この記事をまとめると
■物心ついた頃のクルマの思い出を語ってもらう本連載
近所に比べて家のクルマが「激ダサ」と委縮! 物心ついた頃の思い出のクルマ【石橋 寛編】
■今回はまるも亜希子さんに語っていただいた
■初めて家にきたクルマは2代目カムリだったという
カムリは冠だからいいクルマ!?
日本のマイカーブームが盛り上がりを見せたのは70年代からですが、わが家にマイカーがやってきたのは少し遅く、80年代に入ってからでした。父が商社のサラリーマンとして働き始めてすぐの頃、25歳の時に長女である私が生まれ、母は専業主婦となったので、新婚当初はそれほど経済的に余裕がなかったのだろうと思います。
そんなわが家にやってきた初めてのマイカーは、トヨタ・カムリ。当時の私にはとにかく大きくて、いかついセダンという印象で、今になって写真を見返してみて、おそらくトヨタ初の横置きエンジンによるFFとなった、2代目カムリだったのだと気づきました。ボディカラーは白で、サイドに一本のラインが入っているのが品の良い感じ。カクカクと四角いボディに、ニョキッと生えたフェンダーミラーが昭和の古き良き王道セダンを思わせます。
スペックを見ると、ベースグレードの車両重量がなんと、990kgしかないんですね。今のロードスター990Sと同じ軽さとは、驚きです。1.8リッター直4エンジンの最高出力は100馬力。今では1.0リッターの3気筒エンジンでもそれくらいのパワーが出るので、時代を感じさせるところです。インテリアはあまり記憶がないですが、当時はお約束のレースのシートカバーがかかっていたのだけは、すごくよく覚えています。というのも、レースの小さい穴に指を入れて遊んでいて、ビリッと破いてよく怒られていたから(笑)。当時はあのレースのシートカバーが流行っていて、見た目だけでなく汚れ防止、日焼け防止に役立っていたのでしょう。窓にはサイドバイザーもしっかりついていました。父がタバコを吸っていたので、「これがあると雨の日でも窓を開けてタバコが吸えていい」なんて言っていたのをうっすらと覚えています。
※レースのシートカバーのイメージ
そして、なぜカムリだったのか。これに関して、いかにも高度成長期の厳しいサラリーマン社会を彷彿とさせる、父の言葉がすごく印象に残っているのです。セダン全盛期で、ファミリーカー=セダンだった時代ですから、いろんな車格のセダンがラインアップしているなか、やはり上司よりいいクルマを買うわけにはいかないと。役員クラスはクラウン、部長クラスはマークII、課長・係長クラスはそれ以外でないと目をつけられるということでしょう。
でも負け惜しみなのか、「飲み友達に言われたことだが、クラウンは“食らう”、マークIIは“まぁ苦痛”だろ、カムリは冠だからいちばんいいんだぞ」とダジャレ混じりの言葉に、子どもながら「そっか、うちのクルマはいいクルマなんだ」と誇らしかった私でした。
でも本当に、4.4mという全長のわりにホイールベースが2.6mと長く、室内は5人家族のわが家でもゆったり。後席に子ども3人で座り、カセットで流れる曲を大声で合唱しながらドライブした思い出は、いつまでも忘れないと思います。それに、クラウンは大変身を遂げ、マークIIは姿を消した今、ハイブリッドになったとはいえカムリは正統派セダンとして現役続行中。もちろんデザインはまったく変わってスポーティになっていますが、やっぱり街中でカムリを見ると、幼い頃の家族での楽しいドライブが蘇って嬉しくなるので、ずっとずっと頑張ってほしいと願っています。
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みんなのコメント
カムリが一番らしい形で残ってるという現実。