ヒット車にはもちろん「売れているだけの理由」があるはず。当企画では、ヒットを飛ばしているモデルをとりあげ、そのクルマの魅力の部分も含め、なぜ売れているのかを検証していくバイヤーズガイド! そのクルマの“魅力のツボ”がわかってくる!(本稿は「ベストカー」2013年7月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺陽一郎、斉藤 聡、国沢光宏、片岡英明
超激戦区で大人気!! 初代トヨタアクア 3代目スズキスイフト&2代目ソリオ 2代目日産ノートが売れた理由
【画像ギャラリー】初代アクア 3代目スイフト 2代目ノート 2代目ソリオ……超激戦区コンパクトカテゴリーで売れたクルマたちの「売れた理由」(6枚)
■トールワゴンタイプのポルテやソリオなどが人気!
トヨタ 2代目ポルテ/スペイド……全長3995×全幅1695×全高1690mm/エンジン:1.5L直4(109ps/13.9kgm)/JC08モード燃費:19.0km/L(F 2WD)
以前はミニバンの販売が好調だったが、今は全高が1700mmを超える一部の車種しか売れない。目新しさが薄れ「大勢乗せたり、たくさん積む」ユーザーしか買わなくなった。
ミニバンを手放した後は、小さなクルマに代替え。特にポルテ&スペイドは、ミニバンの3列目が不要になったユーザーに最適なクルマといえる。背が高くスライドドアも備わり、居住性や乗降性はミニバンに近い。価格は70万円ほど安く、燃費性能も良好で人気。
ソリオは「身内のスペーシアに顧客を奪われている」(販売店)というが、全長と全幅はコンパクトカーの最小サイズ。そのいっぽうで背が高く車内は広い。優れた実用性と運転のしやすさを両立させ、販売は堅調だ。
ノートは売れ筋の価格が150万円弱で、JC08モード燃費は24.0km/Lと優秀。立体駐車場を使える全高なのに車内は充分に広い。また、この4年ほどの間、日産から売れ筋になるコンパクトカーの新型車が登場していなかったので潜在需要がノートに集まり、人気を高めた。
(TEXT/渡辺陽一郎)
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■トヨタ 2代目ポルテ/スペイド(145万~174万円)
こちらがスペイド。2012年7月にフルモデルチェンジした2代目ポルテと同時に発表・発売された。全長3995×全幅1695×全高1690mm
ハイト系コンパクトカーのなかで最も新鮮味があり、デザインもフレンドリーだから安定して売れている。2枚のスイングドアに1枚のスライドドアを組み合わせた変則的なドアレイアウトだが、利便性は高く、フロアも低いから子どもやお年寄りでも乗り降りしやすい。荷室にも工夫が行き届いている。
また、巧みなパッケージングによって広いキャビンスペースを確保した。アップライトな姿勢で座るから見晴らしがいいし、後席も気持ちよく座れる。ちょっと割高に感じるが、手強いライバルがいないし、魅力が多いから販売上位を独占した。(TEXT/片岡英明)
●オーナーズVoice(神奈川・Iさん)
・車両感覚がとてもつかみやすいです
・助手席のスライドドアは便利ですね
●人気グレード
・1位…F(33%)
・2位…G(31%)
・3位…X(24%)
●人気オプション
・1位…HIDパッケージ(5万5000円)
・2位…スーパーUVカットパッケージ(2万円)
・3位…ナビレディパッケージ(2万円)
●販売台数(1~4月)…3万512台
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■スズキ 3代目スイフト(124万4250~165万3750円)
スズキ 3代目スイフト……全長3850×全幅1695×全高1510mm/エンジン:1.2L直4(91ps/12.0kgm)/JC08モード燃費20.6km/L(XG 2WD/CVT)
ボディやサスペンションをしっかり作り込んだクルマのよさは誰にでもわかる。このクルマの売れている理由の本質はそこにある。
ほかの自動車メーカーが徹底的なコスト削減を図って作っているクラスに、ボディやサスペンションにコストや手間暇をかけ作り込んでいる。そもそもクルマ作りのアプローチからして違うのだ。
やや間口の狭いリアハッチ開口部を指摘すると、「ボディ剛性に効きますから」という答えが間髪をいれず返ってくるのだ。クルマのよさはユーザーにもわかるという好例。(TEXT/斎藤 聡)
●オーナーズVoice(千葉・Mさん)
・(MT車の)クラッチは軽くて、扱いやすい
・こんなに楽しいクルマなのに安い!
