10月13日に静岡県の富士スピードウェイで行われた2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦。度重なるアクシデントで3度のセーフティカー(SC)が導入されるなど、目まぐるしく展開が変わるレースとなったが、5番グリッドからスタートした佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)は、前日の第6戦よりもはるかに勢いのあるパフォーマンスで追い上げ、表彰台を争う激しいバトルを繰り広げた。
結果としては、先輩ドライバーら相手に敗戦を喫し、悔しさが残るままに4番手でチェッカーを受けた。しかしレース後には、暫定結果の発表時に『他車への衝突行為』による10秒タイムペナルティが加算され、正式結果が更新された際には『最低重量違反』で失格という裁定が下ってしまった。
頻発するトラブルからの接触に「チームとして厳しい課題がある」と阪口晴南。「山本選手に本当に申し訳ない」/SF第7戦
まさにてんやわんやの第7戦を終えた佐藤だが、白熱したバトルからは収穫も得られた様子。レース後の佐藤に、好ペースが発揮できた要因と、表彰台獲得が見えたバトルについて聞いた。
「決勝は、スタート直後からペースが良かったです。野尻(智紀/TEAM MUGEN)選手を抜いて順位を上げることができ、3番手まで上がることができました」と序盤の展開を振り返る。
7位フィニッシュに終わった第6戦とは様変わりした強い決勝ペースの理由について、「昨日の第6戦で感じていた課題を改善することができた」とし、次のように明かす。
「セットアップの狙いとしては、どちらかというと昨日よりもセクター3に合わせて変更しました」
「そのなかでもコース前半のペースも悪くなく、かつ今週はストレートも速かったのでうまくペースを上げることができました」
この強力なレースペースをもとに、「スタート前からピットタイミングは引っ張る作戦を考えていた」という佐藤。
しかしミニマムのタイミングをすこし過ぎた12周目、TGR(1)コーナーで起きた接触による停止車両を理由に、2度目のSCが導入されてしまった。
■「タイヤの内圧が一気に上がった隙を突かれた」
このタイミングで、展開に強いられるようにしてピットインを終えた佐藤は、すでにアウトラップを終えてメインストレートを通過してきた福住仁嶺(Kids com Team KCMG)や牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)と鉢合わせた。
レースはSC導入中。この状況では、1コーナー直前のセーフティカーラインで前に出ていたドライバーが上位のポジションを手にすることになるため、ここで横並びになった佐藤と牧野の間に、ブレーキングのバトルが生じた。結果として、互いに前のポジションを手にしたと考えて揃ってインに切り込んだふたりは接触してしまった。この時は、接触による失速も影響して牧野が前に出ることとなった。
「あのタイミングでは、できるだけブレーキを遅らせたいと思っていました。ですが、少しオーバーシュート気味になってしまい、交錯してしまった結果、裁定でペナルティが出てしまいました。自分としてはこっちが前だと思っていたのでインに切り込んでいきましたが、ぶつかってしまいました」
その後は、SC中の追い越しによるペナルティを懸念した牧野が佐藤にポジションを譲り、再スタートを迎えた。
ニュータイヤで後半スティントに突入した佐藤は、ここからさらなるハイペースを発揮。前の福住を追い上げて一進一退の攻防を繰り広げた。
しかし、バトルがヒートアップするなかで迎えたコカ・コーラコーナーにて、佐藤は痛恨のコースオフを喫する。
「牧野選手とは軽微な接触だったので、その後に影響はなかったです。ですが福住選手とバトルしたコカ・コーナーでは、近づきすぎてエアロが抜けてしまいました。さらに、相手がブレーキタイミングを少しずらしたことがきっかけでコースアウトしてしまいました」
このバトルとコースオフでリズムが狂ってしまった佐藤は、追い上げてきた牧野に接近を許してしまった。
「あのタイミングは、(バトルの影響で)タイヤの内圧が一気に上がってしまっており、その隙を突かれて牧野選手に抜かれてしまいました」
「その後にセーブしたらまた調子が戻ってきたので、もう1度プッシュし直したのですが、抜くまではいけなかったです。チェッカー時には4番手ということで、良いペースがあった事を考えるともう少しできたことはあったと思いますし、ちょっと悔しいですね」
佐藤は今回、続発したアクシデントで急変動するレース展開により、好ペースを乱されることとなったが、そのなかでも、昨シーズンまでホンダ陣営に所属していた“先輩”福住との、表彰台を賭けたバトルを演じるなかで学べることもあった。
「(福住の)ブレーキタイミングをずらした動きも、それも含めてバトルの駆け引きだと思うので、これからは経験として覚えておいた方が良いなと思いました」
「ただ、今回は自分にペースがあるのもわかっていたので、結構『行くぞ』っていう感じで気合も入っていたのですが、結果としてはうまくまとめることができませんでした」
今季一番のレースペースをかたちにできなかったことに意気消沈の様子で語った佐藤。インタビュー簿に発表された最終的な正式結果では、『最低重量違反』での失格という追い打ちが見舞うこととなったが、最終戦鈴鹿へ向けては、「開幕戦の鈴鹿でも調子は良かったので、今シーズンに得たものを生かしながら優勝目指して頑張ります」と前向きに意気込んでサーキットを後にした。
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