排気量もカムもノーマルで270psの高出力を発生!
ポートや燃焼室の調律でK20Aが持つポテンシャルを引き出す
「ノーマル排気量でどこまでいけるか!?」西の大御所が挑んだシビックタイプR(FD2)究極ストリートチューン
2.4L+4連スロットル仕様といったハイチューンにも取り組むジェイズレーシングだが、今回取材したのは「チューンドFD2のスタンダードになれば」という意図を持つ2.0L+シングルスロットル仕様。一般的なFD2ユーザーが求める扱いやすさとコストの中で、スポーツ性と快適性が共存するストリートチューンの可能性に挑んだ意欲作だ。
マシンは実際に4名の乗車定員も維持し、エアコンなどの快適装備もしっかり搭載。「4ドアモデルにあるべき利便性を残しながら、スポーツカーではなく、スポーツセダンとしての進化を目指しました」とジェイズレーシング梅原さんは語る。
その一方、ジェイズらしいエッセンスをたっぷりと注ぎ込んでいるのがエンジン。排気量は2.0Lのままで、カムも未交換だがヘッド加工と腰下パーツの重量合わせを実施。さらに、それらのポテンシャルをフルに引き出す吸排気チューンとECUセッティングの組み合わせによって、270psものピークパワーを発生させている。
なお、ECUについては、全域で燃料、点火、リタードの各マップを見直す他、電子制御スロットルや水温ファンコントロールのプログラムも変更される。
中でも絶対の自信を持っているのが、ポート研磨やバルブシート加工、燃焼室バリ取りなどで構成されるヘッドチューン。チューナーの推測や勘に頼って無計画に削っていくとパワーが落ちることもある繊細な作業なので、ジェイズレーシングではフローベンチテスターを導入。詳細な流速分布データを収集し、データに基づいた完成度の高い加工を行っている。
理想とするのは流速を落とさず、流量を拡大できるポート作り。カムすら無交換のノーマルヘッド加工であっても、スムーズな吹け上がりと力強いパワー感を手に入れることができるのだ。
もちろん、エンジンスペックだけ独り歩きしているわけではない。増大したパワーをしっかりと受け止め、速さに変換するためのチューニングも徹底。
足回りは、リヤの突き上げが激しいFD2の特性を打ち消し、ストリートユースもカバーできるだけの吸収性を確保するために大容量のクラックス製ダンパーをベースとしたオリジナル車高調を装備。バネレートはフロント12kg/mm、リヤ22kg/mm。ローダウン量は順に50mm、40mmとフロントをやや低めに設定する。
フロントナックルにはロールセンターアジャスターを組み、ローダウンした車高に合わせたアームの角度に修正。FD2はもともとフロントのロールセンターが低く、唐突なオーバーステアが発生する一因となっているため、限界域でのピーキーな挙動緩和も期待できる。
さらに、FD2は車高を下げるとリヤのキャンバーが過剰についてしまうため、キャンバー調整機能を備えたリヤアッパーアームに交換。進入での唐突なオーバーを抑え、ドライバーに安心感とコントロール幅を与えている。
その他、ブレーキ、空力、タイヤなど、すべてのパートを総合的に吟味。バタツキのない安定した姿勢作りを追求することで、速さと乗りやすさを両立したスポーツフィールを獲得しているのである。
スペック
■エンジン:K20Aヘッド修正仕様(270ps) J’S RACING エキマニ、FXチタニウムエキゾーストシステム70RR、ハイパーECU、アルミラジエターRR、サーモスタット、つちのこエアインテークシステム、ビッグスロットル、オイルパンASSY、ヘッド加工、腰下バランス取り
■ドライブトレイン:J’S RACING ハイパーシングルクラッチキット、ハイトラクション LSD DC5純正4-5-6速クロスミッション 5.5ファイナル
■サスペンション:J’S RACING SPLダンパーキット・クラックスバージョン、ロールセンターアジャスター、3Dアルミフロントタワーバー、リヤタワーバー、フロントモノコックバー、フロアバー、サイドインナーブレース、6ポットキャリパーキット、リヤビッグローターキット 制動屋ブレーキパッド
■ホイール:ボルクレーシングCE28N(9.0J+50)
■タイヤ:エクスタV700(F265/35-18 R225/40-18)
■エクステリア:J’S RACING タイプSフロントバンパー、タイプSリヤディフューザー、タイプXフロントスポーツグリル、タイプSブレーキダクトセット、タイプSレーシングシュラウド、タイプSエアインテークダクト 他
●取材協力:ジェイズレーシング TEL:072-645-3500
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