今のポルシェにとって要のモデル
text:Piers Ward(ピアス・ワード)
【画像】プロトタイプのクロスツーリスモ タイカン、パナメーラと比較 全96枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
純EVのタイカンが、ポルシェだけでなく、自動車業界全体に与えた影響は誇張せずとも大きい。多くの人々へ、電気自動車に対する考えを改めさせた。ポルシェが推し進めるビジネスの焦点がシフトしたことを、物質的に表したモデルでもある。
純EVの開発だけでなく、ポルシェがデジタル部門の子会社に対しても巨額の投資をしている事実を見れば、それは疑いようがない。ポルシェ社内にもフォワード31という部門を立ち上げ、デジタルビジネスを推進している。
タルガ・フローリオやル・マンでの活躍で、ブランドを定義する姿とはかけ離れている。エンジンで動くクラスを代表するスポーツカーだけで、ポルシェを形成する時代は終わったのだ。
今やタイカンは、ポルシェにとって要となるモデル。高性能な電気自動車は、デジタル部門との協働で成り立っている。タイカンがモデルバリエーションを増やすのは、当然のことだろう。
その最初の1台が、このタイカン・クロスツーリスモ。今回は開発途中のプロトタイプへの試乗となった。2021年に発表予定の量産版に、すでにだいぶ近い内容だという。
写真をご覧いただければわかるとおり、スポーツサルーンのタイカンから実用性を高めてある。ポルシェ・パナメーラと、パナメーラ・スポーツツーリスモとの関係に似ていると考えるとわかりやすい。
開放的で余裕を増した車内
タイカン・クロスツーリスモには、最大で1200Lの大きな荷室が用意されている。トノカバー下では目立って大きな差はないようだが、正式な容量は追って明らかとなる。
少なくとも、家族4人とその荷物を簡単に運べるポルシェであることは、間違いないだろう。しかも、パワフルな純EVだ。
専用ホイールや、オプション設定となる大きなパノラミック・グラスルーフ、ルーフレールなどが見た目の違いを主張する。2018年に公開された、コンセプトカーのミッションEクロスツーリスモのように、フェンダーアーチにはエクステンションも付く。
タイカンとしては初めて、ヒッチメンバーも指定できる。といっても、トレーラーを牽引できるわけではなく、自転車のキャリアを固定するものだという。ライフスタイル・ビークルでもある。
ルーフラインが異なり、リアシート側では頭上空間で36mmも余裕が増した。数字としては大きいものではないが、大面積のグラスルーフと相まって、リアシートから眺める車内はかなり開放的に感じられる。
クロスツーリスモでも、通常のタイカンと同様にスケートボード構造で、バッテリーはシャシーのフロア下。つま先が入る空間も広く、快適なリアシートだ。
ダッシュボードの造形も、基本的には通常のタイカンと同じ。スポーツクロノ・パッケージでストップウォッチが収まる部分に、コンパスが収まる違いでクロスオーバー感を高めている。
グラベル・モードがあるドライブモード
車内正面には、大きな液晶モニターが3面備わる。ドライバー側から助手席側まで、一列に並んでいる。
操作は簡単だが、多くのタッチモニターと同様に、視線を移さず操作することは難しい。使いやすさとしての理想と現実には、差がある。
それ以外は人間工学的にも優れ、インテリアは良く煮詰められている。着座位置は充分低く、それでいて前方の視界は広々。リアウインドウの開口部が少々狭く、後方視界だけは教科書通りとはいえないだろう。
クロスツーリスモの見た目を新鮮に感じさせる部分が、車高。標準で通常のタイカンより20mm高い。オプションのオフロード・パッケージを選択すれば、最低地上高は30mm高くなる。
エア・サスペンションはクロスツーリスモで標準装備。必要なら車高を下げ、空力特性を改善させることもできる。エアサスの設定には、5種類が用意されるという。
ラリードライバーのように走りたいと考えるオーナーなら、ドライブモードにグラベル・モードがあることを喜ぶかもしれない。今回は舗装路での試乗に限られ実力は試せなかったが、ポルシェがどんなクルマを目指しているのか、うかがい知ることができる。
ちなみに、開発途中のプロトタイプということで、試乗時点では動的性能の数字は公表されていなかった。推定の範囲に留まるが、試乗したターボSでは93.4kWhのプレミアムバッテリー・プラスを搭載し、761psと106.8kg-mを得る見込みだ。
この続きは後編にて。
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