人生初のEVにもぴったり コンパクトな電気自動車
実用性、運転のしやすさ、走りの良さ、デザイン、コストパフォーマンスなど、さまざまな観点から優れた小型EVを8台紹介する。
【画像】かわいい見た目に快適な足取り… 英国人にもウケが良かった小型EV【ホンダe(英国仕様)を写真で見る】 全30枚
EV(電気自動車)は多くの課題を抱えているとはいえ、以前と比べて少しずつ身近なものになってきた。しかし、最新のEVは大型高級車ばかりが目立つ。駆動用バッテリーが高価で、また航続距離を稼ぐためには容量(サイズ)を増やさなければならないためだ。
その点、比較的手頃な価格、扱いやすいボディサイズ、軽快なハンドリングなど、小型EVのメリットは多い。人生初のEVとしても親しみやすく、またセカンドカーという選択肢も現実的だ。電動化に熱心な欧州でも、足元で普及を支えているのはこうした小さなクルマだ。
今回はその魅力を改めて掘り下げてみたい。取り上げる8台は、数多くのブランドが激戦を繰り広げる欧州市場からピックアップした。最近になって生産終了してしまったモデルや、フルモデルチェンジを間近に控えたモデルもあるが、あらかじめご了承いただきたい。
1. プジョーe-208
長所:価格の割に航続距離が長い、乗り心地が良い、優れたパフォーマンス
短所:サスペンションが柔らかく高速走行時に悪影響、後部座席が狭い
従来の内燃エンジンを搭載する208は、欧州でベストセラーになるほどの大人気モデルだが、実は他車と比べて際立つ点は少ない。しかし、EV仕様のe-208は、最も魅力的な小型車の1つだ。航続距離、パフォーマンス、価格、実用性、スタイル、質感、そして走りが魅力的なのだ。初めてEVを買おうとしている人にとっては、有力候補として検討する価値がある。
インテリアは個性的で質感も高く、外観と同様にスタイリッシュだ。実用性についてはベストではないものの、優れていると言える。弊誌の試乗では、ライバルに勝る洗練された走りを見せた。モーターによる疾走感を十分に味わえる1台だ。
乗り心地に関しても、車両重量を感じさせないしなやかさがあり、ボディの動きは適切に制御されている。直進安定性は優れているが、サスペンションがソフトな設定のため、激しめにプッシュするとほころびが出る。
とはいえ、走りは全体的に丸みを帯びていて、とても好印象だ。昨年発表された改良新型は、大型バッテリーの導入により航続距離が400km(欧州WLTPサイクル)へと伸びた。BセグメントのEVとしては優秀だ。
2. フィアット500
長所:スタイルの良さ、優れた車載技術、高速走行が得意
短所:高すぎるドライビングポジション、ペダル位置の悪さ、実走行での航続距離
EVのフィアット500は、見た目こそガソリン車の500とよく似ているものの、中身はまったく新しいクルマである。2台を並べてみればよくわかるはずだ。
レトロでキュートなルックスはそのままに、現代的な乗用車として見事に仕上げている。当初からバッテリーEVとして新規開発されたため、車格にしてはかなり大きい42kWhバッテリーを搭載し、航続距離320kmを謳う。しかし、実走行では230km程度になる。
小型の24kWhバッテリーを搭載した安価な仕様もあるが、航続距離の短さを相殺できるほどの経済的メリットはないと思う。
最高出力118psのモーターを搭載し、A/Bセグメントの小型車としては驚くほど軽快で楽しい。ステアリングはかなり軽いが、グリップは十分にあり、ボディロールも少ない。ホームグラウンドは街中の一般道だが、高速道路にもうまく対応している。
インテリアもまた、従来の500から大きく進化している。かなりプラスチッキーなところは否めないが、見た目はかわいらしく、シートも快適。インフォテインメント・システムは応答性が高いて使いやすい。
ロールバック式キャンバスルーフを備えたコンバーチブル仕様もある。しかし、言うまでもないだろうが、背の高いドライバーには不向きであり、大人を後部座席に乗せようとは考えてはいけない。
欧州ではEV補助金が以前より減っており、例えば英国では3万ポンド(約570万円)前後で購入することになる。小さなクルマにしてはかなりの金額だが、ファッショナブルな魅力は変わらず、都会を離れても見事な走りを見せてくれる。
