もくじ
どんなクルマ?
ー 1.4ℓ 150ps もっとも「お買い得」
どんな感じ?
ー パサートにはディーゼルよりガソリンか
ー キャビン、衝撃はないがクリーンでシンプル
ー エンジンは柔軟 乗り心地は不満
「買い」か?
ー いくつかの条件付きで「買い」
どんなクルマ?
1.4ℓ 150ps もっとも「お買い得」
その導入から3年が経とうとしている、第8世代のフォルクスワーゲン・パサートは、豊富なバリエーションを形成しつつある。
今のところ英国市場向けには、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載するモデルがそれぞれ4種類設定され、つい最近まで続いたGTE(プラグイン・ハイブリッド)が、英国市場で唯一のガソリンエンジン搭載車であった状況は改善された。
現在、欧州全域で、様々なスタイルや大きさのディーゼルエンジンを搭載する新車がどのような関心にさらされているかを考えると、これはいささか認識や慎重さに欠けたアクションであるが、主力モデルのひとつの販売台数を維持したいと願うメーカーのアクションとしては、避けて通れないものだったのは明らかだ。
2014年に現行パサートが英国に導入された時、そのラインナップはほぼすべてがディーゼル車であった。その1年後、いわゆるディーゼルゲートと呼ばれるスキャンダルが誌面を賑わすことになる。
その後、フォルクスワーゲンは、問題解決を急務とし、その一方で、ミドルサイズ・サルーンの大きなマーケット・シェアを失った。
そして現在、ガソリンターボのパサートは、124psと150psを発揮する1.4ℓTSI、180psを発揮する1.8ℓTSI、220psを発揮する2.0ℓ TSIから選択することができる。
今回のテスト車は1.4ℓモデルの高出力版で、アクティブ気筒休止機能を備える、ラインナップ中でもっとも経済的なモデルでもある。
これまでも、他の市場のパサート購買者はこれらのエンジンを選択することができたので、英国への導入はそれほど大騒ぎすることではないのかもしれない。
加えて、フォルクスワーゲンの新しい1.5ℓEVOガソリンエンジン搭載車がパサートのラインナップに加わるのは、次回のフェイスリフトまで待たなければならない。
どんな感じ?
パサートにはディーゼルよりガソリンか
パサートに搭載される1.4ℓターボは、150psのパワー(競合車のダウンサイジングターボと比べると、多少不利な数値である)と、25.4kg-mのトルク(こちらの数値は十分魅力的だ)を発揮する。
しかし、同じ出力を誇る同社の2.0ℓディーゼルを搭載したパサートは、スペック表の上では40%以上高いトルクを発揮することになっているが、加速性能では劣る(0-100km/h加速は、0.3秒遅い8.7秒)うえに、30万円も高価であり、規制が現状のまま推移すると仮定した場合、英国では税制上も不利となる。
世論がどちらに傾こうと、もしパサートの購入を検討しているなら、ディーゼル車ではなくガソリン車を選ぶべきだとする、客観的で耳を傾けたほうがよい理由が存在する。
乗り始めて気付くのは、このクルマへの期待が裏切られるよりも、それを裏付ける多くの理由がみつかるはずだということ。
このクルマはスマートで、十分な車内空間を確保し、快適で、申し分なく仕立てられたモダンなサルーンだ。素材の統一性や技術的な洗練により、そのキャビンは上質なものとなっている。
さらに、搭載されるターボエンジンは、突出してはいないが、軽やかに回り、フレキシブルで、このクルマのキャラクターにマッチしている。しかも、ディーゼルよりも最適といえるほどである。
パサートのドライビングポジションは、そこまでスポーティさを演出するものではないが、ヒップポイントは十分低く設定されており、車体のロールセンター近くに位置する。そこからの視界も悪くない。
キャビンのデザインを見ていこう。
キャビン、衝撃はないがクリーンでシンプル
キャビンのデザインはクリーンでシンプル、素材の特徴を活かしている。モールド、スイッチ、ボタン類の配置、仕上げ、感触などのすべてにおいて統一感を持たせてあり、インフォテインメント・システムの配置や使い勝手に関しても考え抜かれている。
たしかに、目がくらむような衝撃を覚えることはない。しかし、日々のこのクルマとの付き合いの中から、このクルマが良質なものであることに気付かされるはずだ。
GTスペックを選択したなら、最新テクノロジーの多くが標準装備される。12.3インチのフラットスクリーンで構成されるデジタル計器盤は、アクティブ・インフォ・ディスプレイと呼ばれる。設定の仕方を熟知したなら、自分好みの設定にすることもできる。
加えて、最上位機種であるディスカバー・プロ・システムの廉価版である、8.0インチのディスプレイを持つディスカバー・ナビゲーション・インフォテインメント・システムを備える。
ちなみにこのシステムは、われわれがもっとも評価するアイテムだ。そのわけは、上位システムと異なり、音量や地図の操作に物理的なスイッチを使うことができ、オプションで用意される9.2インチのジェスチャー・コントロールは、まだ洗練すべき余地が多いからである。
エンジンや乗り心地はどうだろう?
