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退屈さとは無縁のSUV!ルノー「アルカナ R.S.ライン E-TECH ハイブリッド」の不思議な魅力

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退屈さとは無縁のSUV!ルノー「アルカナ R.S.ライン E-TECH ハイブリッド」の不思議な魅力

オーセンティックなハッチバックを主体にモデル展開を図るルノーから、全く新しいジャンルのモデルが登場した。それが「アルカナ」だ。クーペSUVのスタイルにフルハイブリッドシステムやモータースポーツ由来のギアボックスなどを採用したチャレンジスピリットあふれる一台である。

 ルノーのクルマはちょっと不思議だ。現実主義的なフレンチ・ブランドゆえ実用性が高いのはもちろんだが、プジョーほど割り切った感じではなく、シトロエンやDSのような独創性に富んでいるわけでもない。だが、一方では走りのイメージが強い。その象徴がF1での活躍だろう。かつて1970年代はターボエンジン搭載車の先駆として名を馳せ、1990~2000年代はウィリアムズ等とのタッグや純粋なルノーF1のコンストラクターとして数々の栄冠を手にしてきた。そんな技術の積み重ねが市販車開発にも大きな影響を及ぼしていて、特にハンドリングの良さには定評がある。その最新作がアルカナだ。

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 このモデルはいま流行りのクーペSUVのスタイルで、輸入車としては唯一となるフルハイブリッドシステムを組み合わせた意欲作である。1.6ℓ直列4気筒ガソリンエンジンをベースに、駆動用の電動モーターをフロントアクスルに搭載し、ハイボルテージスターター&ジェネレーター(HSG)と呼ばれる小型モーターを組み合わせる。駆動用バッテリーもハイブリッドとしては大容量で、高速走行向けのセッティングを施すなど、長距離を走るシチュエーションが多い欧州車らしい仕立てとなっている。

 加えてモータースポーツ由来のドグクラッチトランスミッションを採用しているのもトピックだ。通常のトランスミッションはギアチェンジの際にシンクロメッシュ機構が働いて滑らかな変速を実現しているが、ドグミッションではギアとギアを直接噛み合わせることで駆動力をダイレクトに伝えてロスを低減する。ゆえにモータースポーツで重宝されている機構だが、それをあえて市販車に投じてきたのがルノーらしい。もっとも、そのままでは快適性の面で不利になるものの、アルカナではHSGが回転合わせして滑らかに変速するように設計されている。とにかく個性的な仕立てとなっているのである。

 そのアルカナを箱根に走らせた。スタート時はまずEVのようにモーターが働いてしずしずと歩みを進める。ほどなくしてエンジンが掛かるが、その際の音や振動は意識していなければ気づかないほどしっかりと抑えられている。ルノーにとっては市販車初のハイブリッドだが、その出来はかなり上質。ドグミッションはギアの組み合わせで12通りに細かく切り替えられることもあって変速ショックをほとんど感じない。滑らかな動きはレーシングカーの同機構を知るものにとっては驚きですらある。

 それとともに感心したのはシャシー性能が優れているところ。クーペとはいえ背の高いSUVのはずなのに、ステアリング操作に対する車体の応答性はスムーズそのもの。メガーヌR.S.ほどのシャープな切れ味ではないが、素直に気持ちよく操れるのがいい。ダンパーの動きも滑らかで、路面を撫でるように捉えながら走っていけるから、長距離走行でも疲れないだろう。SUVスタイルながらも決して走りを諦めず、ルノーらしさあふれる楽しさを植え付けることに成功した一台だ。

 その優しい乗り心地やフルハイブリッドがもたらす燃費の良さ、そしてF1の技術が生きる優れたハンドリング。これらが三位一体となって不思議な魅力を醸し出すのがアルカナというクルマ。モータースポーツでの活躍に思いを馳せ、その知見が生きた走りを堪能するカーライフはなんとも刺激的だ。神秘や秘密といった意味を持つネーミングのとおり、アルカナと過ごす日常に、退屈という文字はない。

弓形のルーフラインを与えられたクーペSUVのスタイルを採るアルカナのプロファイル。躍動感あふれるデザインは走りのルノーを象徴するものと言えるだろう。

オーソドックスなレイアウトに、10.2インチサイズのデジタルメーターを組み合わせて視認性を高めたコクピット。瞬時に操作できるメカニカルなスイッチが残されているのもいい。

R.S.ラインというだけあって、赤いステッチやスエード調のシート表皮、アルミペダルなど、スポーティさを感じさせるトリムが施された室内。カーボン調パネルなども奢られている。

クーペ形状とあって、頭上(後頭部)まわりの空間の余裕は少ないが、足元は広々していてさほど窮屈さは覚えない。前席同様に滑りにくいシート地を用いるため、体はしっかりとホールドされる。

リア部分は絞り込まれているもののラゲッジルームはスクエアな形状で使いやすい。荷室容量は通常時で480ℓを確保。フロアボードは取り外し可能で、使用用途によって高さも切り替えられて便利。

後方の障害物を検知すると画面表示などで注意を促すリアクロストラフィックアラートや360度カメラなど運転・駐車支援システムも充実している。

<SPECIFICATIONS>
ルノー・アルカナ R.S.ライン E-TECH ハイブリッド
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,570×1,820×1,580mm
車重:1,470kg
駆動方式:FWD
トランスミッション:電子制御ドッグクラッチマルチモードAT
エンジン:直列4気筒 1,597cc  
エンジン最高出力:69kW(94PS)/5,600rpm
エンジン最大トルク:148Nm(15.1kgm)/3,600rpm
メインモーター最高出力:36kW(49PS)/1,677~6,000rpm
メインモーター最高トルク:205Nm(20.9kgm)/200~1,677rpm
サブモーター最高出力:15kW(20PS)/2,865~10,000rpm
サブモーター最高トルク:50Nm(5.1kgm)/200~2,865rpm
価格:4,290,000円(税込み)

問い合わせ先:ルノー・コール 0120-676-365

TEXT:桐畑恒治(AQ編集部)

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