●人気グレード
・1位…XG(40%)
・2位…RS(30%)
・3位…スポーツ(20%)
●人気オプション
・1位…CDプレーヤー(XG・2万1000円)
・2位…ディスチャージヘッドランプ(XL・XS・6万3000円)
※スイフトのメーカーオプションは上記2つのみ
●販売台数(1~4月)…1万1537台
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■トヨタ 初代アクア(169万~194万円)
トヨタ 初代アクア……全長3995×全幅1695×全高1445mm/エンジン:1.5L直4+モーター(システム出力100ps)/JC08モード燃費35.4km/L(S)
5ナンバーサイズのプリウスだ。人気の理由は抜群の燃費のよさと、手頃なボディサイズ。ハイブリッドといえばプリウスがその代名詞になっているが実際に目の当たりにすると案外デカイ。
街中での取り回しを考えるともう少し小ぶりなほうが使い勝手がいい、そんな声にぴったりはまっているのがアクアだ。
2代目プリウスとエンジン型式は同じだが、細部にわたって改良が加えられ、燃費性能がさらに高められた。なかでも得意とするのが街中や渋滞路での燃費のよさ。街乗りメインで使うならアクアにかぎるというくらい燃費がよく取り回しがいい。(TEXT/斎藤 聡)
●オーナーズVOICE(東京・Kさん)
・燃費のよさと経済性
・飽きのこないデザインで、よく見ると個性的でいい
●人気グレード
・1位…S(60%)
・2位…G(35%)
・3位…L(5%)
●人気オプション
・1位…スマートエントリーパッケージ(5万5000円)
・2位…オーディオパッケージ(2万円)
・3位…スペアタイヤ(2万円)
●販売台数(1~4月)…9万7867台
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■日産 2代目ノート(124万9500~184万2750円)
日産 2代目ノート……全長4100×全幅1690×全高1525mm/エンジン:1.2L直3+SC(98ps/14.5kgm)/JC08モード燃費24.0km/L(X DIG-S)
一時期は伸び悩んでしまったが、ここにきて値引きに代表される購入条件を緩くしたため、順調なペースで売れている。
最大のライバルであるフィットがモデル末期を迎えているのに加え(そもそもアイドルストップが付かないなど競争力は低くなっている)、身内のマーチのユーザーまで引っ張ってしまってます。
実際、マーチを見にいってノートを買っているユーザーが多いという。したがって台数は頑張っているものの、日産全体で考えればそう喜んでいられない。マーチの販売台数が伸びてきた時に、ノートも売れていれば本当の意味での成功だ。(TEXT/国沢光宏)
●オーナーズVoice(埼玉・Fさん)
・1.2L+SCは低速トルクがあってとても運転しやすい
・後席の広さ
●人気グレード
・1位…X(34.6%)
・2位…X DIG-S(33.6%)
・3位…MEDALIST ( 15%)
●人気オプション
・1位…アラウンドビューモニタ(6万3000円)
・2位…VDC(6万3000円)
・3位…15インチアルミホイール((8万4000円)
●販売台数(1~4月)…6万1777台
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■スズキ 2代目ソリオ(138万2850~174万7200円)
スズキ 2代目ソリオ……全長3710×全幅1620×全高1765mm/エンジン:1.2L直(91ps/12.0kgm)/JC08モード燃費:20.6km/L(バンディット 2WD)
最大の魅力はパッケージングのすばらしさだ。
軽自動車よりちょっと大きいだけのサイズだが、トールデザインの利点を活かし、前席も後席も広く居心地がいい。後席をダイブダウンしてフラットな荷室を生み出すことができる。
スライドドアの採用とともに使い勝手のいい荷室は魅力のひとつといえるだろう。
背が高く、不安定に見えるが、走りの実力もクラス平均を超えている。エンジンは街中の走行シーンで扱いやすく、実用燃費も悪くない。フットワークも思いのほか軽快でコントローラブルだ。追加されたバンディットも販売力アップに貢献している。(TEXT/片岡英明)
●オーナーズvoice(静岡・Rさん)
・室内空間の広さ
・スライドドアの採用は友人からも高評価
・1.2Lなのによく走る
●人気グレード
・1位…バンディット(25%)
・2位…BLACK&WHITEII(BLACK&WHITE含む)25%
・3位…X(15%)
●人気オプション
・1位…バックモニター付きCDプレーヤー(4万7250円)
・2位…ディスチャージヘッドランプ(X・6万3000円)
・3位…SRSカーテンエアバッグ&ESP(8万4000円)
●販売台数(1~4月)…1万1452台
(内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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