トヨタ自動車が展開する高級車ブランドのレクサスは2023年10月19日、新型LMの日本仕様を発表し、注文受付を開始した。グレードはLM500hのみをラインアップし、車両価格は2000万円に設定。発売は12月下旬頃を予定している。
LMはレクサス・ブランドのフラッグシップMPVに位置し、従来型は2019年に発表され、2020年より販売を開始する。トヨタの上級ミニバンのアルファード/ヴェルファイアと基本コンポーネントを共用化したうえで、吸・遮音材の増強や足回りのセッティング変更、内外装のさらなる高級化などを図って、レクサスならではのプレミアムなラグジュアリームーバー=LMに仕立てる。販売市場は中国やアジア地域がメインで、ショーファードリブンMPVの需要に対応。仕様としては4名乗りと7名乗りを設定し、幅広いユーザー層に好評を博した。
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第2世代に移行した新型LMは、近年のラグジュアリーマーケットにおけるユーザーの価値観の変化を受け、ラグジュアリームーバーとしての価値や存在意義を改めて見直して全面刷新。すべての乗員が自然体でくつろげる乗り味と居住空間を作り上げることを目指した。そして日本仕様は、ショーファードリブンであることを強調した後席2名乗車の4名乗りモデルのみで構成。主な特長としては、(1)レクサスのDNAをさらに進化させた乗り心地と感性に寄り添った静粛性(2)機能的本質や動的性能に根差したプロポーションと独自性の追求(3)心と身体が整う細部までこだわったさりげないおもてなしと多彩な装備(4)ショーファードリブンに特化した4座仕様のレイアウト(5)人間中心の考え方に基づいた最新の予防安全機能、という内容を掲げている。
まずエクステリアは、“Dignified Elegance”をキーワードに、「機能的本質や動的性能に根ざしたプロポーションと独自性の追求」をMPVパッケージにおいて表現する。基本スタイルは乗員スペースを最大限に確保した前後方向に抜けの良い開放的なキャビンと、走りの良さや快適な乗り心地を想起させる前後タイヤの存在感を強調した造形を融合させることで、躍動感がありながら上品で伸びやかな独自のフォルムを創出。また、フロントマスクはレクサスのアイデンティティであるスピンドルボディをさらに進化させ、押し出しの強いスピンドル形状のグリルに外板色を採用してボディと一体でシームレスに表現した。合わせて周辺部品との境界の段差を減らし、ボディとより融合した構成とすることで、空力性能や冷却性能、操安性の向上を果たす。各部のアレンジにもこだわり、3連のLEDランプを配したシャープな造形のフルLEDヘッドライトや、ボディの厚みと上質感を高めるサイドのキャラクターライン、次世代レクサスのアイコンである“Lシェイプ一文字シグネチャー”で仕立てたLEDリアコンビネーションランプと車両の水平軸およびワイド感を強調する上部の一文字ランプ、足もとの存在感を高めるスパッタリング塗装のマルチスポークメッシュ19インチ鍛造アルミホイール+225/55R19タイヤまたは17インチノイズリダクションアルミホイール+225/65R17タイヤなどを採用する。フロントドアにイージークローザーを組み合わせた「eラッチシステム」をレクサスとして初導入したこともトピックだ。ボディサイズは従来型比で85mm長く、40mm幅広く、10mm高く、ホイールベースが同寸の全長5125×全幅1890×全高1955mm/ホイールベース3000mmに設定。ボディカラーはソニックチタニウム、ソニッククォーツ、グラファイトブラックガラスフレーク、ソニックアゲートの計4色をラインアップしている。
内包するインテリアは、乗員が“素に戻れる移動空間”を提供すべく、人間中心の考え方に基づいた精緻な作り込みを実施。室内高のあるパッケージを生かしながら、広く心地よい空間を水平・垂直を基調としたシームレスなデザインテーマで表現し、リビングのようにくつろげる世界観を追求する。シートレイアウトは、ショーファードリブンMPVとしての用途を重視した2列式シートの4名乗りで構成。内装色はソリスホワイトとブラックを用意し、ソリスホワイトでは周辺部にカッパー色のアクセントを加え、一方でブラックにはグレートーンを随所に配するなど、グラデーションをつけた現代的な柄の長方形ドアトリムなどとともに新しい高級表現を目指したモダンプレミアムな世界観を具現化した。
