マティアス・エクストロームとアウディは、異例とも言える23年間の長期に渡るパートナーシップを経て袂を分かつことを発表。モータースポーツ界でもっとも長いドライバーとメーカーの関係に終止符が打たれることとなった。
先週9月26日(木)の時点で、自身のインスタグラムに感動的な動画を投稿したエクストロームは、プライベーターとしてアウディA4クワトロで出場した当時のSTCCスウェディッシュ・ツーリングカー選手権で勝利を飾ると、その2年後となる2001年にアウディのファクトリードライバー契約を結んだ。
マティアス・エクストロームがマクラーレン入り。元王者グティエレスと強力ペア結成/エクストリームE
その後の活躍は説明不要の実績を誇り、ともに2回のタイトルを獲得したDTMドイツ・ツーリングカー選手権を皮切りに、自らが運営するEKSとのジョイントファクトリーチームで参戦したWorldRX世界ラリークロス選手権では、2016年にワールドチャンピオンに輝いた。
「アウディスポーツでドライブすることは、子供の頃の夢が叶ったようなものさ」と語ったスウェーデン出身のエクストローム。
「四輪での20年以上のキャリアを振り返ると、たくさんの思い出が甦る。僕は子供の頃からの夢を叶える機会に恵まれ、DTMでレースをしタイトルを獲得したり、あらゆるカテゴリーのレースカーを開発したりといった仕事を担うことができたんだ」
そのDTMで20年近く活動した期間で、エクストロームは217戦に出場し、23回の優勝、83回の表彰台、さらに20回のポールポジションと17回の最速ラップを獲得。A4 DTMで初めてチャンピオンシップを制覇したのは2004年で、2007年にも2度目のタイトルを手にしている。
「もちろん2004年にDTMタイトルを獲得したことは、一生忘れられない思い出だ。それは単なるモータースポーツでの経験以上のものだった。僕は多くの興味深く才能のある人々と出会う機会に恵まれ、多くの素晴らしいイベントに参加することが許された」
エクストロームのDTMでの成功は、アウディ在籍期間の際立った思い出となるが、このパートナーシップにより自身の多才さを披露する場も得た。
その代表格がラリークロスで、前述のとおり2016年にはペター・ソルベルグの3連覇を阻止する活躍で世界王者に輝くと、2017年と2018年、そしてこのカテゴリーから1年間離れて戻ってきた2020年と、愛機S1 EKS RX quattroでさらに3回のランキング2位を記録。2021年にはチームとして、ヨハン・クリストファーソンを擁して連続タイトルの一翼を担うシートも提供している。
■次のステップはまもなく発表
また2011年のスパ24時間では、ティモ・シャイダー、グレゴリー・フランキとともにGT3規定のR8 LMSでカスタマーレーシング部門初の24時間レース総合優勝に貢献。2021年には電動オフロードワンメイクのエクストリームEと、同じく短命だった電動ツーリングカーシリーズのETCRとで、フォルクスワーゲングループの姉妹ブランドであるクプラを代表し、オフロードシリーズでは同ブランド初の表彰台を獲得し、ツーリングカーでは初代チャンピオンに輝いた。
そして直近の過去3年間は、ダカールラリーのファクトリーラインアップの一員として過ごし、こちらも電動車両のRS Q e-tronで世界的に有名なラリーレイドのステージで4勝を挙げ、2024年大会では終日トップを守る快走も披露していた。
「我々はマティアス(・エクストローム)に多大な恩義を感じており、そのお返しに彼がキャリアで最大の成功を収められるようにと手助けしてきた」と語るのは、同部門のマネージングディレクターを務めるロルフ・ミヒェル。「今日まで、私は彼の継続的なパフォーマンスだけでなく、彼の優れたチームスピリットにも感銘を受けていた」
「マティアスはレースに集中するのと同じコンセントレーションで、つねにプロジェクトを前進させるために力を尽くし、開発者をサポートし、一緒に働いたチームの宣伝に努めてきた。これらの資質と一連の成功により、彼はモータースポーツの多くの国際的な才能にとって、素晴らしいロールモデルとなっている。彼の将来のキャリアがうまくいくよう祈っている」
そのエクストロームの次のステップに関するニュースはまもなく公表される予定で、現在はNEOMマクラーレン・エクストリームEチームのエースを務めているが、EV最終年度と目されていた2024年の最後の3戦がキャンセルされたため、このシリーズは無期限の休止状態のままとなっている。
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