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登場から40年!日本発の便利アイテム「カーナビ」はどう進化? その壮大な歴史とは

掲載 更新 8
登場から40年!日本発の便利アイテム「カーナビ」はどう進化? その壮大な歴史とは

■世界初の地図型カーナビはホンダが開発

 スマホ(スマートフォン)が1台あれば、行きたい場所を検索して設定するだけで簡単に目的地までのルートを案内してくれる。いまやそんなことが当たり前の時代となった。

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 でも、それが可能となったのはほんの10年ほど前、iPhoneやAndroid搭載スマートフォンで専用の地図アプリを使えるようになってからのことだ。それ以前は、ドライブにおいては車載されたカーナビゲーション(カーナビ)がその役を任されていた。

 では、そのカーナビが誕生したのはいつなのか。その歴史をたどってみよう。

 2017年3月、本田技研工業(ホンダ)の本社ビルで「IEEEマイルストーン」の認定式が開催された。

 その認定の対象となったのが1981年に誕生した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」。これが世界初の地図型カーナビゲーションとして認定されたのだ。

 いまから40年近く前、ドライブではひたすら紙地図を開いて目的地までのルートをたどっていた時代。そんななかでホンダは「ガスレートジャイロセンサー」を用いることで、クルマの動きを地図上に反映させる技術を開発したのだ。6インチのブラウン管ディスプレイ上に、現在地を表示する技術として活用したのが始まりだった。

 しかし、いざ開発となると試行錯誤の連続だったようだ。「ガスレートジャイロセンサー」は停止すると勝手に滑り出す“ドリフト現象”が発生し、この対策のためにヘリウムガスの純度を高めたが、これを維持するためには高い真空技術が欠かせない。そこで、真空技術に長けているランプメーカーのスタンレー電気に協力を仰いだ。

 自車位置を表示するなら地図も必要だ。しかし、時は紙地図しかない時代。検討を重ねた結果、昭文社がそれをフィルム化して協力してくれることになった。地図上にマーキングして消せる専用ペンは三菱鉛筆が担当。ブラウン管の上に差し込んだフィルム式地図上に、ペンでマーキングして使用した。ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータの開発には多くのサプライヤーメーカーが関わっていたわけだ。

 しかし、使い勝手は決して褒められたものではなかった。というのも、使う時は最初に正しい現在地を設定する必要があったし、何よりもこのフィルム式地図は、紙地図をめくるように手作業で差し替える必要があったのだ。

 そんな反省から生まれたのが、光ディスクに地図データを収録する方式だ。ホンダはこれで特許を取得。しかも普及することを第一に考えたホンダは、これを無償公開した。これがきっかけで、地図の電子化は一気に進んだのだ。

 1987年にはさっそくトヨタがCD-ROMに地図データを収めた「エレクトロマルチビジョン」を「クラウン」に搭載。1989年には日産が「シーマ」に進行方向を上にして地図を表示する「マルチAVシステム」を搭載するに至る。

 ただ、いずれも利用する際に、正しい現在地を設定する必要があった。これらを経て時代は、いよいよ現在地測位に「GPS(グローバル・ポジショニング・システム)」を使う時代へと入っていくのだ。

 世界初のGPSカーナビは、1990年4月に登場した「ユーノス・コスモ」のCCS(カーコミュニケーションシステム)だ。

 当時、南極の資源探査で使われていたGPSをカーナビとして活用することを三菱電機が思い立ち、開発に着手。地図の電子化を住宅地図のゼンリンに依頼し、地図データのプラットフォーム「ナビ研フォーマット」を開発。このデータベースを採用することで、コスモのGPSカーナビが実現した。

 同年6月には、パイオニアが日本初の市販型GPSカーナビ「AVIC-1」が登場、「道は星に聞く」このキャッチコピーのCMで多くの人を惹きつけた。これにより、いつでも現在地が地図上に表示されるようになり、ここからGPSによるカーナビゲーションへの道が開かれることになる。

 ルートガイドをおこなう現在のカーナビの原型ともなったのは、初代「セルシオ」後期型に搭載された「ボイスナビゲーションシステム」だ(1992年)。GPSによって常に正しい現在地を表示できる上に目的地までのルートを地図上に表示し、音声ガイドに交差点ガイド機能も備えた。これによって急速にカーナビの能力は高まっていくこととなった。