キャビン空間の演出にこだわった点も特長で、フロント席ではモダンで広がりのある空間の中にレクサスのコクピット思想「Tazuna Concept」を採用して、シンプルなインパネとコンソールにより運転に集中できる環境を実現。縦方向につながるコンソールの杢目調パネルの上に、水平基調のインパネが交差する構成とし、前後左右に立体感を感じる開放的なフロント席を実現する。加飾パネルには、日本古来より縁起の良い文様とされる“矢羽根”をモダン柄にアレンジしたヘリンボーン柄杢で再現して配備。一方でステアリング加飾には、日本古来より陶磁器や家屋の彩色に使われてきた自然素材“べんがら”を再現して採用した。また、インストルメントパネルからドアトリムへ繋がるパッドは上質な仕立てにこだわり、金属調加飾を挟み込んだアクセントに加えて端部を折り込んでステッチを施すことで、シンプルながらも細部にわたって妥協しない質感を追求。さらに、前方の道路から室内へのスムーズな視線移動に配慮し、ヘッドアップディスプレイ、12.3インチフル液晶メーター、14.1インチセンターディスプレイを配置する。シート自体は運転席に8wayパワーシート、助手席に4wayパワーシートを採用。表皮はセミアニリン本革とし、温度調整可能なシートヒーターとシートベンチレーションを設定した。
リア席については、水平垂直のテーマに基づいて表現されたパーティション、コントロールパーフォレーションを施した表皮を張るスライドドアトリムなどにより、開放的ながらモダンで落ち着きのある空間を表現。内装部品間の段差を極限まで減らすとともに、サイドウィンドウのグラフィックもシンプルな長方形とするなど、インテリアのあらゆる構成要素から乗員にとっての視覚的ノイズを減らし、乗員がリラックスできる空間を創出する。また、座った瞬間に心身を解放させるような心地よさを目指した、体をゆったり包む大型独立シートを採用。表皮にはレクサス最高級本革であるL-ANILINEを張り、合わせてオットマン付きパワー調整機構や頭部を支える大型ヘッドレスト、シートヒーターとシートベンチレーション、シートバックおよびシートクッション用エアブラダーなどを完備する。また、左右独立したガラスルーフは開放感を高めるとともに、左右のシートとシンクロすることで、よりパーソナルな着座感を創出。天井には上質かつソフトな質感・触感を持ったウルトラスエードを配して、プレミアムな室内空間を表現した。さらに、さりげないおもてなしを演出するヒドゥンテックの考え方で、空調や照明などの各機能は加飾とも融合させながらパーティションとオーバーヘッドコンソールへシンプルに集約。強度の高いマグネシウム製の天板を採用したテーブルなどのユーティリティをアームレスト下へ収納するなど、配置の細部までオーナーの所作に配慮する。様々な用途を想定した収納スペースも装備し、センターコンソール前方のフタ付きフロントボックスや両開きコンソールボックス、オーバーヘッドコンソールの小物入れ、人数分以上のボトルホルダーなどを組み込んだ。そして、先進の機能・快適装備として脱着可能なタッチ式コントローラータイプのリアマルチオペレーションパネル(2個)や、14色のテーマカラーとユーザーの好みに合わせて選べる50色のカスタムカラーを配した室内イルミネーション、48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティション、マークレビンソン リファレンス3Dサラウンドサウンドシステム(23スピーカーシステム)、乗員と周辺温度を検知する後席専用の温熱感IRマトリクスセンサー、エアコン/シートポジション/サンシェード/照明などを統合制御するリアクライメイトコンシェルジュなどを設定している。
基本骨格については、スライドドア開口面積が広く剛性確保が難しいMPVのボディ骨格強化のために、次世代レクサスが一貫して取り組んでいる「素性の刷新」を新型LMでも実践。具体的には、ラジエターサポートブレース/ロッカーストレート構造/リア床下ブレース/クォーターピラー部リインフォースメントの設定などにより、従来型比で約1.5倍のボディねじり剛性を実現する。また、アッパーボディやフロアには構造用接着剤を使用して振動の軽減を達成。合わせて、主要骨格部材にはハイテン材やホットスタンプ材を、スライドドアにはアルミ材を採用して、効果的な軽量化を果たした。
