フォルクスワーゲンは、2月1~2日にオーストリアで開催された『2020 GPアイスレース』の会場で、EVパフォーマンスカーとレースカーにつながるスタディモデル『エレクトリック・ゴルフRコンセプト』を公開。ブランドの将来を示唆する電動化技術のショーケースとして、氷上特設トラックでのデモンストレーションランを披露した。
オーストリア・ザルツブルグ州のウインターリゾート、ツェル・アム・ゼーで2度目の開催を迎えたGPアイスレースは、45年の中断を経て2019年に復活した伝説的イベントで、同イベント内でピレリが2021年のWRC世界ラリー選手権用タイヤレンジの一部を発表するなど、多くの企業が参加した。
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フォルクスワーゲン・モータースポーツのプレスリリース上では「フォルクスワーゲンR部門の、将来を担うEVパフォーマンスカーの“大使”になる」と説明された電動ゴルフRコンセプトは、その技術的詳細はほとんど発表されないままだったものの、市販モデルの『ゴルフR』と同様“4MOTION”の呼称を持つ4輪駆動技術を採用。電動パワートレインを搭載するシャシーは、TCR規定ツーリングカー『ゴルフGTI TCR』のものを流用したとみられている。
フォルクスワーゲンは、アウディを含むグループの方針として「内燃機関を使用するモータースポーツ・カテゴリーの活動にはワークスとして関与しない」とアナウンスしており、ブランド内のモータースポーツ・プログラムをすべて電動化する計画を発表済み。
この方針は早くも2020年シーズンから実行に移され、今後はTCRを含むすべての内燃機関カテゴリーでワークス活動は行わない。
フォルクスワーゲンはGPアイスレースの会場で、PPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムのタイムレコード更新を皮切りに、ドイツ・ニュルブルクリンク北コース、グッドウッド、そして中国・天門山などで立て続けに新記録を打ち立てた電動化技術の急先鋒『ID.R』の展示も行っていた。
さらに北米のラリークロス・シーンで活躍し、アンドレッティ・モータースポートとのジョイントでタイトルを総なめにしたビートルRこと『フォルクスワーゲン・ビートルRXスーパーカー(GRC)』に、往年のクラシック・ラリーカーである『ビートル1302 S “ザルツブルグ”』なども登場。それぞれに、ハンス-ヨアヒム・シュトゥックやタナー・ファウスト、ベンジャミン・ロイヒターらが乗り込んだ。
この電動ゴルフRコンセプトが将来的にどんな方法で活用されるかは未定ながら、搭載された4輪駆動EVパワートレーンは、電動ツーリングカーのETCRやラリークロスのProjekt Eなど、モータースポーツプログラムの基礎研究に活用される可能性がある。
フォルクスワーゲンとしては、市販ロードカーのEV部門では従来のゴルフではなく新ブランドから発売された『ID.3』を展開しており、この“電動ゴルフRコンセプト”の状態でワークス活動を行う可能性は低いとみられている。
しかし、2年前には『ID.R』開発プログラムの一環としてEVパワートレーンを、ゴルフGTI TCRにインストールしており、今回のコンセプトモデルはその発展版と思われる。
イベントに先立ち、フォルクスワーゲン・モータースポーツのディレクターを務めるスベン・スミーツは「ツェル・アム・ゼーのアイスレースは、昨年開催された最初のリバイバルで多くのファンを興奮させた」と語り、電動化技術お披露目の場として機能することを期待すると語った。
「モータースポーツのエッセンスと、アルプスの真ん中にある氷上サーキットの組み合わせは本当に素晴らしい。今年ツェル・アム・ゼーに持ち込むレーシングカーのコレクションにより、ファンに向けた最高のショーを披露できるだろう」
「ヴィンテージカーと現代のモデルや最新レースカーは、最高にエキサイティングな組み合わせだ。さらに完全電気自動車の優れたパフォーマンスにより、自動車に関する未来の展望をお届けすることができるだろう」
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