マーチRをベースに装備を見直したストリートスペシャルバージョン!
車高調に機械式LSDを組み込んだ峠仕様がアツい!
「日産よ、あの頃を思い出せ!」スパルタンさが刺さりまくるマーチスーパーターボという傑作
大きな開口部を持つフロントバンパー、フォグランプを内蔵したフロントグリル、ボンネット上のエアインテーク、リヤゲートのテールスポイラー。さらに、前後フェンダーには樹脂製モールが追加され、全幅も拡大されている。
そんな勇ましい外観が与えられたK10こそ、“日産の当たり年”と言われる1989年1月に登場したマーチの史上最速モデル、スーパーターボだ。
エンジンは前年発売された競技ベースモデル、マーチR譲りとなる930ccのツインチャージド直4SOHCのMA09ERT型。110ps/13.3kgmというスペックも共通だ。エンジンルームは狭く、スーパーチャージャー装着のためにパワステが犠牲になったというが、MA10ET型を搭載するマーチターボはパワステ標準装備だから、おそらく本当の話だ。
違いがあるとすればミッションで、5速MTは型式こそマーチRと同じRS5F31Vながら、ギヤ比とファイナル比が見直された他、3速ATも用意。早い話、スーパーターボはマーチRのストリートバージョンという位置付けだった。装備を徹底的に簡略化したマーチRに対して車重は30kg増えたが、それでも770kg(5速MT車)。
メーカーが送り出した市販車としては、圧倒的なパフォーマンスを誇ってたことは言うまでもない。
そんなスーパーターボをベースに峠仕様として仕立て上げられたのが取材車両。足回りはニスモのレース用を装着して、リヤスタビライザーを径が太いマーチR純正に交換している。
絶対的な制動性能が不足していてフィーリングもよくないブレーキは、フロントにRNN14パルサーGTi-R純正キャリパー&ローターを移植することで強化。また、LSDは純正ビスカス式に代えて機械式を組むなど、トラクション性能の向上も実現している。
この仕様で、峠ではEK9シビックRやDC2インテRと互角以上に渡り合えるというから、スーパーターボの実力は侮れないし、そこには車重の軽さが大きく効いてるのも間違いない。
フロントには幅広な14インチのダンロップ製Sタイヤを装備。
リヤは1サイズ細い13インチのスポーツラジアルという組み合わせがいかにも走り屋な雰囲気。これはターンイン時の回頭性を高めるためのセッティングだったりする。
マフラーが交換されてるくらいでエンジンは基本的にノーマルだが、それでも速さは十分だ。純正のデュアルテールに対して、大口径のシングルテールとされた社外マフラーは、メインパイプ径を拡大することによってパワーとレスポンスを向上させている。
ダッシュボード中央の3連メーターを始め、ダッシュボードは基本的にマーチRと共通。スーパーターボではステアリングホイールやシフトノブが異なる他、ステアリングチルト機構も備わる。
タコメーターは垂直ゼロ指針、スピードメーター、水温計、燃料計は水平ゼロ指針となるメーター。6400rpmからイエローゾーン、7000rpmからレッドゾーンとなるタコメーターからわかるように、MA09ERT型はSOHCながら高回転志向のエンジンだったりする。
運転席はサポート性に優れるフルバケットタイプに交換。着座位置が低すぎないため、前方の見切りも悪くない。助手席はサイドサポートが大きく取られた純正シート。
6点式に左右サイドバーが追加されたロールケージ。センターアーチから後方に向かうリヤバーはホイールハウス前部に落とし込まれるが、後席も一応は使える状態だ。
ボンネットに備わるのはトップマウントされるインタークーラー冷却用のインテークダクト。ボンネットとは別体構造となる。
また、ラジエターの冷却性能を高めるため、左フォグランプを外すのがスーパーターボ乗りの間での常識だ。ちなみに、ヘッドライトは純正でイエローバルブだった。
過給はまずスーパーチャージャーによって行われ、4000rpmでプーリーに内蔵されたクラッチが切れると、そこから上の領域はターボチャージャーが担当。両者の切り替えはかなりアナログで負圧によって作動するバイパスバルブが行っているけど、段付き感がまるでなく、非常にスムーズにスーパーチャージャーからターボへと移行する。
後に登場する13B-REWやEJ20のシーケンシャルツインターボのようなトルクの谷間も皆無なのは言うまでもない。30年も前に、こんなエンジンを市販した日産は本当に凄いと思う。
コーナリングは“重ステ+Sタイヤ+バキバキに効く機械式LSD”の組み合わせで、とにかく腕力を求められる。ステアリングへのキックバックは強烈だし、LSDが差動制限を始める瞬間のトルクステアも盛大だが、それに耐えながらアクセルペダルを踏み込んでいくと、グイグイ前に引っぱっていってくれる。その加速感は、とても排気量930ccのクルマとは思えないほどに力強かったりするのだ。
衝突安全の問題もあってクルマは肥大化の一途を辿り、コンパクトカーもその波に思いきり飲み込まれている。そう思うと、本当の意味で“ホットハッチ”が存在したのは80年代末~90年代初めが最後だろう。EP82スターレットGTターボ、G100SシャレードGT-XX、AA34SカルタスGT-i、DEJPFフェスティバGT-X…と、たしかに役者が揃ってた。
その中でも世界的に珍しいツインチャージドエンジンを載せたEK10マーチスーパーターボは、一際、個性的だった名車中の名車だと思うのだ。
■SPECIFICATIONS
車両型式:EK10
全長×全幅×全高:3735×1590×1395mm
ホイールベース:2300mm
トレッド(F/R):1350/1355mm
車両重量:770kg
エンジン型式:MA09ERT
エンジン形式:直4SOHC+スーパーチャージャー+ターボ
ボア×ストローク:φ66.0×68.0mm
排気量:930cc 圧縮比:7.7:1
最高出力:110ps/6400rpm
最大トルク:13.3kgm/4800rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/トーションビーム
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤサイズ:FR175/65R13
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
アンダー150万円!? スズキ「軽バン」が凄い! 完全「爆睡仕様」に驚きの声…!? どんな人が買う? 見た目はド派手グリル採用の「スペーシア」とは
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
史上最恐の盗難ツールとして話題の[ゲームボーイ]だが……ほぼ100%盗まれない方法は果たしてあるのか!?
ホンダが“赤い”新型「プレリュード」初公開! “22年ぶり復活”の「2ドアクーペ」が鮮烈レッドに変化!? 2024年にも登場期待の「新モデル」米に登場
「Appleのパクリ」はもはや過去! 中国シャオミ初EV「SU7」受注7万台突破と新経済圏ブチ上げ、米中貿易摩擦も何のその?
ついに[レガシィ]の名が消える…… 2025年春にメイン市場の北米で生産終了! でもアウトバックは生き残る!
マツダが新型“最上級セダン”「EZ-6」世界初公開! 光るグリル&半円4連テール&超豪華内装がカッコイイ! 斬新すぎる「マツダ6後継機!?」中国に誕生
うおおおお!! マツダ6の後継が中国で爆誕!? 新型セダン[EZ6]超絶カッコいいやん!! 丸テールに内装もハンパない【北京ショー】
三菱デボネア誕生60周年。知られざる命名のエピソード
みんなのコメント
元がレース専用車の公道向け=エボリューションモデルなのに、
普通にTVCMで宣伝してましたから…
このジャジャ馬感は当時走行性能で人気のEP71スターレット以上で、
発進はホイールスピンの抑止、コーナーはアンダーステアとの戦いという
乗り手を選ぶ車でしたね。