今月末の3月24~26日に開催される2023年のNASCARカップシリーズ第6戦『エコパーク・オートモーティブ・グランプリ』に、元F1王者キミ・ライコネンの“復帰参戦”が決定。昨季同様トラックハウス・レーシングのシボレー・カマロZL1をドライブし、F1時代に優勝経験もあるCOTAことサーキット・オブ・ジ・アメリカズでのロード戦に挑む。
また同戦に向けては、先日のアクシデントにより左足骨折で欠場を余儀なくされているチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の代役に、ジョーダン・テイラーの起用がアナウンスされている。
急遽欠場のエリオットに捧ぐ。176周制圧のバイロン勝利でヘンドリックが1-2-3達成/NASCAR第3戦
昨季のワトキンスグレンと同じく、チームの国際エントリー枠『プロジェクト91』からエントリー予定の“アイスマン”は、今季最初のロードコースにて『Onx/iLOQシボレー・カマロ』91号車をドライブすることが決まった。
自身のカップシリーズ・デビューとなった“ザ・グレン”では、最終的に37位というリザルトが残っているものの、これはレース中盤にアクシデントに巻き込まれたことによるもの。ライコネンが週末を通して示したペースを表すものではなく、実際のレースでも一時はトップ10を争う速さを披露していた。
そしてこのCOTAは2007年のF1ワールドチャンピオンにとっても馴染みのあるトラックで、キャリアを通じて複数回のレーススタートを経験。2018年にはフェラーリで優勝も飾っている。
「昨年のNASCARでは素晴らしい時間を過ごした」と語ったライコネン。
「非常に短い時間で多くのことを学んだし、誰もが非常に親身に助けてくれたけど、やはりNASCARは大きな挑戦だった。今回は慣れ親しんだコースでレースをするし、学習曲線はそれほど急ではない。楽しみながら、できる限りのことをしたい」と再挑戦への意気込みを語ったライコネン。
このプロジェクト91はトラックハウス・レーシングの創設者であるジャスティン・マークスの発案によるもので、チームとしてもNASCARに関心のある国際的なドライバーのエントリーを「引き続き切望している」という。
「昨年キミ(ライコネン)の起用を発表したとき、私は彼こそがこのプロジェクト91を発案したときに念頭に置いていた“世界的なスーパースター”だと言った。世界中のファンが熱狂的に歓迎したのを見たと思うが、実際にNext-Gen車両でキミが披露したパフォーマンスは、このコンセプトの正しさを証明したと思う」と続けたマークス。
「キミのファンは世界中に数多く存在し、NASCARやトラックハウスにとっても素晴らしい成果になった。そしてキミ自身も、我々のレースを本当に楽しんでいると思うよ」
■ぶっつけ本番スケジュールで本戦に挑むアイスマン
今回は昨季のグレンのように充分な事前テストもなく「ぶっつけ本番」で挑むスケジュールとなるが、ライコネンは準備プロセスの一環としてふたたびチームのワークショップを訪問する。
「NASCARを試してみたいドライバーはたくさんいると思うよ。簡単なことではないが、将来はより多くのヨーロッパ出身者をこのスポーツに引き込む機会が増えるかもしれないね」
一方のヘンドリック・モータースポーツ(HMS)陣営は、今週末に控えたアリゾナ州フェニックスでの第4戦『ユナイテッド・レンタルズ・ワーク・ユニテッド500』と、同じくジョージア州アトランタでの第5戦『アンベター・ヘルス400』のオーバル2戦は、引き続き先週のラスベガスでステアリングを握ったジョシュ・バリーがエリオットの代役を担うものの、月末の国際パーマネントコースでは“ガレージ56”でもコーチ役を務めるテイラーが、初のカップシリーズ参戦を果たす。
ラスベガス戦直前の金曜、コロラド州でスノーボードを楽しんだ際に脛骨を骨折し、その日の夜に3時間に及ぶ手術に成功したエリオットだが、現在リハビリを受けている2020年のカップ王者は、ドライブ可能な状態へ回復するまでに少なくとも約6週間程度はかかるものと予想されている。
こうしてロード戦に向け白羽の矢が立ったテイラーは、言わずと知れたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のDPi/GT両部門を制覇した“3冠”ドライバーであり、2015年にはシボレー・コルベットC7.Rをドライブしてル・マン24時間のLMGTEプロクラス勝利も飾っている。
「我々はチェイスを100%の状態に戻すことに集中している。それに必要なだけの時間を掛け、彼が利用できる最高のリソースを確保できるようにしたい」と語るのは、チームオーナーのリック・ヘンドリック。
「ジョシュは先週末、困難な状況下でも印象的だった。チェイスが復帰できるまで彼にオーバルトラックを走らせることを楽しみにしている。そしてジョーダンはワールドクラスのロードレーサーであり、最近ではル・マン24時間に向けてガレージ56の部隊と協力している。彼はCOTAに足を踏み入れ、素晴らしい仕事をすることができるだろう」
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