800万円台 本気の日本導入
マセラティの伝統である風の名前、具体的には“地中海の北東風”を意味するイタリア語を与えられたグレカーレを、日本の道でドライブする機会が訪れた。
【画像】グレカーレの細部 シフトセレクター、ドアオープナーがボタン式【レヴァンテと比較】 全110枚
このブランドにとってレヴァンテ(こちらは地中海の東風)に続く2台目のSUVになったグレカーレは、2022年3月に欧州で発表された。すると翌月には早くも日本に上陸し、各地で巡回展示され、5月には価格を発表するとともに受注を開始した。
デリバリーは2023年初春とのことだが、最近の輸入車としては異例に早いペースだ。
レヴァンテより小柄で、マセラティでは唯一1000万円以下で買え、しかもSUV。インポーターのこのクルマに賭ける意気込みが伝わってくる。
グレカーレとレヴァンテは、ともにイタリアで作られる。
「レヴァンテ」とどう違う?
ただし生産拠点はレヴァンテがトリノのミラフィオーリなのに対し、グレカーレはローマとナポリの中間にあるカッシーノとなる。アルファ・ロメオのジュリアやステルヴィオと同じだ。
つまりプラットフォームは、レヴァンテがギブリと共通なのに対して、グレカーレはステルヴィオと共用となる。
ただしパワーユニットはマセラティ独自で、GTとモデナには2L直列4気筒ターボのマイルドハイブリッド、トロフェオには3L V型6気筒ツインターボが、8速ATとともに搭載され、4輪を駆動する。
レヴァンテと違うのは、マイルドハイブリッドが330ps版に加え、300ps版も用意されることだ。
マセラティとしてはコンパクトなSUVであることを実感してもらいたいということで、試乗は東京都心で、レヴァンテと乗り比べで行われた。グレードはどちらも、マイルドハイブリッドのGTだ。
サイズ/デザインのポイント
グレカーレのボディサイズは全長4846mm×全幅1948mm×全高1670mmで、たしかに5020×1985×1680mmのレヴァンテと比べると小柄だが、およそ100mm短いとはいえ2901mmに達するホイールベースを含めて、日本の道ではコンパクトとは言い難い。
それでも違いがあると感じるのは、スタイリングの効果が大きい。
とりわけ顔つきは、グリルの丈はレヴァンテより短く、ヘッドランプの形状を含めて、親しみやすい表情になっている。
ボディサイドは、サイドウインドウが6ライトではないこと、パネルの張り出しが控えめであることなどに気づく。
リアはコンビランプの端から斜め下に流れるラインが特徴で、かつて自分も愛車にした3200GTがモチーフだそうだ。
インテリアはエクステリア以上に、レヴァンテと違う。
内装 セレクターボタン発見
セレクターレバーが消滅して、上下2段のセンターディスプレイ中央のボタンに置き換えられ、ナビやオーディオだけでなくエアコンの操作系もタッチパネルとなった。メーターもフルデジタルになり、ドアはボタンで開ける。
ビトゥルボ以降、マセラティの象徴であり続けてきたインパネ中央の時計さえ、液晶表示になっていた。レヴァンテよりひと世代新しいSUVという印象を受けた。
張りの強いレザーで覆われたシートは、サイドの張り出しは適度で、山道でのホールドより都市内でのアクセスを重視した形状。
驚いたのはリアで、レヴァンテより広いのではないかと思うほど。身長170cmの自分なら楽に足が組める。
真横から2台を見比べると、ノーズの長さに大差がある。レヴァンテのほうが、昔ながらのマセラティらしいプロポーションだが、プラットフォームのパッケージング効率が長けているのはグレカーレだ。
ラゲッジスペースも、オーバーハングは短めであるものの、十分な広さを確保しており、背もたれの前倒しレバーを前後に備えるなど、使い勝手への配慮も確認できた。
では走りはどうか。
400kgの差 仕立ての違いとは
最初にレヴァンテをドライブし、次にグレカーレで同じ道を走ったら、取り回しがはるかに楽だと感じた。ノーズのボリュームの違いはやはり歴然としているし、幅も確実に狭い。
さらにこの感覚は、軽快な身のこなしのおかげでもあることに気づいた。
グレカーレGTの車両重量は1870kgと、レヴァンテGTの2280kgより400kg以上軽いのだ。重厚感を漂わせるレヴァンテから乗り換えると、スポーティという言葉を使いたくなるほどだった。
マイルドハイブリッドのエンジンは、最高出力こそレヴァンテより30psダウンの300psになるものの、この軽さのおかげで、むしろ俊敏に感じた。
エンジン音も、騒々しくないレベルでレヴァンテより明確にキャビンに届いてきて、この点でもスポーティだった。
一方共通して言えるのは、マイルドハイブリッドとターボの連携のうまさ。
「らしさ」はSUVでも健在!
穏やかな加速では、モーターアシストからターボの立ち上がりへのつながりがシームレスなのに対し、スロットルペダルを大きく踏み込めば300psにふさわしいダッシュが得られる。
パドルが金属製なのは五感を大切にするマセラティらしいし、ステアリングのダイヤルで切り替えるドライブモードがパワートレインとサスペンションを別々に選べるところも伝統どおりだった。
ちなみに双方ともにスポーツモードにすると、パワートレインはレスポンスがシャープになるとともに、音も昔ほどではないが活発になる。ステアリングの切れ味は鋭くなり、身のこなしはさらに機敏になる。
それでも足回りはガチガチではなく、優しさのある硬さなので、スロットルやステアリングの操作で姿勢を変化させ、より気持ちよく曲がって行くことができる。
グレカーレを選ぶユーザーが、この特性をどのぐらい評価してくれるかはわからないけれど、マセラティらしい部分を残してくれたことは個人的に嬉しかった。
グレカーレGT スペック
価格:862万円(2023年~:896万円)
全長:4846mm
全幅:1948mm
全高:1670mm
最高速度:240km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:-
CO2排出量:-
車両重量:1870kg
エンジン形式:1995cc直列4気筒ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):300ps/5750rpm
最大トルク(エンジン):45.9kg-m/2000-4000rpm
最高出力(モーター):-
最大トルク(モーター):-
ギアボックス:8速AT
駆動方式:四輪駆動
乗車定員:5名
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
みんなのコメント
行かなきゃいいだけだが・・・