X:273万9000円
・2ドアハードトップ2000ターボインタークーラーRS:247万4000円
・4ドアセダン2000ターボインタークーラーRS-X:268万4000円
・4ドアセダン2000ターボインタークーラーRS:241万9000円

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みんなのコメント

45件
  • 力説してるけど、RS-XとRS-XターボCの話でしょ?
    RSにはターボは付いてないし、RS-Xにはインタークーラーは付いてない。インタークーラーターボはRS-XターボCだけど、勉強不足じゃないかな?
  • >中古車事情に詳しい伊達軍曹が
    >その中古車を買えるのではないか……と思って検索すると
    >中古車事情について詳しく聞いてみることにした

    検索して問い合わせ。伊達軍曹は中古車事情に詳しくないんじゃないかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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