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空気の力は想像以上に偉大だった! 公道でも役立つクルマのエアロパーツの効果とは

掲載 更新 15
空気の力は想像以上に偉大だった! 公道でも役立つクルマのエアロパーツの効果とは

性能を追求するなら“空力に精通している”メーカーの製品をチョイス

「エアロパーツって、ドレスアップがメインで、市販車に付けても意味があるのだろうか?」と思うかもしれない。レーシングカーではエンジンとタイヤと並ぶ、エアロこそが勝敗を左右する最重要エレメントで、F1では各チームに専属のエアロダイナミストが複数所属し、日夜研究開発を続けている。なぜ空力パーツがここまで重視されるか。

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空気抵抗は速度の二乗に比例する

 まず空気抵抗の問題だ。空気抵抗は速度の二乗に比例するので、高速で走れば走るほどその抵抗が大きくなる。クルマの場合、160km/hを超えると、走行を邪魔する抗力の約90%は空気抵抗といわれている。

「1周2kmの筑波サーキットを1分フラットで走ったら、平均速度は120km/h。ヘアピンのボトム速度はその半分となるので、サーキットといってもストレートの長いFSWや鈴鹿ほどは空力パーツの効果はないのでは?」と思うのは早計だ。

 自転車=ロードバイクでも40km/hで走ると1秒間に3kgの抵抗を受けているといわれている。北京オリンピックで女子が銀メダルになったスピードスケートのチームパシュートでは、先頭に働く空気抵抗力は 1.4kg、2番手は 1.1kg、3番手は 0.89kg と、先頭車の負担が大きいので、疲れを蓄積しないために先頭が入れ代わることで知られている。

 マラソンでも空気抵抗の影響は大きく、単独で走っているときの空気抵抗係数が0.97だとすると、ふたりのペースメーカーに前後に挟まれて走ったときは0.11。ふたりのペースメーカーと3人で縦に並んだときは、もっとも後方で走ったときに0.30。3人のペースメーカーを横に並べてその後方を走ったときは、0.07にまで低減することがわかっている。

 このマラソンのように、20km/h弱でも空気抵抗の影響が大きいことを考えると、大きなサーキットだけではなく、ミニサーキット、そして一般公道ですらエアロパーツは意外に大きな仕事をしていて侮れない。

 身近なところでは、前後のタイヤの直前についている、小さな整流版=「ストレーキ」もけっこう重要だ。「ストレーキ」はタイヤに直接当たる走行風を左右に分散させ、ホイールアーチ内の圧力を下げ、空気抵抗を減らすとともに、ノイズを低減するパーツだからだ。

ホイールハウス内の空気を抜くカナード

 フロント周りでいえば、バンパーの両脇に取り付ける小さな羽根、カナードも空力パーツとしてとても有効だ。カナードはボディサイドに強い渦=ボルテックスを作って、ホイールハウス内の空気を引き抜く働きがある。そのため、ホイールハウスのなかで逃げ場がなくなった車体を持ち上げる力=リフトフォースを減らし、ダウンフォースを稼ぐことができる。

 よくできたカナードならば、フロントのダウンフォース(CLf)を8%も増加させ、ダウンフォースとトレードオフになりやすいドラッグ(Cd値=空気抵抗係数)は+0.3%で抑えることができたりする。

小さくても効果は絶大なリヤウイング

 そしてダウンフォースといえば、リヤウイング。大きなリヤウイングはダウンフォースも大きいがその分抵抗も増えてしまう。一方で小さなものでも効果はとても大きく、例えばホンダS2000だと、タイプSの純正ですらあるとなしでは大違い。大きなサーキットではなく、袖ケ浦のようなサーキットでも、リヤウイングの有無で安定感がまるで違う。S2000でサーキットを走るのなら、ぜひともリヤウイングは欲しいところだ。

 逆の例では、R32GT-RのNISMOに追加されたリヤスモールウイング。空力パーツが市販状態からいじれないグループAレースでは、リヤスモールウイングが追加されてしまったために、フロントがリフト気味になり「ない方が良かった」と不評だった! そういう意味で、空力チェーンは前後のバランスも非常に重要といえる。

空気の抜け穴を作ったりすることでも空気抵抗を減らせる

 あとはNACAダクトや開口部の大きいフロントバンパー、ブレーキの導風板や冷却ダクトなど、クーリング系のエアロパーツもサーキットでは大きな武器になる。そのほか、エアロワイパーやボディ下面をフラットにするカバーやパネルは空気抵抗軽減に大きく貢献している。またリヤバンパーの袋状の部分をメッシュにしたりして、空気の抜け穴を作ったりすることでも空気抵抗を減らせる。

 そしてリヤディフューザーなども、ダウンフォースを得られ空気抵抗も減らせる一石二鳥エアロとしておすすめだ。とはいえ、エアロパーツは目に見えない空気が相手であり、ドレスアップが目的のものもあれば、モータースポーツで実績のあるものまでいろいろある。空力的効果を考えるのなら、空力に精通しているメーカーの製品をチョイスするようにしよう。

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みんなのコメント

15件
  • 今の車はフロントタイヤ 前方バンパー下にも小さな四角い整流板付いてたり あんなので燃費の実験でも違うからね。新型ハチロクなんて黒樹脂の部分 細かいパターン模様になっててトヨタの話では整流のためのものと動画でも解説してた。
  • そうそう首都高C1 外回りなら、240〜250キロ出せるからウイングは必須。てかエアロのある無しはでかいよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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