10位 シトロエンC5エアクロス
シトロエンが真の意味でファミリー向けSUVと認められるクルマを出すまでにはしばらくの時間を要した。
このフランス製SUVは快適性を重視したカドの取れた乗り心地が魅力だ。C4カクタスにも使われた新開発のサスペンションやシートがこれに一役買っている。
確かに乗り心地は柔らかいが、すべてがシトロエンの目論見通りかと言えばそううではないだろうう。ハンドリングは他のライバルに対抗できるレベルにはなっていないことからもこれがうかがえる。
ただしキャビンのスペースは十分で、組み付けや仕上げのレベルも高い。シトロエンがこの足まわりをもう少し煮詰めてくれたら、このランキングは変わってくるだろう。
9位 DS7クロスバック
このクラスの多くのクルマたちはダウンサイズとともに高級感を追求しているが、DS7クロスバックは一味変わっている。このフラッグシップSUVはエクステリアの装飾も多く、内装に使われる素材も1ランク上の贅沢なものだ。
その乗り味はと言えば、良い点も悪い点も多数ある。デジタル式メーターパネルは特徴的だが見にくく、内装の質感もずば抜けて優れているわけではないのだ。
乗り心地はソフトで快適とも言えるが、ときたま不安定さやハンドリングの不正確さが顔を見せるのが難点だ。
ただし良いところを見れば、XC40にも対抗できる点は多数ある。隠れたポテンシャルを秘めたクルマだ。
8位 プジョー3008
現在ホットなSUV市場において、3008のシャープなルックスが際立っている。たとえエンジンやハンドリング、それにインテリアがイマイチだとしても。
このクルマにかけているのはハンドリングの快活さだが、充実の標準装備や高品質な内装がそれを補っている。
SUVにしては小径すぎるステアリングに慣れるまでに少々の時間を要するかもしれない。それにプジョーのiコクピットのレイアウトは目を引くが、エルゴノミクス的には要改善だ。
3008の価格競争力は高いが、ライバル達に比べると車内空間もやや狭い。
7位 ジャガーEペース
ジャガーはFペースの成功に引き続き投入されたのがやや小型なEペースだ。曲線的なボディワークからも想像できる通り、このセグメントにおいて最も実用的な部類には入らない。しかしインテリアは豪華で、随所から高級感を感じられるだろう。
ジャガーのSUVに対しスポーティなドライビング・エクスペリエンスを求めるのであれば、この4気筒ディーゼルはやや期待はずれで、9速ATの動作も遅い。とは言え、どちらも大抵の場面ではスムーズかつ満足の行く働きをする。
ハンドリングも同様だ。最上位のターボ付きガソリンエンジンは確かに力強く、エキサイティングな走りを見せてくれるものの、ミドレンジ以下では特筆すべきものはない。
ステアリングのエンブレムを隠してしまえば、ジャガーのクルマを運転しているという感覚は乏しいのではないだろうか。
6位 アウディQ3
2世代目Q3はフラッグシップであるQ8にも似た傾斜を持つルーフが特徴だ。そしてホイールベースを延長したことにより後席のスペースが拡大している。
ベースモデルの1.5L 35 TFDIスポーツでも装備は十分で、LEDライト、MMIナビゲーション・プラス、それに10.2インチのバーチャル・コクピットやリアのパーキングセンサーが標準装備されている。
しかし洗練性やキャビンの統一感などについて言えば、このカテゴリーでも優秀なボルボXC40などには及んでいない。ディーゼルモデルに及んではメカニカル的な洗練度でも劣るだろう。
Q3のハンドリングはせそれほど正確だとは思わないが、十分に落ち着いた印象だ。ただし、マツダCX-5のような走りの楽しさは得られない。
5位 BMW X1
拡大中のBMWのSUVラインナップの中で最も小さく、最近アップデートされたX1は、実用性と走りの良さを求めるならおすすめの1台だ。
他のプレミアム・クロスオーバーと比較しても実用性、ハンドリング、インテリアのいずれも高い水準を満たしている。
