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1代限りで消滅した「小さな高級車」 時代を先取りした悲しき国産セダンを振り返る

掲載 更新 17
1代限りで消滅した「小さな高級車」 時代を先取りした悲しき国産セダンを振り返る

高齢化社会の日本でブーム到来はあるか

 ボディサイズは小さくとも機能や内外装を上質にした「小さな高級車」、輸入車ではイギリスのバンデンプラプリンセスやベンツ190などの成功例もある。しかし日本車では、そういった目的として市場投入されたモデルはあるものの、成功例は浮かばない。

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 しかし、クルマ文化で努力を積み上げ成功してきたニッポン。小さな高級車こそ、高級技術と歴史があればこそ生み出せるものではないのだろうか。小さな高級車造りに対する挑戦があったことを忘れてはならない、というわけで少し振り返ってみたい。

日産・ローレルスピリット

 日産の「ローレルスピリット」は、かつてあったディーラーの日産モーター店で販売されたサニーの兄弟車だ。日産モーター店では、トヨタのマークII三兄弟のライバルだったローレルが販売されていたこともあり、弟分であるローレルスピリットは車名の通り、ローレルを踏襲したクラス以上の内外装を持っていた。

 が、逆に言えばそれだけだったことも事実。存在感が薄く、結果的に失敗に終わった。

ホンダ・コンチェルト

 ホンダの「コンチェルト」は4代目シビックをベースにした小型セダン。当時、ホンダと業務提携を結んでいた英国ローバー社との共同開発により誕生したモデルである。 コンチェルトはまさにイギリスの老舗ローバーの信頼性が発揮されたとも言える。英国車を彷彿とさせるウッドやレザーを使ったインテリアは、こちらもクラスを超えた高級イメージだった。 また、ベースのシビックから高められた全高も、当時のホンダ車としては長いストロークを持つサスペンションなどを採用。シビックとはずいぶん違ったクルマに仕上がっており、小さな高級車としての素質は十分備えていたといえる。 しかし、それまでのホンダ車のイメージにはそぐわない、地味と捉えられてしまったことが原因だったのか、販売が振るわなかったのも事実だ。

トヨタ・プログレ

 トヨタの「プログレ」はまさに、”小さな高級車”の代名詞。そのままキャッチコピーとし、ボディを5ナンバーサイズにとどめ、FR車として1998年に登場した。 内容から言ってもプログレは、キャビンの広さも十分なもの。インテリアや塗装、静粛性といったクオリティも上々であり、セルシオ級の評価を得たまさに小さな高級車だった。 しかし、プログレはいかんせんスタイルにクセがあると言われたのも事実。当然ながらボディサイズの割に値段として決して安くはなく、「同じ価格帯ならばクラウンの方がいい」と判断した日本人が多かったせいもあるのだろうか。高齢者が乗る小さな高級車的なイメージとなり、販売は振るわなかった。 悲しくもプログレは後から加わった兄弟車の「ブレビス」ともども成功せず、一代で絶版となったしまったのだ。

マツダ・ベリーサ

 2代目デミオの兄弟車として登場したのがマツダの「ベリーサ」。2代目デミオに対して、より広いキャビンを持ち、静粛性への配慮を行う全体的なクオリティを向上させるなど、セダンではなくコンパクトカーだったものの小さな高級車としての素質は決して悪くなかった。

 しかしその割に、つかみどころのないスタイルやさほど高級に見えないインテリアという、所詮は”ちょっと上質なコンパクトカー”という印象。デミオが現行型の4代目モデルとなった2015年までの長きに渡って販売されたものの、結局目立つことはなくひっそりと姿を消した。「小さな高級車」というコンセプトは、高齢化が進んでいる現代であればうまくやれば受け入れられそうな予感もする。それだけに再び市場へ挑戦する日本車は出てこないものだろうか、ぜひとも見てみたいものなのだ。

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みんなのコメント

17件
  • ローレルスピリットは一応、2世代ありましたよ。(初代はB11サニーベース、2代目はB12トラッドサニーベース。)
  • 道路幅は基本的に昔から変わっていないのに、車だけがどんどん大きくなり、「大衆車」と言われる車両まで3ナンバーサイズになることを許したのは、『プログレ』を筆頭するこれら「小さな高級車」の販売が芳しくなかったことを“失敗”ととらえ、それを再検討・再構築することをせずに“汚点”として闇に葬ってしまった各メーカーにも問題がありますが、何より、車というものを大きさや煌びやかな外装だけで判断し、その車の目指した本質というものを正当に評価できなかった我々消費者にも責任の一端はあるのではと考えます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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