 それに伴い、地図データもCD-ROMからより容量の大きいDVD-ROM、HDD、メモリーへと変遷していく。情報量やアクセススピードが向上し、使い勝手は飛躍的に高まっていった。

■5G通信を利用したコネクテッドは今後の自動運転にも必須

 その一方で、カーナビは“コネクテッド”としての姿も見せるようになる。1998年にまずトヨタが、ネットワークナビの先駆けとなる「MONET(モネ)」をスタートさせ、ホンダはインターネットとカーナビを融合させた「インターナビシステム」を、日産も有人オペレーターによるテレマティクスサービス「コンパスリンク」のサービスを開始。この時よりカーナビにはリアルタイムの情報を反映できるようになった。

 この情報は、交通情報にも活かされた。1996年には東京圏からVICS(ビークル・インフォメーション・コミュニケーション・システム)の情報提供サービスが開始されると、まず渋滞を回避するルートガイドが可能となった。

 さらに2002年にはホンダがインターナビシステムで自動車メーカーとして世界で初めて「フローティングカーシステム」を実用化し、VICSが提供する約8倍にもなる33万kmもの道路を対象に交通情報を提供して渋滞回避精度を大幅に高めることとなった。

 このプローブ情報は、実際にユーザーのクルマが走行した実績を反映することができるため、災害で通行止めになっている情報も地図上で判別できた。つまり、これらの情報は単に交通情報を提供するだけでなく、災害時にも大きな役割を果たすことにつながったのだ。

 それを最初に実践したのがホンダで、2007年に発生した新潟中越沖地震発生後に通行データを試験的にインターネット上に公開。2011年に発生した東日本大震災ではこのサービスが大きな役割を果たすこととなった。

 コネクテッドは地図データの更新にも活かされるようになっていた。少し遡る2002年、パイオニアは世界初の通信機能内蔵型カーナビ「Air Navi(エアーナビ)」を発売。通信モジュールには当時最速の「CDMA2000 1x」を採用し、交通情報や天気予報といったドライブ情報を受信できるだけでなく、地図データや店舗データまでも最新版に更新できる仕様とした。

 これは自動運転で欠かせない「OTA(On The Air)」をこの時代に先取りしたものともいえ、その意味でも「Air Navi」はコネクテッドナビとして時代の先をいく仕様となっていたのだ。

* * *

 自動車業界では、CASE(Connected/Autonomous/Shared/Electricの略)というキーワードが取り沙汰されて久しい。電動化や自動運転、カーシェアリングとともに通信を活用する「つながるクルマ(=Connected)」であることが必須となりつつある。

 トヨタをはじめ、自動車メーカーは通信機能を標準化させる動きを加速化させ、スマホと連携させたディスプレイオーディオの登場も、それまでのカーナビの常識を大きく変える動きとなっている。その中心にいるのがカーナビを含むインフォテイメントシステムなのだ。

 さらに高速通信の5Gサービスがスタートしたのに伴い、クルマとそれ以外を通信で結ぶ「C(Cellular)-V2X」の考え方も浸透しつつある。

 5Gが持つ超高速、低遅延、大容量といった特徴は、将来の自動運転の実現にもつながるもの。一方で自動運転のプラットフォーマーを目指すGoogleやAppleといったIT勢の動きも見逃せないし、つながることで増えるセキュリティへの対策も欠かせない問題だ。

 カーナビはそうした課題を乗り越え、今後もより安心安全なカーライフを楽しめるサービスを目指して進化を遂げていくことだろう。

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みんなのコメント

8件
  • 今や搭載されたAIと会話しながら道案内してもらう時代だからな。
    ナイトライダーが現実になる日も近い。
  • アコードのジャイロケーターというナビの元祖のオプション価格は、当時30万近くしたので装着した方はほぼいなかったと思う。それと、写真は初代アコードセダンの後期モデルだが、ジャイロケーターが登場したのは1981年に2代目アコードになってからなので間違いと指摘させてもらう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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