レンジローバー・イヴォークよりは安価であるものの、より大衆向けのモデルに比べたら数千ポンド(約100万円)程度は効果だ。乗り心地は比較的硬く、実世界での燃費もそれほど良くはない。
プラグインハイブリッド仕様では56km程度の走行が可能であり、家で充電可能かつ1日の走行距離が多くないのであれば良い選択肢だろう。
総評として、X1は実用的かつSUVとクロスオーバー・ハッチバックの中間のようなクルマだ。室内空間とコンパクトさ、それにスポーティさに魅力を感じるひとには受けるだろう。
4位 フォルクスワーゲン・ティグアン
ティグアンはフォルクスワーゲンにとってゴルフとポロに次3番目に売れているモデルだ。フレキシブルで室内は広く、作りも良く快適で洗練されている。これで走りの楽しさが付加されたら、さらにその魅力は向上するだろう。
オプションの価格はやや高めで、インテリアもそれほど魅力的ではないが、それを補える質実剛健さが売りだ。
ドライビング・エクスペリエンスはどのグレードを選ぶかによって変わってくる。上位のパワフルなエンジンとアダプティブ・サスペンションを選択すれば、そのパフォーマンスやハンドリングも良好だ。しかし、ベーシックなグレードではその走りも平均的と言わざるを得ない。
高級感があるかと言えばそうでもないが、このセグメントではまずまずの出来栄えだ。
3位 マツダCX-5
現在市場に存在する中で最もルックスの良いSUVであり、その洗練性も先代から大きく向上した。燃費もまずまずで、ハンドリングもこのクラスでは随一だ。
CX-5のインテリアはソリッドかつスタイリッシュで、キャビンや荷室の容積も十分だ。CO2排出量は若干多めだが、ディーゼルを選べばトルクも十分だ。
他のライバルと比べ若干高い価格がネックとなるものの、標準装備のレベルは高い。
CX-5は楽しさ、質実剛健さ、それにファミリー使用にも耐えうる室内空間を兼ね備えており、なんでもできるクルマをお求めの向きにぴったりだ。
2位 ボルボXC40
ボルボのXC60やXC90に続く小型SUVの投入は大きな成功を収めた。このXC40はクラスをリードする魅力の持ち主だ。
カリスマ的なエクステリアデザインにより若いファミリー層へのアピールを強め、そのキャビンも贅沢で快適、それに実用性も高いものとなっている。コンパクトSUVの中で最も実用的とまでは言えないが、ラグジュアリーカーらしい雰囲気と先進のテクノロジーが売りだ。
XC40の乗り心地とハンドリングはボルボらしいもので、小型のファミリー4×4としてはもっともリラックスしたものだ。走りについては他のプレミアムブランドに追従することなく、ボルボは独自の快適かつ洗練された使いやすいクルマ作りに徹している。
SUVの使命がドライバーを日常の苦難から逃れさせることにあるのだとしたら、このクルマ以上の適役はないだろう。
1位 レンジローバー・イヴォーク
ランドローバーは2世代目となるレンジローバー・イヴォークの投入により、現在最も重要とも言える市場における優位性を確立した。新しいプラットフォームの採用によりマイルドハイブリッドのパワートレインを獲得、また先代よりもホイールベースが延長されたことによる室内空間の拡大が鍵となっている。
メカニカル面の洗練度、キャビンスペース、それに高級感が大きく向上した。実用性についてはクラス最高とまでは言えないものの、高い競争力を持っている。後席も大人が快適に過ごせる空間が確保されているが、高めのショルダーラインゆえその視界はやや限定的だ。
パワートレインはミドレンジのD180ディーゼルがおすすめだ。今までのランドローバー製4気筒ディーゼルよりもドライバビリディは高く、より洗練されている。パフォーマンスに関して言えばより小型軽量のライバルに及ばないが、必要十分なレベルにある。
レンジローバーらしく、イヴォークはこのクラスにしては高い次元の高級感を演出されており、やや高価格であることも十分に正当化できるだろう。
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