米西部時2020年12月8日、カリフォルニア州のシリコンバレーにあるモナーク・トラクター社が世界初の自動運転によるEVトラクター「モナーク・トラクター」を発表した。
EV、そしてAIは今、そしてこれからの世界を創る基幹となるテクノロジーだ。農業の現場における深刻な人手不足の解消や、世界的な気候変化への対応など、間違いなく急速に一般化してゆくであろうAIによる計画的管理生産に対応するトラクターともいえる。
現在、農作業の現場で稼働しているディーゼルエンジン搭載のトラクターは、排出ガスが市販自動車の5倍以上ともいわれており、クリーンエネルギーの導入=EV化は重要な課題だ。
【画像ギャラリー】自動運転を実現するフルEVのモナーク・トラクター
発表されたフルEVのモナーク・トラクターは、通常のモーター出力が40hp/30kWで、ピークパワーは70hp/55kWを発揮する。220V電源で4~5時間充電すると、10時間以上の稼働が可能だという。
作業現場で必要になるけん引や油圧ポンプなどの機能も装備。簡単な溶接やほかのEVユニットへの充電など電源サプライとして利用でき、オプションとして4WD仕様も用意する。
自動運転は標準装備だ。360度をカバーするカメラ映像による対人/対物検知はもちろんのこと、転覆抑止機能付きの自動運転機能は、有人運転をサポートする「シャドーモード」と、完全無人オペレーションに対応する。
天候などの現地情報は、スマートフォンやタブレットデバイスを介してリアルタイムでデータ通信を行い、トラクター側で日々取得する240GB以上の収穫データは、AIによる作業効率化と計画農業に活用させるのだという。
2020年初に募集したファウンダーも規定規模を達成した。インベスター(投資家)には、豊橋市にあるトランスミッションなどのギヤ関連メーカー「武蔵精密工業」も名を連ねる。同社は出資だけでなく、モナーク・トラクターに用いられるギヤボックスの開発も手がける、重要なパートナーという位置づけ。そんな話を聞き、なんだか自動化トラクターを取り上げた“下町ロケット”をリアルワールドで見ているようで気持ちが高ぶり、思い入れも深まった。
ベースモデルは5万ドルからと、従来の機器に比べて格安とはいかないものの、十分すぎるほどリーズナブルな価格設定だとおもう。
2021年の秋からのデリバリーを予定しており、現在500ドルの予約金の受け付けを開始しており、予約が殺到しているとのことだ。
〈文=ケニー中嶋〉
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