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フォルクスワーゲンT-Roc 日本導入前に評価  走り、ホットハッチ的

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フォルクスワーゲンT-Roc 日本導入前に評価  走り、ホットハッチ的

もくじ

どんなクルマ?
ー T-Roc デザインの巧さが光る
ー 選べるカラーコンビ インフォ系もモダン

レンジローバー似? 中国のSUV「長安CS55」試乗 実力、低からず

どんな感じ?
ー 英国はガソリン/ディーゼル2本立て
ー 2.0ℓガソリン 走りはホットハッチ的

「買い」か?
ー 「かっこもよく、運転して楽しい」

スペック
ー フォルクスワーゲンT-Roc 2.0 TSIのスペック

どんなクルマ?

T-Roc デザインの巧さが光る

ヨーロッパにおける全自動車販売台数においてSUVの占める割合は現在27%であるが、5年以内にこの数字は34%になると予想されている。

この世界は、新しいコンパクトSUVを必要としているのか?

トゥアレグとティグアンの隙間を埋めるT-Rocの導入したフォルクスワーゲンの答えは、イエスである。

このT-Rocで、フォルクスワーゲンは、ふたつの重要なものを導入する。細長く横にワイドなフロントグリルとVWグループのモジュラープラットフォームであるMQBプラットフォームだ。

メカニカル・コンポーネントの標準化や衝突安全性規制に求められる自動車技術の熾烈さばかりが注目されるT-Rocだが、このクルマのデザイもまた、注目すべきポイントである。

ルーフラインは、リアに向けて傾斜しており、ポリッシュされたアルミのモールは、そのルーフラインと薄いグリーンハウスを強調している。これらのトリックは、クーペにみせかける手法であり、実際にこのクルマを背が高くないクロスオーバーらしくみせることに成功している。

そしてノーズとテールには、強調された直線が盛り上がったホイールアーチ同士の一体感を高めている。これらのライン(特にボンネットからCピラーへ向かって伸びているライン)のシャープさは、目を見張るばかりである。

計算し尽くされた全てのラインには意味があり、無意味な切り込みや辻褄あわせの折り曲げや風変わりなアングルは、このクルマには存在しない。最近の多くのクルマのデザインにみられる、フェンダーラインの余波に見えるような、不自然な造形もここにはない。

T-Rocは、実際の大きさよりもその姿をコンパクトに見せることに成功している。この事実は、ディーゼルゲート・スキャンダル後の、フォルクスワーゲン車の購入意欲をいくらか助けている。

選べるカラーコンビ インフォ系もモダン

T-Rocスポーツを選んだ場合、4つのうちのひとつのコントラスト・ルーフカラーを選択することができる(合計で24のカラー・コンビネーション)。また、T-Rocスタイルでは、ダッシュボード、コンソール・パネル、ドアトリムの内側の色を選ぶ必要がある。

ブラック・オーク・ブラウン、ラベナ・ブルー、エナジェテック・オレンジ・メタリック、カークナ・イエロー・メタリックが基本色である。

このことに触れたのは、これらがT-Rocの本質であり、購入しようとする人が知りたいことでもあるからである。このクルマは、同セグメントを震撼させ、程度の差はあれ、既存の常識を覆すだけのポテンシャルを持っているのだ。

先に触れたふたつのモデルには、アウディを思わせるアクティブ・インフォ・ディスプレイが、普通のインストゥルメント・パネルに代わって、装備される。

アナログのようなダイヤル式メーターやフルスクリーンのナビとして、そしてそれらの細かな副次的な仕様へ変更することができ、センターに位置する8.0インチのインフォテインメント・ディスプレイとも連携する。

後者は、おなじみのVWグループ・メニューをはじめ、仕様変更のオプション、ナビのサブ・モニターとしても機能し、スクリーンに触れることなく操作をすることができる。

当然、アップル・カープレイ、アンドロイド・オート、ミラーリンクに対応している。T-Rocのキーは、好みのラジオ局やダイナミック・セッティングといった、各ドライバーの好みを記憶することもできる。

どんな感じ?

