手引き式や足踏み式だったパーキングブレーキが電動となりボタン形状に。シフトレバーもダイヤル式やスイッチ式のものが多くなってきた。このように、10年前までは普通に備わっていた装備が、技術の進化でどんどん置き換えられている。
もちろん今後も、いろいろな装備が、より便利で安全なものへと置き換わっていくと考えられる。次に置き換えが進む装備はなんだろうか。筆者の予想をご紹介しよう。
消えてゆく装備サイドブレーキ&シフトレバー、その次は何が消える?
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Suttipun
写真:LEXUS、HONDA、ベストカー編集部
インナードアハンドル
最近見たクルマの装備のうち、筆者が「今後流行りそうだな」と感じたアイテムが、インナードアハンドルの電動化だ。レクサスの新型NXと新型RXに搭載されたドアのアンラッチをスイッチによって行う「e-ラッチシステム」は、インナードアハンドルを引く代わりに、ドアに付いたe-ラッチ用のスイッチを軽くタッチすることで、ドアラッチが開錠する。その後はいつも通り、ドアを押して開くだけだ。新型NXと新型RXにはインナーレバーが残されているが、採用が進めば、いずれ消えていく可能性もある(もしくはより目立たない場所へ移動する)だろう。
外側のドアハンドルも同様に、グリップの内側にあるスイッチでラッチ解除ができるようになっている。荷物をたくさんもっているときなどは、力がほとんどいらずにラッチが外れてくれるのはありがたい。
ワイパーレバー
ステアリングホイールの後ろ側にあるワイパーレバーも、あの位置にある必要はない。ステアリングホイールにスイッチを設けた方が、操作も楽になり、レバーも無くなるのでステアリングホイール周りがすっきりする。ワイパーの動作速度も同様にステアリングスイッチのほうが、安全性も上がるかもしれない。いずれ消滅する可能性があるアイテムだ。
【ワイパーレバー】ステアリングホイールの後ろ側にある必要はない。ステアリングホイールにスイッチを設けた方が、操作も楽になり、レバーが無くなることでステアリングホイール周りもすっきり。安全性も上がるだろう(PHOTO:AdobeStock_yasuyasu99)
ヘッドライトオンオフスイッチ
ヘッドライトをオンオフするスイッチも消えていく可能性の高いアイテム。ウィンカーレバーの先端に付いていたり、輸入車だとダッシュボードについていたりと、レイアウトは何パターンかあるが、基本的には「常時AUTO」でいいわけで、操作する必要性はあまりない。
ヘッドライトについては、新型車は2020年4月より、継続生産車は2021年10月より、「オートライト機能は手動による解除ができない構造であること」という新たな保安基準が適用となっている。停車中は手動で消灯させることはできるが、走り出すと自動的に点灯するのが義務。信号待ちや駐車場でヘッドライトを消したい場合に対応できるよう、一次的にオフにするプッシュスイッチを設けておけばよいだろう。
アナログメーター
アナログメーターも消えゆくアイテムのひとつだ。狭い液晶スペースであっても、スイッチ操作ひとつで燃費計を出したり、ナビゲーション表示にしたり、デジタルスピードメーターにしたり、タイヤ空気圧を表示したりと、画面表示を切り替えられることのメリットは大きい。
ただし、デジタルメーターとなった後でも、数字と針によるアナログメーター風の表示は、今後も継続されていくだろう。運転をしている最中に、視界の端で針の位置が分かるので、凝視しなくとも直感的に速度や回転数が分かるのは代えがたいメリットだからだ。
スマートキー
既に採用を始めているメーカーもあるが、スマートキーは、スマートフォンにスマートキーの機能を持たせたデジタルキーになっていくだろう。スマートキーのメリットは、カバンからキーをいちいち取り出さずとも、クルマのロック・アンロックができることだが、スマホで操作可能としてしまえば、荷物はさらに減らせる。
ホンダヴェゼルや、レクサス新型NXなど、既に採用されているモデルもあり、ヴェゼルの開発担当者によると、セキュリティ面の課題を突破したことで、搭載できるようになったという。ますますスマホが手放せない時代になるだろう。
◆ ◆ ◆
将来的には、ステアリングホイールやペダル類でさえ、なくなっていく(目立たない場所へ隠される)かもしれない。ドライバーの運転操作は、日常的にはナビの設定程度となることも考えられ、安全で便利なクルマ社会となるが、そうなると、筆者も含めた運転操作が好きなドライバーにとっては、退屈な世界になるだろう。
どちらがいいのか、ではなく、どちらのドライバーも共存できるような未来が訪れることを期待したい。
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