エンジンは柔軟 乗り心地は不満
1.4ℓエンジンは、アイドリング時と巡航時には特に静かだ。低回転域では若干戸惑いを覚えるものの、2000rpmから4000rpmへかけての常用トルクは素晴らしく、5000rpmまで常用域は続く。それ以上の使用も可能ながら、勢いの低下は若干みられる。
常識的な使用範囲であれば、このクルマはとても躾が行き届いており、柔軟性のあるエンジンは、追い越しでの苦労も皆無である。高速道路での快適なドライブを約束する力強さも備える。
実際の燃費は、高速巡航で14km/ℓ台を達成する程度なら容易だ。しかし、積極的な運転をした場合、この数値はディーゼル車のそれと比べ急速に低下する。
倹約家に朗報なのは、このクルマはドライバーを刺激するようなクルマではないということ。以前テストした車輛では、オプションで装着できるダイナミック・シャシー・コントロールのアダプティブダンパーの効用を主に試した。
英国の公道で通常のシャシーに大きいサイズのアルミ・ホイールを装着したモデルをテストするのは、恐らく今回が始めてだが、英国の典型的な公道において、ソフトな乗り心地と期待される衝撃吸収をみせた。一方で、やや俊敏性には欠けるこのシャシーは、器用さと洗練性に少欠けている。
このクルマは、高速道路においても多少ふらつくことがある。それは、洗練性を欠いたダンパーの初期反応や、姿勢を穏やかに保つことができる適切なスプリングの不在によるものだ。
今日のフォルクスワーゲンの各モデルがそうであるように、このクルマも、技術を駆使してドライバーの快適性を追求している。しかしそのハンドリングは、正確性でも、洗練度でも、同じクラスのライバルに比べて劣り、鞭を入れた時の剛性感にも疑問が残った。
「買い」か?
いくつかの条件付きで「買い」
購入はあり、かもしれない。ただし、いくつかの条件付きだ。
ヴォグゾール・インシグニア・グランドスポーツの刷新や、コンパクト・プレミアム・ハッチバックやクロスオーバー・ハッチバックにおける多くの魅力的な選択肢の台頭などを考慮しても、フォルクスワーゲン・パサートは、今なお魅力的なクルマである。
価格に見合う価値や、技術的な裏打ち、そしてすべての項目において熟成された存在は非常に稀である。あなたのライフスタイルがハッチバックを必要とするのなら、伝統的な3ボックスのセダンはそもそも選択肢には入らず、このクルマの実用性を理解することもできないだろう。
力強い150psの1.4ℓTSIガソリンターボの選択肢はパサートの購買層を広げ、さらなる熟成を呼び込み、それは多くのユーザーにとって有意義なものとなるはずである。
このクルマのポテンシャルを最大限に生かしたいのなら、装備の選択にじっくりと時間を掛けるべきである。大径ホイールを装着するのであれば、長距離クルーズにおける快適性を損なわないためにも、アダプティブダンパーは同時に選択すべきである。
フォルクスワーゲン・パサート1.4 TSI 150 GT
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