昭和は遠くなりにけり・・・か。以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマはまだ数多くある。そこで、1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していこう。今回は「マツダ カペラ C2アンフィニ」だ。
マツダ カペラ C2アンフィニ(GDES型):昭和63年(1988年)6月発売
1987年(昭和62年)に登場した5代目GD型カペラは「人とクルマの一体感」を、ドライバーの意思に敏感に反応するリニアリティ感と定義し、その熟成のために「必要な基本性能を先進技術を駆使して高める」ことをテーマに開発された。そのため、新技術がこれでもかと投入されていたのが特徴だ。RF型2Lディーゼルに量産では世界初のプレッシャーウエイブスーパーチャージャーを採用したのを始め、足回りにも世界初の車速感応型4WS搭載車を設定。ボディの動的剛性を従来型比約2倍に高め、フルタイム4WDを設定するなど、当時実現可能だった最新技術が全て搭載された感じだ。
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しかし、これに異を唱える技術者がいた。ハイテクでクルマを手なづけるのではなく、基本性能を磨き上げた素のクルマで究極のハンドリングを目指したい。その思いが結実したのが、1988年のC2アンフィニだった。アンフィニとしてはファミリア、RX-7に継ぐ第3弾だが、この3車には「妥協のないハンドリングの追及」という共通したこだわりがある。アンフィニはチューニングが市販車に反映できない領域にまで及ぶため、カペラC2アンフィニも300台限定の特別仕様車として発売された。価格はベースのC2 GT-Xより12万7000円高の222万円。しかし内容を見れば十分納得できるものだったことは間違いない。
C2アンフィニは「フロントグリップを強化して弱アンダーステア化を図り限界Gを高めること」「ロールを軽減しリニアな応答性と安定感を両立すること」の2点を目標に、シャシだけでもベースとは別物といえるほど手が加えられた。まず剛性を高めるため、フロントサブフレーム後端にクロスメンバーを追加。リアはラテラルリンク支持部にパフォーマンスロッドを追加したうえ、ストラットタワーバーを装着。またタイヤ支持剛性を高めるためリアホイールベアリングとスピンドル径もサイズアップしている。
ダイレクトな応答性を得るために、フロントのストラットマウントラバー及びロアアームブッシュ、リアトレーリングリンクブッシュの硬度をアップ。機能向上には、低圧ガス封入式前後ダンパーやリアの非線形コイルスプリング採用に加え、フロントのスタビ径をアップした。車高を15mm下げると同時に、ハイグリップのポテンザRE71(195/60R15)と15×6JJのBBS製鍛造ホイールを選択。確実なトラクションを得るためフロントビスカスLSDも装着している。
エンジンもこのシャシにふさわしい性能を発揮させるため専用チューンされた。とはいえベースとなるFE型はVICS(バリアブル・イナーシャ・チャージング・システム)やシーケンシャルEGIで140ps/17.5kgmを発生する実力派だ。そのためC2アンフィニ用は圧縮比を10.0に高め、プレミアムガソリン仕様とした程度で150ps/18.8kgmに抑えている。これは、いたずらにパワーを追わず、全域でフラットなトルクカーブを描く特性を目指したためで、3500rpmですでに17.6kgmのトルクを発生する柔軟性を発揮した。
徹底したボディ強化を図ったにもかかわらず、10kgの軽量化を実現したことにより、パワーウエイトレシオは8.1kg/psから7.5kg/psに向上。乗れば確実に体感できるパワー感があった。
このほか、専用ラジエターグリル&リアスポイラー、MOMO製本革ステアリング、専用シート&ドアトリム、専用オーナメントなど、内外装をオーナーの心を掴むアイテムで固めたのも、C2アンフィニならではの魅力を一段と引き立てた。
マツダ カペラ C2アンフィニ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4450×1690×1345mm
●ホイールベース:2515mm
●重量:1130kg
●エンジン型式・種類:FE型・直4 DOHC
●排気量:1998cc
●最高出力:150ps/6500rpm(ネット)
●最大トルク:18.8kgm/4500rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/60R15
●価格:222万円
[ アルバム : マツダ カペラ C2アンフィニ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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