スバル、STIは2021年12月8日、富士スピードウェイで2022年ニュルブルクリンク24時間レースに向けた公開シェイクダウンテストを行ない、プロジェクトが本格始動を開始した。
2022年5月26日~29日に、ニュルブルクリンク・サーキットで開催される「ADACニュルブルクリンク24時間レース」は、記念すべき50回大会となる。
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2019年、2020年の大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて制限付きの変則的な開催となり、スバルを始め日本からのチームは入出国のハードルの高さや感染の危険性を考慮し参戦中止とせざるを得なかった。しかし2022年の第50回大会は、記念すべき大会として大きな盛り上がりが予想されており、スバル、STIは参戦すべく準備を開始。そして公開シェイクダウンテストを迎えた。
もっともSTIは2019年の段階から参戦を前提とした開発を行なっており、特に2020年は一時の緊急事態宣言解除を受け、参戦を前提に開発、テストを加速させていた。結果的には、それらの蓄積をベースに2022年仕様が決定されている。
もちろんタイミング的には新型WRX S4が発表されるなど、次期型の早期投入も期待されたが、結論的には従来型をベースに、ボディ、シャシー部分に先行開発的な要素を盛り込む方針にしている。
辰己英治総監督沢田拓也監督2022年のニュルブルクリンク24時間レースに向けての参戦目的は、先行技術開発の確認、人材育成、そして参戦を通じてのスバルファンとのコミュニケーションとしている。またレースでの目標は、予選ラップタイムは8分55秒、決勝レースではSP3Tクラス優勝はもちろん、総合でも18位以上、そしてレース中のピット作業時間は1分48秒以内としている。さらにレースでは過去最大周回数を更新する146周以上も目標としている。
では車両はどのように進化したのだろうか。搭載エンジンは従来通りのEJ20型で、性能は維持しながらより燃費を高めることを目指している。燃費を向上させることはピットイン回数を減らすことにもつながるからだ。
シャシー面では、より太幅のタイヤ/ホイールの採用を決断している。タイヤは総幅を11インチ(260mm)から12インチ(280mm)に拡大し、そのためホイール幅も12インチ幅のBBS製の軽量・鍛造ホイールを採用している。
狙いは、より太いタイヤ幅でより接地性を高めるということだ。ただ、SP3Tクラスの規則ではタイヤ/ホイール幅により最低車両重量が決められており、12インチ幅のホイールの採用に伴い、最低車両重量は1220kgから1300kgに増大する。
この+80kgの重量は、重心高より下にあるプラットフォーム、フレームの強化に投入されている。具体的にはサイドシル部やクロスメンバーなどフロア面を形成する骨格部は2重構造にするなどし、フロア面の上下曲げ剛性、左右方向の平面曲げ剛性を格段に高めているのだ。
これは、STIがアッパーボディよりプラットフォーム部の剛性の高さを重視していることの現れといえる。またこれにより結果的に重心高もより低下している。
シャシー関連では、電動パワーステアリングを採用した。従来の油圧パワーステアリングは配管の取り回しが複雑であることやエンジンパワーを消費することと、より幅広のタイヤにより操舵の応答遅れやキックバックの増大が課題となるが、電動パワーステアリングによりこれらの課題はクリアできる。なお電動パワーステアリングはレース用のコラムアシスト式を採用している。
それ以外にはピットストップ時間、つまり給油時間の短縮と、燃費の向上を目指し、1スティントで9周、できれば10周に挑戦するという。また給油時間を短縮するために、ガソリンタンクのエア抜き形状を見直している。なお、車両重量1300kgに増大したのに合わせ、ガソリンタンクの容量は100Lから110Lへの拡大も許されている。
ボディは、特に大きな変更は加えられていないが細部の空力対策を追加し、要所には従来どおりの細かな凹凸のある鮫肌塗装が採用されている。またボディ全体もマット塗装化され、リヤは濃赤のチェッカーフラッグ模様だ。
この2022年仕様のマシンはすでに7、8回のテスト走行を実施しているが、車両重量が増大しているにも関わらず狙い通りの結果になったという。
今回の公開シェイクダウン走行は、佐々木孝太選手が担当した。テスト当日は生憎のセミウエット状態の路面となったが、佐々木選手がマシンの確認走行を行なった。実は2022年型マシンの開発テスト担当は、従来の井口、山内選手に加え、佐々木孝太選手がカムバックしている。
ニュルブルクリンク24時間レースの出場ドライバーは2022年1月の東京オートサロンで正式発表される予定だ。
なお、第50回となる2022年ニュルブルクリンク24時間レースの予選レースは例年の4月ではなく5月6日~8日となっており、決勝レースまで2週間しか間隔が空いていない。そのため、STIチームは今後、新型コロナウイルスの感染状況が急変しない限りは、5月にドイツ入りし、そのまま予選レース、公式予選、決勝レースに臨むことになると考えられている。
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まぁ親会社のトヨタに忖度してるのか、勝てないからなのか。