先日、三菱から発表されたトライトンには、かなりの勢いで注文が入っている。これほどまでに人々を引き付けるピックアップトラックの魅力は何なのか。少し前は、クルマ好きしか買わない少し困ったクルマという印象があったが、ピックアップトラックの現在の立ち位置は、かつてのイメージとは大きく変わっていた。
文:佐々木 亘╱写真:ベストカー編集部、トヨタ、三菱
ワイルドに行こうぜ!! 男なら一度は憧れるピックアップトラックがある日常ってどんなもんよ!?
■ピックアップトラックの魅力を改めて考えてみた
日常から非現実的なアウトドアまで... あなたの相棒にピッタリ!!
2023年、トヨタ・ハイラックスの販売台数は年間で1万770台だ。各車に納期や生産数の差などはあるが、数字だけを比べれば、カローラスポーツの昨年の販売台数(1万720台)に近しい。ヴェルファイアには一歩届かないものの、GR86よりは確実にハイラックスの方が売れているのがハイラックスだ。
ちなみに2021年も、2022年もハイラックスは年間1万台近い販売台数を記録している。令和の今、ピックアップトラックが集める視線は、かつてのものとは大きく違う。
実際の所有者に話を聞くと、ピックアップトラックは「乗用車と商用車の長所を併せ持つ実用性の高いクルマ」と言われることが多い。
かつては北米市場での高い人気を背景に、アメリカンな雰囲気を得たいと、ピックアップトラックを選ぶ人が多かったようだが、現在は立派な実用車としてピックアップトラックが選ばれているのだ。
車両設計の基本概念は、作業用の車両としての機能性を重視している。加えて、ハイラックスやトライトンのようなダブルキャブピックアップトラックの後部座席は、ファミリーユースにも十分な機能を持ち合わせるのだ。
座席がペナペナで乗り心地が悪いというのは、過去のイメージのお話。実際に乗ってみると、「これなら」ではなく、「これがいいよね」と納得できる仕上がりだった。
ミドル~大型のクロスオーバーSUVよりも自由度が高く、目的意識も強くステータスにもなってくれる。これが最近のピックアップトラックの存在なのだ。
■ミニバンやSUVじゃ無理!ピックアップトラックだからできる特別な生活
ピックアップトラックは、アウトドアライフにおいて最高の相棒だ。一般的な乗用車には詰めないものでも、ピックアップトラックならガンガン放り込める。
また、自家用車の積載性の高さは、普段の生活を大きく変えるきっかけにもなってくるのだ。
DIYやガーデニングを楽しむ際に、資材や園芸用の土、プランターなどを購入量や汚れを気にすることなく積み込める。
家具を新調したいと思った時も、クルマで出かけて購入し、荷台に積み込んで持ち帰り、すぐに設置できる。購入先に配送を頼み、数日後に自宅で受け取る生活とは、大きく価値観が変わってくるだろう。
キャノピーを付けて汚れず濡れない大きな荷室にするのもいいし、開放的な荷台に商売道具を積んで移動販売などを楽しむこともできるのだ。
都市型の乗用車よりも、クルマの用途が大きく広がる。クルマという存在に対して、「走る・人を運ぶ」以外の大きな可能性を感じられるところが、今ピックアップトラックが選ばれる一つの理由だ。
■長すぎる全長問題を解決できればピックアップトラック生活もアリ
この車がほしいと思わせる魅力があるのがトライトンの最高の魅力だ
人が窮屈なく乗れて、荷物も大量に載せられるということは、それだけクルマが大きいことを意味する。ここがピックアップトラック導入時に気を付けたいポイントだ。
特に全長の長さに苦労すると思う。ハイラックスは全長5,340mm、トライトンは5,360mmだ。アルファードが全長4,995mmと考えるとかなり長いことがわかると思う。ボディの長い印象のあるレクサスLSでも全長は5,235mm。
ここから10cm以上長くなるということは、それだけ運転にも慎重にならざるを得ないし、保管場所にも気を遣う。都市部では車庫証明をとるだけで一苦労というケースも、多分に見られるはずだ。
ただ、この点をクリアできるなら、都市部に住む人でもピックアップトラックの所有を考えてもいいと思う。都市部でのドライブには向かないが、元々公共交通機関が発達している大都市圏なら、普段の足としてクルマを使うことも少ないだろう。レジャー使用をメインにマイカーを使うなら、こんなに楽しく頼りになるクルマは他にはない。
ピックアップトラックと名がついているが、令和の今、その中身はトラックの機能を付けた普通の乗用車だ。
一度乗り込めば、商用とか業務用といったチープな印象は無くなるだろう。ハイラックスやトライトンは、これまで人気だった本格クロスカントリーSUVの進化形とも言えるクルマだ。その魅力を、多くの人に気づいてほしい。
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