3. オペル・コルサ・エレクトリック
長所:十分な航続距離、洗練性が高い
短所:運転があまり楽しくない、狭い後部座席、不完全なドライビングポジション
オペル/ヴォグゾール・コルサeは、スタイルやインテリアの質感において兄弟車プジョーe-208には及ばない。しかし、基本的には同じなので、小型EVとしては素晴らしい1台である。
登場した頃の初期型は航続距離で少し遅れをとっていたが、ヒートポンプを標準装備するといった改良が重ねられ、大容量バッテリーと新しい電気モーターを導入した最新モデルでは、航続距離が最長395kmへと伸びている。
改良ではフロントエンドのデザインが刷新されたほか、新しいマルチメディアシステムが搭載された。ただ残念なことに、価格も3万5000ポンド(約660万円)以上へと大幅に上昇している。
実走行での航続距離は350km前後と、普段使いには十分だ。100kWのDC急速充電に対応し、シャープなハンドリングと快適な乗り心地を両立している点も大きなセールスポイントとなる。
4. ミニ・クーパーS E
長所:運転の楽しさ、ハンサムなスタイリング、パンチの効いたパフォーマンス
短所:航続距離の短さ、バッテリーの小ささ、実用性の低さ
2020年に登場したミニ・クーパーS Eは、ミニらしい魅力をすべて備えているものの、同時に「制約」も多い。3ドア・ハッチバックをベースに、BMW i3sのパワートレインを搭載し、最高出力183ps、最大トルク27.5kg-mとパフォーマンスは上々だ。
今回紹介する10台の中ではドライビングの楽しさが特に際立っており、無邪気な挙動、適度なグリップ、シャープなハンドリングと、ミニの伝統を楽しむことができる。ミニが好きな人ならきっと気に入るだろう。
弱点は航続距離だ。ミニは最長230kmと謳っているが、実走行では160kmから190kmとなる可能性が高い。トランクもかなり小さく、後部座席は小さな子供でない限り乗り降りが難しい。
小型EVとしては非常に楽しい部類に入るが、やはり航続距離の短さがネックとなる。この点に関しては、まもなく発売予定の新型クーパーE/クーパーSEに期待したい。
5. マツダMX-30 eスカイアクティブEV
長所:高級感あるインテリア、スマートなスタイリング、シャープなステアリング
短所:航続距離が短すぎる、実用的でないリアドア、軽快感に欠ける
マツダは独自のやり方を恐れたことは一度もない。他者から「風変わり」と思われるようなことも果敢に挑戦してきた。同社初のバッテリーEVであるMX-30 eスカイアクティブEVも同様だ。
35.5kWhという非常に小さなバッテリーを搭載し、公式航続距離は200kmとされる。これは、大容量のバッテリーは必要ないというマツダの考えによるものだ。バッテリーを大きくすると、コストと重量がかさみ、EVが本来目指すべき効率性が悪くなってしまう。
SUVライトなボディを持ち、居住空間もそこそこの広さがある。珍しい素材で彩られたインテリアは、独特の居心地の良さと好感の持てる雰囲気を醸し出している。
ダイナミクスでもMX-30は傑出している。最高出力145ps、最大トルク27.5kg-mのモーターを搭載し、直線加速性能はごく一般的なものだが、ステアリングの重さとコーナリング中のサスペンションのしなやかな荷重移動の仕方は、あのMX-5(日本名:ロードスター)を彷彿とさせる。しかし、街中では少し地味な印象を受けた。
最大50kWの急速充電が可能なので、普段から移動距離が短い人、あるいはクルマを2台以上所有している人であれば、十分に満足できるだろう。それでも不安を感じるという場合は、830ccのロータリーエンジンで航続距離を延長するMX-30 eスカイアクティブR-EVもある。
マツダは他者と違うことを好む。我々も、そんなマツダが大好きだ。
6. BYDドルフィン
長所:航続距離、コストパフォーマンス、装備の充実度
短所:ステアリングフィールが曖昧、車載システムの使い勝手が悪い
コストパフォーマンスの高いEVを求めるなら、中国の自動車メーカーに注目するのも悪くない。今や世界最大のEV・PHEVメーカーとなったBYDは、中国国内だけでなく日本や欧州市場でも積極的にEVを展開している。その中で、現時点でもっとも小さいEVがドルフィンだ。