パワートレインに関しては、T24A-FTS型2393cc直列4気筒DOHC・D-4STガソリンターボエンジン(最高出力275ps/6000rpm、最大トルク46.9kg・m/2000~3000rpm)+1ZM型フロントモーター(最高出力64kW、最大トルク292Nm)+1YM型リアモーター(最高出力76kW、最大トルク169Nm)+ニッケル水素電池(容量5Ah)+Direct Shift-6AT(電子制御6速AT)で構成する「eAxle」パラレルハイブリッドシステムのDIRECT4を採用する。パラレルルハイブリッド用に開発した1モーター多段ハイブリッドトランスアクスルは、エンジントルクを直接伝達し、エンジン過給遅れ分をモーターで補うことで、よりシームレスかつ気持ちの良い加速フィーリングを実現。また、DIRECT4の駆動力配分制御は車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて、前後輪の駆動力配分比を100:0~20:80の間で制御し、走行状況に即した最適な駆動状態を維持する。燃費性能はWLTCモードで13.5km/リットルを成し遂げた。
懸架機構はフロントにマクファーソンストラット式、リアにトレーリングアーム式ダブルウィッシュボーンの新設計サスペンションを採用。リニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用した「周波数感応バルブ付きAVS」をレクサスで初導入し、低周波から高周波までの幅広い領域できめ細かく減衰して振動を軽減し、速度を問わず常に上質な乗り心地を提供する。また、エンジンや足回りを統合制御するドライブモードはNormal/Sport/Eco/Customのほか、後席の快適性を重視した「Rear Comfort」モードをレクサスとして初採用した。一方で制動機構には、“Lexus Driving Signature” を進化させるブレーキフィーリングを目指し、前後独立油圧制御により前後回生協調が可能な加圧ユニットを採用。より自然で扱いやすいブレーキフィーリングを実現する。さらに、加圧ユニットによる前後独立の油圧制御により、ドライバーのブレーキ操作量に応じた前後輪の制動力配分を最適化するブレーキ車両姿勢制御を組み込んだ。
「心地よく感じる自然な静けさ」という“静粛感”にこだわった点も見逃せない。ノイズの周波数帯域と発生部位などを解析し、発生するノイズ(源音)を小さくする、車内への侵入を防ぐ(遮音)、車内のノイズを下げる(吸音)の3ステップで取り組む。源音の低減では主にロードノイズと風切り音に着目。ロードノイズはタイヤ周辺、風切り音はボンネットやピラー周りで重点的に対策を施し、合わせてアコースティックガラスを組み込んで、高周波の風切り音の低減を実現する。また、音や振動の発生源のひとつであるエンジン、振動の伝達増幅の原因となるマウント系などは徹底したチューニングを実施。ほかにも、吸音材/遮音材/制振材の分量や厚みをチューニングしてそれぞれの部位に最適配置することで、車室内騒音の大幅な低減を成し遂げた。
先進安全運転支援システムの面では、最新の「Lexus Safety System+」を採用。運転状況に応じて適切な操作サポートを行うプロアクティブドライビングアシスト[PDA]や、ドライバーモニターと連携してドライバーの運転状況に応じた最適制御を行うプリクラッシュセーフティ[PCS]、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)、レーンディパーチャーアラート[LDA]などを設定して、ユーザーの安全・安心なドライブにいっそう貢献する。快適な移動をサポートするアドバンストドライブ(渋滞時支援)やアドバンストパーク(リモート機能付)を組み込む高度運転支援技術「Lexus Teammate」も装備した。さらに、直感的な使いやすさを追求した最新のマルチメディアシステムやOTAソフトウェアアップデート機能、専用のスマートフォンアプリをインストールすることでスマートフォンをデジタルキーやリモートエアコンなどとして使用できる最新のコネクティッド機能を採用している。
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