2024年6月の新エネルギー車の販売台数は85.6万台
中国市場における最直近の6月のEV販売動向の詳細が判明。中国の歴史上最高の電動化率を更新するという快挙を達成しました。
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まず、中国市場におけるバッテリーEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数は85.6万台と、前年同月の66.5万台と比較しても29%もの販売増加を記録しました。そして、新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は48.44%と、歴史上最高の電動化率を更新してきた格好です。2024年に突入して以降、新エネルギー車への需要が増大、そのペースがまったく衰えず、むしろ加速している様子すら見て取れます。
他方で、新エネルギー車のなかでもバッテリーEVとPHEVの販売割合という観点も注目です。
2021年6月時点での新エネルギー車全体に占めるバッテリーEVのシェア率は81.22%と、バッテリーEVが圧倒的なシェア率を示していたものの、直近の2024年6月単体では57.59%と、PHEVのシェア率が急速に増加している様子が見て取れます。よって、現在の中国国内で売れている新エネルギー車の販売割合は、バッテリーEVが6割、PHEVが4割というイメージとなります。
そして、バッテリーEVに絞った販売シェア率の変遷にも注目すると、6月単体のシェア率は27.9%を達成。四半期ベースでのシェア率も、Q2は27.81%と、過去四半期と比較しても圧倒的な伸びを実現しました。いずれにしても、確かにPHEVの販売シェア率が急増しているものの、同じくバッテリーEVも史上最高のシェア率を更新中であり、EVシフト減速とは無縁の世界線である様子が見て取れるでしょう。
次に、中国国内でどのような電気自動車が人気であったのかについて、車種別販売動向を確認しましょう。
初めに、6月に限った、内燃機関車も含めたすべての販売ランキングトップ30を確認しましょう。ピンクが新エネルギー車、緑が内燃機関車を示しています。トップに君臨したのがテスラ・モデルYです。その後にBYDの大衆セダンQin Plus、BYDシーガル、BYD Song Plus、そして日産シルフィと続いていきますが、トップ10のうち、なんと内燃機関車はシルフィを筆頭として、たったの3車種しかランクインすることができていません。トップ20に広げてみてもたったの6車種です。
つまり、すでに人気車種の圧倒的マジョリティが新エネルギー車で占められてしまっているということを意味します。
次にこのグラフは、新エネルギー車に絞った販売ランキングトップ30を示したものです。緑がバッテリーEV、水色がPHEVを示しています。BYDが14車種を席巻しながら、トップ20に限ると9車種、トップ10に限ると7車種と、BYDの王者の貫禄が見て取れます。
他方で、今回注目するべきは、第12位にランクインしたAito M7、および第14位にランクインしたAito M9の存在です。このAitoはファーウェイが支配権を有する自動車ブランドであり、着実にファーウェイが中国EV市場でプレゼンスを高めている様子が見て取れます。
そして、第11位、および第30位にそれぞれランクインしたBYDのQin L、Seal 06も見逃せません。5月末から正式発売がスタートしている第五世代のPHEVシステムを搭載した両車種は、瞬く間に販売台数を伸ばして、すでに中国の人気車種の一角を構成しています。
大衆セグメントではBYDが異次元の力を発揮
次にこのグラフは、バッテリーEVに絞った販売ランキングトップ30を示したものです。黄色で示されたBYDがトップ20のうち7車種を席巻しながら、テスラ・モデル3の競合車種であるZeekr 001、シャオミSU7が急速に販売台数を伸ばしているという点も注目ポイントです。
そして、その車種別の販売動向をさらに詳細に分析するために、今回は大衆セダンとプレミアムBEVセダン、および高級セグメントという、もっとも販売動向が変化している各セグメントを取り上げましょう。
まず大衆セダンセグメントの販売動向について、やはりBYD Qin PlusがHonor Editionによる大幅値下げによって、競合の追随を許さない驚異的な販売台数をキープすることに成功しています。
よりわかりやすいように、兄弟車の販売台数を合計した累計台数の変遷を見てみると、やはりBYDのQin PlusとDestroyer 05がトップに君臨しながら、ホンダのシビックとインテグラ連合、トヨタのカローラとレビン連合、そして日産シルフィが年を追うごとに低迷している様子が見て取れます。
そして、この大衆セダンセグメントに、BYDのQin L、およびSeal 06というゲームチェンジャー的な存在が5月末に投入されてしまっているという点が重要であり、6月で2.5万台以上の販売台数を実現。Qin PlusとDestroyer 05連合と合算すれば、この大衆セダンセグメントは、もはやBYDにはまったく対抗できなくなっている状況です。
ちなみに、BYDと日本メーカー勢、およびフォルクスワーゲンという、大衆セグメントの販売が中心の大衆ブランドの四半期別の販売台数の変遷を見てみると、BYDは前年同四半期比で23.3%ものプラス成長を実現している一方、トヨタは20.8%ものマイナス成長、ホンダも31.5%ものマイナス成長、日産も12.3%ものマイナス成長と、BYDのひとり勝ちの構図がより鮮明となってきています。
次に、プレミアムBEVセダンセグメントに関して、四半期別の販売台数を見てみると、まずモデル3については、前年同四半期比でマイナス18.9%もの販売低下が確認されています。そしてついに、この王者モデル3越えを果たしたのがZeekr 001の存在です。Zeekr 001は、日本円で550万円以上からのスタートであり、モデル3よりも高額でありながら、それでも四半期ベースでモデル3を超える販売台数を実現しており、その需要の大きさが見て取れます。しかもZeekrはさらに007というセダンもラインアップしていることから、ZeekrのBEVセダンに対する需要の高さが見て取れるでしょう。
利益度外視で中国EV戦争に挑むZeekr! 「001」は大幅進化でコストアップもまさかの値下げで勝負
そして、2024年下半期は、さらに強力なライバルとしてシャオミSU7が台頭するでしょう。4月から納車をスタートしているSU7は、Q2だけでジャスト3万台を納車することに成功。生産体制が拡張した暁には、モデル3とZeekr 001を上まわる公算です。
最後に注目したいのが、日本円で概ね1000万円級という高級車の販売動向です。
これまでアウディA6L、メルセデスEクラス、BMW X5などという、ドイツ御三家が販売シェアを支配するセグメントであったものの、まさにいま現在、そのドイツ御三家の時代を終わらせようとしているのがファーウェイの存在です。日本円で1000万円級、2月に正式納車がスタートしているAito M9は瞬く間に販売台数を伸ばして、5月に続いて、3ヶ月連続で高級セグメントトップを実現しています。
中国市場でファーウェイのEVが爆発的人気! ライバルを凌ぐ激安っぷりと超豪華内装のAITO M9とは
さらに、ファーウェイは8月中にも、「7・8・S(BMW7シリーズ・アウディA8・メルセデスSクラスの略称)」に対抗するフラグシップセダン「Stelato S9」を発売することから、ドイツ御三家にとって、さらに厳しい局面が訪れるのではないかと危惧します。
いずれにしても、
・大衆セグメントは、BYDが異次元の支配力を発揮しており、それに対して、日本メーカーの販売台数がさらに低下している状況
・中国市場が稼ぎどころでもあるドイツ御三家も、ファーウェイの台頭によって販売シェアを落としていく懸念
・2024年下半期から2025年前半は、モデル3に続いて、モデルYに対抗する競合EVが続々登場予定
中国EVメーカーの最新動向とともに、中国国内のEVシフト動向については定期的に情報をアップデートしていきたいと思います。
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