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WRCラリージャパンから姿を消した2台のRally1車両。トヨタ勝田貴元も吸い寄せた“魔境”伊勢神トンネルSSで何が起きた?

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WRCラリージャパンから姿を消した2台のRally1車両。トヨタ勝田貴元も吸い寄せた“魔境”伊勢神トンネルSSで何が起きた?

 世界ラリー選手権(WRC)ラリージャパンには9台のRally1車両がエントリーしていたが、DAY3の朝を迎えた時点で戦いに残っているのは7台だけだ。

 何も“神隠し”にあった訳ではない。DAY2のオープニングステージとなった伊勢神トンネルSS(SS2)でクラッシュしたヒョンデのダニ・ソルド/カンディド・カレーラ組とM-スポーツのアドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組は、DAY3に向けてマシンの完全修復ができず、ラリーからのリタイアを選んだのだ。

■諦めるには早すぎる。SS2でクラッシュの勝田貴元、WRCラリージャパン2日目にして後退も「まだまだ先は長い」原因はコース状況の変化

 伊勢神トンネルSSは、旭高原元気村から旧伊勢神トンネルを抜けるラリージャパン最長の23.67kmのステージだ。旧伊勢神トンネルの正式名称は伊世賀美隧道で、1897年に竣工した長い歴史と、怖いもの好きを呼び寄せる“ウワサ”を持っている。古い施設が故に、昨年はラリーカーの走行によってトンネル内にダストが巻き上げられ、WRC2ドライバーがクラッシュを喫した。

 今年はトンネル内が新たに舗装されたが、今後はステージ中盤の11.81km地点にある右コーナーがドライバーを吸い寄せた。

 ドライバーたちが開幕前から恐れていた通り、現地は前日の夜から雨が降り注ぎ、SS2開始直前に雨脚が強まった。事前のレッキやグラベルクルーが走ったところから大きくコンディションが異なったため、ドライバーはペースノートだけを信じて走ることはできず。自身の目で状況を確かめながらの走行を強いられた。

 大雨の影響によりコース上に“川”が出現し、まずTOYOTA GAZOO Racingの勝田貴元/アーロン・ジョンストン組がコントロールを失いクラッシュ。マシンの右フロント部分に大きなダメージを負ったものの、勝田は自力で走行を継続することができた。ただ、ソルドとフルモーはそうもいかなかった。

 ソルドはブレーキングポイントでアクアプレーニング現象に見舞われ、スピン状態でコーナー奥の小さな谷にリヤから転落。続くフルモーもコーナーを飛び出して、フロントから谷に転落してしまった。

 3台をクラッシュに追い込んだコーナーの状況について勝田は、「情報になかった」と説明。フルモーはコース上の川が「数十分後には消えていた」とも説明しており、いかにコンディションが刻々と変化していたかを表している。

「自分にとってもチームにとっても、本当に残念なことだけど、本当に難しいコンディションだった」

 ソルドはクラッシュについてそう振り返った。

「ステージをスタートしてから11kmの地点でブレーキングをミスしてしまった。アクアプレーニング現象が起きて、そのまま止まらなかったよ」

 ソルドとしては、2年連続で伊勢神トンネルSSにて完全リタイア。昨年はトラブルに起因する出火によりマシン全損となっており、またも伊勢神トンネルSSの先へ進むことができなかった。

 M-スポーツもフルモーのマシンはシャシーまでダメージが及んでいたとして、リタイアを選択した。ソルドとフルモーに怪我がなかったのは、不幸中の幸いと言えるだろう。

 SS2はクラッシュの影響で赤旗中止となり、天候の悪化から、この日設楽町SSで予定されていたSS4はステージキャンセルとなった。

 WRCコースクラークが下したステージキャンセルの判断については、ドライバーからも支持された。

 ヒョンデのティエリー・ヌービルは、ところにより水たまりが見えない場所もあり、DAY2午前のコンディションは「本当に危険」だったとして、キャンセルの判断は妥当だと口にした。

「なんて言ったらいいか、言葉が見当たらなかったよ」とヌービルは言う。

「ああいうステージに行くと、めちゃくちゃ遅く走っているのにドキッとする瞬間が沢山あるんだ。予測不能だし、本当に危険になる。すぐに判断が下されたのは特筆すべきことだと思うし、後のステージをキャンセルしたのは良い判断だった」

「低速でコントロールしていても、酷いことになった。これ(ラリージャパン)に限った話じゃないけど、この判断にはとても満足している」

 またヌービルは、ペースノートが全く役に立たなかったと振り返った。

「正直、(ペースノートは)役立たずだったね。レッキの時は水たまりがなかったけど、ここへきて強い雨が降ったから難しかった」

「落ち葉や泥は全く問題なくて、問題は水たまりだ。避けることができるセクションはほとんどなかったし、川みたいに水が流れていた。ペースノートの情報が使えなかったから大きなチャレンジになった」

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