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初代日産シーマに乗ってみた 現代でも通用するラグジュアリー体感

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初代日産シーマに乗ってみた 現代でも通用するラグジュアリー体感

「シーマ現象2021」

今日び「日産シーマ」と検索すると、伊藤かずえさん一色。

【画像】さあ、ディテールに酔いしれましょう 日産シーマ詳細【伊藤かずえの個体も】 全83枚

だがシーマは今日もなお現役であり、ニッサンの最上級に位置している。ハイブリッドモデルのお値段930万円越えという、押しも押されぬ高級車なのである。

それでも、日産シーマという名前を聞いて、多くの人が想像するのは薄べったくて丸みを帯びたボディを与えられ、「シーマ現象」と呼ばれるほどの大ブームを引き起こした初代(Y31型)なのである。

初代シーマのデビューは1988年。セドリック/グロリアの上級モデルとして、3ナンバーのボディを与えられたシーマは、最大のライバルであるクラウンを凌ぐほどの人気で、国産高級車の代名詞となったのだ。

そんな初代シーマが今日のネットを騒がせているコトの発端はしかし、クルマそのものや伊藤かずえさんという女優のネームバリューにあるのではない。

その起点は伊藤さんが1オーナーで30年間、26万km越えという距離を走り、今なお愛車に愛情たっぷりに接しているという事実にある。

「大好きな1台をじっくり乗る」

日本人がとかく忘れがちなロングオーナーシップの美談に多くの人が心打たれたのである。

しかもその愛車が、かつて一世を風靡した初代シーマであり、オーナーが有名女優だったというわけなのである。

一目でわかる高級車のオーラ

30年落ちというのは古いクルマの世界では珍しくない。それどころか50~60年落ちもざらである。

これら時間が経っても愛され続けるクルマの多くはスポーツカーのような特徴的なモデルであることが多く、あまり普段使いされることもない。

今日初代シーマを乗り続けているオーナーは好きが高じて乗っている場合がほとんどだろうが、しかし初代シーマ実用車でもある。

では今日の眼で見る往年のハイソカー、初代シーマとはいかなるクルマなのか?

日産車党の小林新吾さんが所有する1990年式の日産グロリアシーマ・タイプ1に乗せていただいた。

パールホワイトのボディは長年車庫保管されてきたからだろうか、外装のコンディションは極上である。

タイヤも今時の新車には見られなくなってしまった65扁平+15インチ・ホイールで、黒いサイドウォールの面積がとても大きい。

フロントのボンネットの上には雄の孔雀が羽を広げたような立派なエンブレムが据えられているが、これはアカンサスの葉を模したもの。

今から30年以上も前の初代シーマは一目で20世紀のクルマであることがわかる。

だがしかし、今日の眼で見てもひと目で高級車であることも伝わってくる。纏ったオーラの大きさでは、今日のフルサイズセダンにも全く引けを取らないと感じた。

離陸姿勢はシーマの証

ドアを開け、運転席に座ってみる。シートには白いコットンのシートカバーが掛けられていたが、シート自体は国産車らしいモケット地。分厚い見た目相応の沈み込みを見せる。

オドメーターには9万2000kmという数字が刻まれていたが、室内のコンディションも素晴らしかった。歴代のオーナーが大切に扱ってきたことがよくわかる。

ステアリングは本革巻きだが、GLORIA CIMAの車名が入ったセンターのホーンパットはクルーズコントロールのスイッチのみが備わったシンプルなもの。たしかスイッチが所狭しと並べられた豪華な仕様もあったはず。

「当時よく売れたのは上級グレードのタイプIIリミテッドですが、わたしのクルマは廉価版のタイプ1です」

「だから光通信のステアリングとかエアサスは付いていません。もちろんターボなしの200psです。でも発進加速ではシーマらしくリアが沈みますよ。ぜひやってみてください」

オーナーに促され深々とスロットルを踏んでみる。想像以上に強力な加速がはじまり、リアがグッと沈み込んでいるのがわかる。

車内からは見ることができないが、シーマと言えば飛行機が離陸するようなこの姿勢だ。

スプリングの型式に関係なく、セミトレーリングアームのリアサスと柔らかいセッティングの組み合わせが生んだ必然なのだろう。

現代でも通用するラグジュアリー

加速以上に驚かされたのは普通に走らせた際の乗り心地だった。

65扁平のタイヤとサスペンションがともにフワフワとしているが、車体の低さもあって少しもだらしない感じはしない。

アシが柔らかいので、相対的にボディはしっかりした感じがするのもいい。

ステアリングもセンター付近がほどよく曖昧で、ラグジュアリーな質感を帯びている。

ドライブフィール自体は現代のフルサイズのサルーンとはあらゆる部分で異なる。だがタウンスピードで、中に乗っている人間が快適に感じるか否かという本質的な部分では、現代のサルーンに負けずとも劣らない。

今から30年以上も前、新車でこのステアリングを握ったオーナーが、どれほど心躍らせたかを想像するのは容易だ。

「5ナンバーとは違う、3ナンバーってすごい!」

きっとそう考え、ついついシグナルスタートではリアを沈めて発進してしまっていたのだろう。

冷静に室内を見渡すと、シフトレバーやスイッチ類など、年式を考えれば当然なのだが樹脂パーツが多い。

いざレストアするとなればパーツの確保がなかなか大変だろう。

しかも普段使い出来てしまう快適性があるので、経年劣化が進みやすいともいえる。

R32のGT-Rだけでなく、初代シーマもまた後世に伝えていかなくてはならないニッサンの名車なのである。

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みんなのコメント

49件
  • 初代セルシオがドイツ車のメルセデスを標榜して作られた経緯で、シーマはドイツ車では無くイギリスのジャガーを標榜して作られた車だと、日産の関係者に聴いた覚えがある。
    同じ欧州車を標榜した上でも、雰囲気の捉え方を変えた事で両車の方向性が見出されたんじゃないのかな?
  • 当時、両車に乗る機会が在ったが、高級車としての静粛性ならセルシオ。
    運転して楽しいのはシーマだと思った。
    要は、マークⅡVSローレル クラウンVSセドリックの比較とも同じく
    トヨタと日産の考え方の違いかと。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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