最高のクルマではないが、エントリーモデルの価格が2万5490ポンド(約480万円)、フル装備のロングレンジ仕様が3万990ポンド(約590万円)であることを考えれば、その欠点のいくつかは言い訳ができるだろう。
ステアリングフィールはかなり曖昧で、まるでウールが挟まっているかのようにダイレクト感がない。レザーシートも少しナンセンスだ。最大の問題は、インフォテインメント・システムの使いづらさ。画面は巨大だが、使用頻度の高い重要な機能がサブメニューの奥深くに埋もれているし、スマートフォンとのミラーリングもうまくいかない。
しかし、望みうる装備はすべて備わっており、乗り心地はかなり快適で、航続距離も300kmを余裕で超える。また、今回紹介する中では比較的大きいので、室内空間も広い。
7. ホンダe
長所:目を引くスタイリング、軽快なパフォーマンス、洗練された乗り心地とハンドリング
短所:航続距離の短さ、高価、トランクの小ささ
ホンダeはデビュー当時、EVとしては異例のコンパクトなボディに、レトロなデザインを採り入れるなど、革新的なアプローチで注目を集めた。モーターをリアに搭載してパッケージングを良くしたほか、四輪独立サスペンションによって乗り心地とハンドリングのポテンシャルを中型車並みに高めている。
欧州では最高出力136psまたは154psの2種類の仕様があるが、いずれも航続距離は物足りない。35.5kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は220km(16インチホイール装着時)とされている。弊誌の試乗では、17インチホイール装着車で160km以上走るのに苦労した。
走りは落ち着いていて運転しやすい。小回りの良さ、そして控えめながら反応の良いハンドリングを持っている。ワクワクさせるような走りではなく、ボディコントロールにもやや不満が残るものの、都市型EVとしては快適そのもの。スタイリングも非常に愛嬌がある。ワンペダルドライブ機能も、一度慣れてしまえば、運転が楽しくなるし、エネルギー効率を向上させることができる。
残念なことに、ホンダeは今年1月をもって生産終了となってしまった。あとは在庫分のみの販売で、後継車の計画も聞こえてこない。
8. GWMオラ03
長所:キュートなルックス、広くて高級感があるインテリア、成熟した乗り心地とハンドリング
短所:車載システムにバグがある、ステアリングが軽すぎる、航続距離が短い
中国の自動車大手、長城汽車のGMWオラ03(旧:オラ・ファンキーキャット)は、さまざまな理由で注目を集めている。小型EVとしては比較的大きく実用的で、価格もかなりお手頃だ。
ちなみに、GMWオラ03は「LEMON」と呼ばれるプラットフォームをベースにしているが、その頭文字が何を意味するのかは不明だ。英語の「Lemon(レモン)」は、特にクルマに対しては「欠陥車、不良品」という意味合いで使われる。高度なジョークか、あるいは担当者のナンセンスか……。
それはさておき、クルマそのものは玉石混交だ。確かに室内は広々としてるが、後部座席のヘッドルームはシート下のバッテリー位置がネックになっていて狭い。
インテリアの質感は上々で、高級感ある素材がふんだんに使われているが、安っぽいところもたくさんある。インフォテインメント・システムは機能性に富んでいるが、コントロールが小さくて操作しづらい。
走りとしては、乗り心地もハンドリングも十分に良いが、ステアリングは拍子抜けするほど軽く、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)はかなり大雑把に調整されている。バッテリーがフル充電されているときのパフォーマンスはかなり強力だが、残量が減るにつれて著しく悪化する。静粛性の低さも明らかな弱点である。
全体として、GMWオラ03に欠けているのは、質感の一貫性と徹底的なエンジニアリングである。ひどいクルマではないが、中国ブランドがまだ学ぶべきことはたくさんある。
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