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あえてメルセデスのEVを選びたい理由とは? EQC試乗記

メルセデス初の量販EVである「EQC」に、田中誠司が試乗した。印象はいかに?

徹底的な“最適化”

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内燃機関に頼らない自動車の市販化について、自動車の生みの親であるメルセデス・ベンツはこれまで、非常に慎重な姿勢を保ってきた。“最善か無か”をキャッチフレーズにかかげるメルセデスがあたらしい分野に踏み出すとなれば、それは性能的にも信頼性でも商業的にも、いきなりトップクラスであることを求められるのだから当然だろう。

電気駆動車のサブブランドとしてローンチされたたEQが描くロードマップには、2020年のうちにEVを5車種、プラグ・イン・ハイブリッド車を20車種まで拡大、今後車両開発に100億ユーロ(約1兆3000億円)、バッテリー生産にも10億ユーロ(約1300億円)を投資する計画が描かれている。はたしてそのトップバッターである「EQC」とはどんなクルマなのだろう。

EVのメーカーとして会社自体をゼロから始めたテスラや、工場まで新しく建ててカーボンボディを導入したBMW「i3」などに比べると、EQCの成り立ちに派手さはない。売れ線SUVである「GLC」のボディやシャシーの基本構造や生産施設を利用して、電気駆動車への最適化を図ったものだ。

その“最適化”が徹底的であることはいうまでもない。フロントとリアの両方に150kW(204ps)と強力なZF製M780型モーターを低く埋め込み、増大したパワーを受け止め、衝突安全性を高めるためにフロントのサブフレームは専用設計された。床下には384セル(408V・210A)で80kWhの容量を持ち、8年/16万km保証のリチウムイオン バッテリーを搭載し、WLTCモードの1充電走行距離は400kmにおよぶ。

サスペンションはフロントがコイルスプリング、リアが車高調整式エアスプリングというGLCの標準構成を踏襲。いっぽうでタイヤは最近の高性能SUVのトレンドに則り、前:235/50R20、後:255/45R20と前後で異なるサイズを導入、銘柄もミシュラン パイロット スポーツ 4 SUVという、非常にオンロード志向の強いタイプが選ばれた。

内外装は、空気抵抗低減のため若干低いルーフを持つボディのパネルを全面的に刷新し、他のメルセデス製SUVより抑揚の少ない穏やかなフォルムが与えられたほか、フロントグリル上を貫き左右のLEDヘッドライトを結ぶデイタイム ランニング ライトが新しい。上半分がオリジナルデザインとされたダッシュボードには10.25インチのワイドモニターが搭載され、トリムにも独自の素材と色が与えられている。

日本仕様は安全装備として、アクティブステアリングアシスト、アクティブレーンチェンジングアシスト、アクティブブレーキアシストをすべて標準搭載する。6kWの普通充電では約13時間でフル充電となるほか、日本市場向けにCHAdeMO対応が図られており、50kWの急速充電により約30分で約120km分の充電ができる。1年間は「Mercedes me Charge」により全国約2万1000箇所の充電設備を無料で利用でき、その後も有償で延長が可能だ。

無音のまま重力に逆らうような加速度

筆者はちょうど少し前に「GLC 220d AMGライン」と数日を過ごしたばかりで、その記憶も新しいから、EQCの特徴をよく理解することができた。

両者の共通性をもっとも強く意識させるのはインテリアで、前後席の着座感覚やスペースはほぼおなじである。身長172cmのドライバーがシート位置を合わせてその背後に移った場合、ひざ前には20cmの空間が残る。GLCに比べてバッテリーを内蔵するフロアが極端に高められたこともないし、逆にセンタートンネルは盛り上がったまま、バッテリーのスペースに充てられている。

ローズゴールドのエアアウトレットの脇に置かれた丸いスタートボタンを押すと、EQCは無音で目覚める。ステアリングの向こうに見えるふたつのリングを持つメーターパネルは内燃機関で走るメルセデスとおなじに見えるが、右側はバッテリーからのインプットとアウトプットで上下するようになっている。極端にEVであることを強調した演出はなく、エアコンは寒いくらいよく効く。

EQCを加速させる。電動パワートレインがひたすら無音であることに努めているのにくわえて、タイヤからのノイズや風切り音への配慮もうかがえる。前述のとおりほとんどオンロード専門のタイヤを選び、空気抵抗も低減しているからだ。

アクセルペダルを床まで踏み込んで訪れるのは、まるで背中に羽根の生えたような感覚だ。轟音とは縁遠く、無音のまま重力に逆らうような加速度は、パッセンジャーとしてなにも知らず、いきなり全開にされたら恐怖感をおぼえるほど。0-100km/hが5.1秒というのは、自分にとって身近な例をあげれば997前期型ポルシェ「911カレラSティプトロニックS」の5.3秒より速いことになる。

なかなか得難いキャラクターの持ち主

そのまま試した高速ワインディングロードでは、若干ステアリングフィールが希薄な気はしたものの、なかなかにシュアなハンドリングを披露してくれた。前後重量配分が48.4:51.6という優れたバランス、引き締まったサスペンション セッティングにくわえて、ここでもタイヤの選択がものを言っていて、ボディの動きの安定ぶりは先日試したGLCをしのぐかもしれない。ブレーキも踏力に対してリニアに効いて、モーターの回生との連動に違和感はまったく覚えなかった。

ただ、あまり調子に乗って飛ばすと、とくに路面コンディションの優れない状況では、さすがのミシュラン・パイロット・スポーツも2480kg(試乗車車検証上の値)という車重を受け止められなくなるかもしれないので注意が必要だ。床下に652kgものバッテリーを積んでいるから、GLCより2割も重いのである。

右足にこめる力を緩めて乗り心地を観察すると、高出力に合わせて足まわりを硬めたデメリットなのだろう、速度をとわず路面の凹凸を正直に拾い、ピッチ/ロールとも忙しない傾向が見受けられた。408ps/765Nmというハイパワーだから仕方ないと理解しつつも、前・後にエアサスペンションを装着しふんわり走るGLCが懐かしくも感じた。もし自分がエンジニアで好みの味付けを選べるのなら、パワーはこんなにいらないからもうすこしソフトな足まわりを選ぶと思うが、速度域の高いアウトバーンで使うことも考えれば仕方ないのかもしれない。ちなみに最高速は180km/hでリミッターが作動するそうだ。

少々乗り心地が硬いのは目をつむるとして、街中でEQCを使うのが心地よいと想像できる理由は、電動パワートレインがほぼ無音であること、ラゲッジスペースがGLCに比べほとんど犠牲になっていないこと(500~1460リッター)、小まわり性能もこのボディサイズのわりに優れていることだ。最小回転半径は5.6mであるものの、高いアイポイントで周囲を確認しやすいせいか、もっと小回りが利くような感じがする。

環境にやさしいユーティリティ・プレイヤーでありながら、スーパーカー並みの加速を味わえ、しかもデザインは控えめ。EQCはなかなか得難いキャラクターの持ち主である。

文・田中誠司 写真・安井宏充(Weekend.)

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