評判のいい3.5L V6エンジンにクーペボディ
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】フェアレディZ Z33型とZ34型を比較 次期Z35型プロトも 全58枚
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
手頃な中古のスポーツカーを選ぶなら、マツダMX-5(ロードスター)が近年の定番。使いやすさと信頼性、悪くない見た目を兼ね備え、運転にこだわりのあるドライバーも納得できる動的性能が得られる。
そこへ選択肢として加えたいのが、日産フェアレディZ、Z33型と呼ばれる350Zだ。生産開始から12年が経つ後継モデルの370Zとスタイリングや構造は似ていて、走行性能も十分に高い。
しかも、ネオ・クラシックとして味わいを深めつつある。運転好きの自動車ファンの支持を集め、再び価格が上昇し始める日も遠くはないかもしれない。
350Zの特長を確認していこう。まず第1に挙げられるのが、フロントに搭載されるエンジン。3.5L V6ユニットは、ターボチャージャーが介することのない自然吸気。過去20年間でも、高性能エンジンとして高い評価を得ているものだ。
最高出力は当初280psでスタートしているが、2006年に欧州仕様では300psまでパワーアップ。信頼性は高く、定期的な手入れさえ怠らなければ余裕で16万kmは使える。故障も少ない。
350Zはインテリアも良かった。爽やかささえ感じるシンプルさと、高級感を漂わせる雰囲気は高く評価されてきた。
エントリーグレードはラグジュアリーといいにくいものの、上級グレードになればクルーズコントロールや電動シート、レーザー内装などが付いてくる。ずっと年式が新しいクルマと比較しても、内容で劣ることはない。
ロードスターならさらに安価
若干タイトなクーペの車内が苦手なら、コンバーチブルのロードスターも選べる。ボディ剛性を確保するため、車重はクーペに150kgが上乗せされているが、動的性能や乗り心地に大きな違いはない。
ロードスターの強みとなるのが、同等条件のクーペと比べて英国では流通価格が安いこと。その理由は複数あるが、利便性や狭くなる荷室なども影響しているだろう。
特別な350Zを探しているなら、欧州ではGT4と呼ばれるモデルが狙い目。当時のプレイステーションのゲーム、グランツーリスモ4に収録されていたことから、こう呼ばれるようになった。
フェアレディZ誕生35周年を記念したクルマで、イエローかブラックの専用ボディカラーが目印。英国へ輸入されたのは、わずかに176台。状態が良ければ、1万5000ポンド(216万円)くらいの値段は避けられない。ゲームの中なら乗り放題だが。
Z33型は手頃な価格と優れた性能から、チューニングショップにも重宝がられた。中古車として高い値段が付いているのは純正状態のもの。中古車市場には、ボディキットを装着した派手なZも少なくない。
チューニングされたクルマが良ければ、ラッキーかもしれない。ただし、アフターマーケット製部品の質には注意したいところ。限度を超えた走りを興じられていないかどうかも、しっかり確認した方が良いだろう。
不具合を起こしやすいポイント
ボディ
350Zは社外品のボディキットで飾られている例が少なくない。不完全な塗装が施されていないか、ボディ素地へのダメージや加工は適正かどうかなど、予め状態を確かめたい。
サビも重要な確認ポイント。フロント・クロスメンバーは錆びやすい部分の1つだ。
エンジン
日産製の3.5L V6エンジンは、評判通り信頼性が高い。しかし2007年以前のSEユニットは、エンジンオイルが減りやすい。オイル不足は致命的な損傷を招くので、排気ガスの白煙や油量には気を配りたい。
アイドリング時の排気音が大きすぎないも確かめる。標準のエグゾーストは、触媒コンバーターの前部分で割れることがある。
サスペンション
ブッシュ類が新車時のままなら、交換しておきたい。特にロワー・コントロールアームなどは、12万kmほどで駄目になる。
サスペンションが伸縮した際に聞こえるノッキング音は、アンチロールバーのリンクが原因かも。改良部品を日産は販売している。
ステアリング
ステアリングを切った時に重い場合、パワーステアリング・ポンプの寿命が近い可能性がある。だが、まずはフルードが足りているか確かめたい。
トランスミッション
走行中にリアからカタカタと音がする場合、ドライブシャフト・ジョイントのグリス切れかもしれない。自宅での修理も不可能ではない。
MT車の場合、クラッチ交換は7万2000km前後で必要になる。ディーラーへ依頼すると600ポンド(9万円)ほど取られるが、作業は難しい。クルマ特有の癖を理解する、専門ショップへ依頼した方が良いだろう。
電装系
年式の古いクルマは、ラジエーター・ファンが故障しやすい。試乗時は水温に注意する。電動シートのスイッチやパワーウィンドウのモーター、給油キャップのアクチュエータなども故障しがちな部分。
オーナーの意見を聞いてみる
ジャック・ダブロウスキー
「ホイールアーチの内側など、ボディの錆は確認したいですね。定期点検の内容や、スペアキーの有無、エンジンオイルのブランドや粘度なども」
「エンジンオイルは燃焼し、減りは早い方です。走り始める前にしっかりエンジンを温めて、油脂類の温度を上げた方が良いでしょう」
「定期点検と整備を怠らなければ、状態は悪くなりにくい。エンジン自体は堅牢なので、メンテナンスの履歴がしっかりしていれば走行距離へ敏感になる必要はないでしょう」
英国ではいくら払うべき?
4000ポンド(57万円)~5999ポンド(85万円)
走行距離が長めの、初期型のロードスターが英国では中心。日本からの並行輸入車が出てくることも。
6000ポンド(86万円)~6999ポンド(99万円)
より状態の良い、280psの350Zロードスター。ショーカーのように飾られたクルマも出てくる。
7000ポンド(100万円)~8999ポンド(129万円)
走行距離が少ない、マイナーチェンジ後のクーペが英国では含まれてくる。
9000ポンド(130万円)以上
極上の350Zが英国では選べる。全塗装されていたり、強化サスペンションが組まれたチューニング仕様もある。
知っておくべきこと
日本からの並行輸入車は、英国での人気が高い。余計なボディキットの付いていない、状態の良いクルマが安価に手に入る場合もある。日本仕様の最高速度は180km/hに制限されているが、スピードメーターの交換で解除できる。
英国で売られていた350Zと、日本仕様のフェアレディZではトリムグレードも異なる。日本のSTは、英国のGTとほぼ同等と考えていいだろう。
英国で掘り出し物を発見
日産350Z(フェアレディZ) 登録:2008年 走行:8万5300km 価格:1万490ポンド(151万円)
350Zの最終モデルであり、短めの走行距離と300psのV6エンジンが高めの価格を正当化する。鍛造のレイズ社製ホイールと、状態の良いボディも魅力的だ。
点検整備は主に主要ディーラーでおこなわれ、屋根のあるガレージに保管されてきた。過去数年間は、さほど走っていないという。
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