Volkswagen ID.3
フォルクスワーゲン ID.3
フォルクスワーゲンが手がけるBEV「ID.3」の登場まで、いよいよカウントダウン!
ID.ファミリーは新鮮かつレトロなデザイン
「エレクトリックモビリティは楽しくなくちゃ! そうでなければ、ユーザーを惹きつけられません」というフォルクスワーゲンの思惑はどのあたりに?
フォルクスワーゲンが展開するBEV「ID.(アイディ)シリーズ」は、はたして、どれだけ楽しそうなんだろう。これまでに自動車ショーなどでいくつものコンセプトモデルが発表されてきた。
それらを見る限り、なんだか古くて新しい。新鮮だけれど、どこかレトロ。そんなスタイルがなんとも魅力的に見える。そしていよいよ、その嚆矢たる「ID.3」の登場がカウントダウンに入った。
2020年内にドイツをはじめ、いくつかの市場に投入される予定の「ID.3(アイディスリー)」。このクルマのデザインをめぐって、さる2020年5月18日に、世界中のジャーナリストが参加してのスカイプによるプレゼンテーションが開催された。
昨今、フォルクスワーゲンが力を入れるスカイプを使っての発表は、このGENROQ Webでも紹介した「フォルクスワーゲン グループの新しいデザインツール紹介」「ゴルフ GTIの紹介」に続くもの。
今回(も)フォルクスワーゲン グループのヘッド・オブ・デザインを務めるクラウス・ビショフ氏が、テキストと音声のやりとりで車両について説明するとともに、ジャーナリストからリアルタイムで送られてくる質問に答えるという形式だった。
デザインの自由度が上がるBEV
「ID.3は、かつてのビートルやゴルフに継ぐような、フォルクスワーゲンの新しい試みになるでしょう。しかし、さらにあえて言わせていただければ、技術の点からしても、ここまでの新しいプロダクトはこれまで存在しませんでした」
ビショフ氏はそう語る。
なにしろエンジンがない。最大のコンポーネンツはバッテリーとインバーター、そしてモーター。しかもID.3は後輪駆動なので、デザインランゲージは従来のICE(内燃機関のクルマ)とまったく異なったものとなる。
これまで発表されたID.ファミリーのコンセプトカーをみていると、ユニークなのは1960年代の米国に端を発するポップカルチャーの中で愛されたモデルのイメージを、あえて援用しているものが散見されることだ。
ひとつは「タイプ2」と呼ばれるマイクロバスを連想させる「ID. BUZZ(バズ)」。もうひとつは「ID. BUGGY(バギー)」。後車は、60年代の米国のブルース・メイヤーズがビートルのシャシーにFRPのオープンボディを載せた「メイヤーズ・マンクス」を思わせる。
「BEVは(内燃機関のドライブトレインがないので)、デザインの自由度が上がります。その証明のようなものです」
これは2019年のジュネーブ・モーターショーで「ID. BUGGY」を前にビショフ氏が筆者に語ってくれたことだ。
“フォルクスワーゲン風”なのは意図した策
今回の「ID.3」は、フォルクスワーゲンの歴史的なモデルとの整合性があるかというと、ゴルフを思わせる、わりとオーソドックスなハッチバックモデル型。BMWのiシリーズが熱心なファンを生む一方で、“やりすぎ!”と拒否反応も生んだのを参考にしたせいか。
「このクルマでは“フォルクスワーゲン フィーリング”、つまり各所に現在のフォルクスワーゲン車と通じるデザイン要素を採り入れています。例えば、フロントグリルやリヤのコンビネーションランプを水平基調でまとめている点などです」
ビショフ氏はもうひとつ、従来のフォルクスワーゲン車を参考にして決めたことがあると言う。
「エクステリアはほぼゴルフサイズですが、インテリアはパサート並みの広さを実現しています。ID.3のサイズ(全長2765ミリ、全幅1809ミリ、全高1552ミリ)は、検討を重ねた結果決めたものです」
スタイリング的にも均整がとれていると、デザインチーム会心の作だそうだ。ただしこの先、さまざまなモデルがさまざまなサイズで登場する可能性がある、とビショフ氏は付け加える。
GTIの可能性もあり!
そして最後に、このGENROQ Webの読者が強く興味をもっているのでは?と思う質問に。
「GTI(に相当するモデル)は出てくるのか?」という問いかけに対して、ビショフ氏は「もちろん考えています」と答えた。そもそもID.3でも、BEVゆえのファン・トゥ・ドライブ性が追求されているようで、スポーツカー好きにも応えてくれそうだ。
REPORT/小川フミオ(Fumio OGAWA)
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みんなのコメント
歴史あるメーカーだからこそ、テスラや国産車とは違うブランディングができるのでありましょう。