アウディスポーツ・カスタマーレーシングのクリス・ラインケが、2024年にWEC世界耐久選手権において新たに導入されるLMGT3クラス参戦の見通しを語った。
WECは、2023年シーズン終了とともに現在のLMGTEアマクラスを廃止し、FIA GT3車両をベースとする新カテゴリー『LMGT3』を導入することを発表済み。さらに、参加台数についてはひとつのGT3ブランドにつき2台までとされ、同シリーズの“最高峰”ハイパーカークラスに参戦しているメーカーにエントリーの優先権があることもわかっている。
WEC、新設LMGT3での「1社につき2台」を確認。ハイパーカーメーカーへの優先権付与も
アウディは、当時のトップクラスであるLMP1クラスに『アウディR18 e-tronクワトロ』を投入してトヨタとポルシェを相手に戦った2016年を最後にWECから退いているが、2024年より新クラスであるLMGT3へのエントリーを目指している、数あるGT3ブランドのひとつだ。
ラインケによると、2024年シーズンのLMGT3クラスへの参戦については現在、4つのカスタマーチームが興味を示しているという。前述のとおり、参加台数に関してはひとつのGT3ブランドにつき2台までという制限があるが、同氏は「参戦にかかるコストが明確になったならば、彼ら全員が関心を維持し続けるかどうかわかる」とSportscar365に語った。
「他のメーカーと同じようにLMDhマシンやLMGT3を検討してきたが、私たちにはル・マンでの素晴らしい歴史がある。そのため、レースに参加する機会を探るために自分たちは会社の戦略的目標に沿った論理をつねに考慮する必要がある」
「現時点では、それがカスタマー・レーシングの課題だ。また、最終的に当社の優先順位を決定するのは顧客だ。いまはまだ投資家はどのメーカーのマシンでエントリーするのかを決定するために、ACOが定義したテクニカルレギュレーションなどの可能性からさまざまなことを理解する段階にある」
LMGT3には6~8社のメーカーに相当する12~16台の車両が含まれると推定されており、現在ハイパーカークラスに参戦しているフェラーリやポルシェ、GM(キャデラック)、そして潜在的にはトヨタやレクサスブランドがエントリーへの関心を示していると考えられる。また、2024年からLMDhマシンを使ってハイパーカークラスへ参戦するBMWやランボルギーニに加え、GT3カーを製造しているアストンマーティン、フォード、マクラーレン、メルセデスといったメーカーはいずれも関心を示している状況だ。
これらのメーカーすべてがLMGT3クラスに参戦するということは、現時点で推定されているグリッド数からは叶わないと考えられ、どのメーカーがこのクラスへ参入するか注目されているが、ラインケはアウディの積み重ねてきたWECやル・マンでの歴史が他のメーカーよりも考慮されるだろうと信じている。
「現時点では、(1メーカーにつき2台までという)制限をどのように理解すべきかは検証の余地があるが、過去10年間にWECおよびル・マンで重要な役割を果たしたメーカーとして、少なくとも1台のエントリーができると期待している」とアウディLMP1プログラムの元責任者は述べた。
「残る1台のエントリー枠については、どれだけのカスタマーチームが興味を示すかによって決まるだろう」
「私たちにとって、ル・マンはつねにレースにおける未来のテクノロジーを証明する場であり、それはメーカーとしての私たちの信念『技術を追求する』ということに繋がる。これが私たちがル・マンに参戦する理由だ」
「今の私たちは、まったく異なる視点に立っている。これは、自分自身が参加することのできる、ロードカーベースのレーシングカーという体験型製品なのだ。そして、アウディの栄光に満ちた時代をそこで取り戻すことになることは明らかだ。よりエキサイティングで、これまでとはまったく違うものになると思うよ」
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