道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター、山本圭司理事長)は4日、一部地域で実施していたカーナビゲーションへのプローブ情報活用サービスの実証実験を同日から全国に拡大すると発表した。走行車両から得られる位置などを、道路に設置された感知器から収集した情報と組み合わせることで、従来比で約2倍の道路交通情報を提供することができる。渋滞解消や走行車両からの二酸化炭素(CO2)排出削減など社会課題の解決につなげる。自動車メーカー、カーナビメーカーや関係省庁などの理解と協力を得ながら社会的合意形成を図り、早期の実用化を目指す。
同実証実験は、VICSセンターと日本道路交通情報センター(JARTIC、池田克彦理事長)が共同で、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、パイオニアの協力を得て2020年4月に関東1都6県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県)で開始した。22年1月からは北海道札幌エリア、愛知県、大阪府も加えて実施してきた。
パイオニア、車両移動のCO2削減を支援する新プラットフォーム構築 カーナビと連携し移動ルート提案
道路を走行する車両から得られる位置、速度、通過時刻などのプローブ情報を利用して交通情報を生成し、道路感知器からの道路交通情報を補完・補強してカーナビに提供する。従来の道路交通情報では、都道府県警察や道路管理者が道路に設置した感知器から収集された情報をもとに作られており、感知器がない道路の交通情報を提供できないことが課題だった。
プローブ情報を活用することで、よりきめ細やかな交通情報をカーナビに提供できるようになる。VICSセンターによると、これまで実証実験を行ってきた対象地域では、ルートの最適化や到着予想時刻のズレ改善などの効果が確認されたという。
実証実験に参画している自動車メーカーなどが収集しているプローブ情報は統計化し、個人を特定できない情報がVICSセンターに提供されている。プローブ情報は乗用車のデータのみとなっている。同サービスはVICS対応カーナビを搭載していれば無料で利用できる。
自然災害や停電などで感知器が停止した場合でも、プローブ情報からリアルタイムの道路交通情報を提供できる。道路交通の安全確保や被災地の復旧・復興活動など災害対応に対する貢献も期待できる。
1996年にVICSセンターが道路交通情報配信サービスを開始して以降、VICS車載器の累計出荷台数は現在約7500万台まで増えた。記者会見に出席した本郷俊昭常務理事は「(VICSのプローブ情報活用サービスは)自動車・カーナビゲーション各社にとって協調領域とするサービス。賛同いただければぜひ一緒にやっていきたい」と参画企業の拡大を歓迎した。
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