英国はガソリン/ディーゼル2本立て

全てのエンジンはターボで過給される。

ガソリンエンジンは3種。

・114ps仕様の3気筒1.0ℓエンジン
・新しい149ps仕様の4気筒1.5ℓエンジン
・189ps仕様の2.0ℓエンジン

ディーゼルエンジンのラインナップは
・114ps仕様の1.6ℓエンジン
・149ps仕様と189ps仕様の2.0ℓエンジン

ガソリンとディーゼルのグレードの付け方とその出力は両者で同じである。2車種用意される189ps仕様は、4輪駆動と7速デュアルクラッチ変速機を標準で備える。2.0TDIの小パワー仕様は、DSGがオプションである。

なお、このクラスで常識的な安全装備は標準で備える。駐車時の注意喚起か自動駐車システム稼動時くらいが、その使用される想定。パーキングセンサーは、コーナーのエア・ベント(っぽく見せたデザイン)やフロントのLEDデイライトのなかに巧みに隠されている。

見た目と感じ方が、不自然に異なるのがインテリアである。

シート、カーペット、ルーフライニング以外の全ての表面は、素材を巧みに使い、その形や建て付けが見事に調和しているのであるが、硬いのである。

T-Rocの内装を観ていると、ソフトタッチと高品質を同次元で語るのは、もう考えが古いのかとさえ思える。若い世代の購入者はそんなことは気にもしない。考えてみれば、iPhone8には、パッドは入っていない。

室内は居心地がいい。ウインドウ下端が高く、窓の上下長が短いから「囲まれ感」があるからだろう。

しかし一方で、ボンネットにある目印を頼っても、狭い場所では、このクルマの横幅を認識することが簡単ではない。シート・ポジションやステアリングを上げることはできる。しかし、T-Rocのあちらこちらで感じられる、スポーティさは損なわれる。

今回の試乗車は、全て2.0 TSIエンジンを搭載したトップ・モデルである、T-Rocスポーツだ。

12月に予定されている英国における導入時の価格は、およそ£34,000(500万円)。エントリー・モデルの1.0TSIの£19,000(280万円)と比べると、相当な価格の開きが存在する。これは、同サイズのアウディQ2の同程度のグレード間の価格の開きよりも大きい。

試乗車に提供されたクルマが全てガソリンエンジンであったことは、市場がディーゼルから離れていることと、フォルクスワーゲンが、例のスキャンダルを過去のものとしたいという意図が感じられる。

ここでひとつはっきりさせておこう。

2.0ℓガソリン 走りはホットハッチ的

ここでひとつはっきりさせておこう。

少なくとも、最高位グレードにおいて、T-Rocは素晴らしいクルマである。

回すほどその応答性が次第に速くなる、可変レシオ・ステアリングは、タイトなワインディングで、このクルマの挙動をダイナミックなものとする。

225/40R19という大きなタイヤから得られる、グリップも相当なものである。のぼりのワインディングでアクセルを踏み込んだ時のパワーのデリバリーも特筆すべきものだ。剛性は非常にしっかりしており、その恩恵で乗り心地は程度にしなやかでありながら、安定している。

ダンパーには4つのモードが備わるが。ノーマル・モードが本命である。通常SUVでは、求めるまでもないが、ダイナミックな走りやワインディングにおける収まりのよさに貢献している。SUVのGTIとはよくいったもので、赤色のキャリパーを持つスポーツなら、なおさらである。

エンジンは、いつも通りスムーズで、トルクも十分。ターボラグは実質的に皆無である。DSGのオートマモードのシフトもスムーズ。ドライバーの心を読んでいるかのように最適なギアを選択する。

コレにも、スポーツ・モードがあるが、エンジンのキャラクターを過剰に演出するだけで実利はない。ステアリングの裏側に小さなパドルがあり、マニュアルでシフト操作をすることもできるものの、同じく、子どもだまし程度のものだ。

4輪駆動システムは、路面によってモードを選択でき、坂道発進アシストも備える。

室内には若い家族や2組のカップルが余裕で乗車できる空間が存在し、パワー・アシスト付のテール・ゲートから望むトランク・スペースは十分である。T-Rocは、運転しても楽しく、実用的でもある。

「買い」か?

「かっこもよく、運転して楽しい」

やり尽くされ、行き過ぎた、派手過ぎる今日のSUVの群集にあって、直線基調の自信に溢れたT-Rocは、一目でフォルクスワーゲンと認知できる。

クルマを購入する一般大衆から、失った信用を回復するものとしては、幸先のよい再スタートともいえる。

T-Rocは、かっこもよく、運転して楽しい、トップ・モデルの価格はともかく、全てのひとびとの生活に溶け込むはずである。しかも、SUVを嫌う向きも、このクルマによって、考えを変えるかもしれない。

フォルクスワーゲンT-Roc 2.0 TSIのスペック

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