現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダの幻のグレード「タイプV」! S2000にのみに設定されたがハッキリ言って「失敗」だったその中身とは

ここから本文です

ホンダの幻のグレード「タイプV」! S2000にのみに設定されたがハッキリ言って「失敗」だったその中身とは

掲載 20
ホンダの幻のグレード「タイプV」! S2000にのみに設定されたがハッキリ言って「失敗」だったその中身とは

 この記事をまとめると

■ホンダS2000には「タイプV」が設定されていた

やっぱりホンダは「Sシリーズ」がなきゃダメだろ! 「Sの血統」を振り返ったらすべてが胸熱だった

■「タイプV」には「VGS」という独自のステアリング機構が搭載されていた

■旋回時に安定した操作が可能と謳われていたがとにかく乗りにくかった

 ホンダ車のなかでS2000にのみ設定された「タイプV」

 日本国内では1999年4月から2009年9月まで販売されていたFRのピュアオープンスポーツカー、ホンダS2000。その約10年間の歴史のなかで、S2000は着実に進化を続けていったが、デビューから1年後の2000年7月、「タイプV」という新グレードが追加される。

 ホンダ車のなかでこのS2000以外の後にも先にも設定されていない「タイプV」とは、一体何者だったのだろうか?

 S2000に2台14年間乗り続けており、S2000の現役当時にホンダベルノ店で営業スタッフとして販売していたこともある筆者が、独断と偏見に満ちた目で振り返りたい。

 S2000タイプVとは、簡潔にまとめれば「VGS(Variable Gear ratio Steering:車速応動可変ギヤレシオステアリング)」という独自のステアリング機構を搭載したグレードのこと。

 車速と舵角に応じてステアリングのギヤレシオを無段階に変化させるほか、ロックトゥロックを標準仕様の2.4回転から1.4回転へと大幅にクイック化。また、専用のフラットボトムステアリングホイールを標準装備したのが、大きな特徴だ。

 これを実現するメカニズムとして、前輪を転舵させるステアリングラックに噛み合うピニオンギアの回転軸と、ステアリングホイールにつながる入力軸との間隔をモーターで制御。

 低中速域または大舵角時にはこの軸間を狭めて入力軸の伝達比を上げ、少ないステアリング操作で大きくピニオンギアを動かす一方、高速域かつ小舵角時には軸間を広げて入力軸の伝達比を下げることで、急激な挙動変化が起きにくいよう配慮している。

 また、このVGS搭載に合わせ、シャシーも専用セッティング(デビュー当時)。前後ダンパー内にリバウンドスプリングが新設されるとともに減衰力が高められ、スタビライザーもインリフトを抑えるよう設定変更。トルセンLSDの駆動力配分比率も変更するなど、レスポンスの高いハンドリングに対応する安定性重視のチューニングが施された。

 理屈ではいいことばかりに感じるも実際は乗りにくかった

 これらの結果、ワインディングや発進・車庫入れでは少ないステアリング操作量でレスポンスよくクルマが曲がり、大舵角が必要なタイトコーナーや緊急回避時は旋回中の切り増しがしやすくなり危険回避性能が向上。高速域かつ小舵角時は標準仕様と変わらない特性のため、高速道路でのレーンチェンジや旋回時は安定した操作が可能、とホンダは主張していたが……。

「とにもかくにも乗りにくい」、これが筆者の偽らざる本音である。

 いまとなっては一般化した感のあるフラットボトムステアリングホイールと、1.4回転という極小のロックトゥロックは、決して好ましくはないものの、慣れて我慢することはできる。

 しかし、車速と舵角に応じてステアリングギヤレシオが無段階に変化するのは、どれほど長く乗り続けても慣れることはなく我慢することもできなかった。

 というのも、ステアリング操作量と実際の前輪切れ角、またヨーの出方が一定かつリニアではないどころか、状況に応じて常に変化するため、車両の挙動に応じた適切な操舵角の先読みがほぼ不可能に近い。また、旋回中に舵角を一定にキープするのも難しいからだ。

 S2000は標準仕様も少なからずクイックなハンドリング特性の持ち主だが、それでも舵角に対するヨーの出方はリニアで、また旋回中の修正舵もほぼ必要としないため、速度域を問わず安心してコーナリングを楽しむことができる。

 しかしVGSは、そうしたS2000の美点を完全に台無しにする、およそスポーツカーには不向きなメカニズムにほかならない。

 そのため筆者は、ホンダベルノ系ディーラー在籍時、S2000の標準仕様は熱心に勧めても、タイプVを自分から売り込んだことは一度もない。また、3年弱という短い在籍期間だったが、S2000を5台販売したなかでタイプVは1台に留まっている。

こんな記事も読まれています

これまでの日産車とは全く違う!? しかもPHEV!な『エヴォ・コンセプト』…北京モーターショー2024
これまでの日産車とは全く違う!? しかもPHEV!な『エヴォ・コンセプト』…北京モーターショー2024
レスポンス
なぜ「高速の渋滞」起きる? 交通量だけじゃない意外な「原因」 日本イチの渋滞「東名・大和トンネル付近」のイマは?
なぜ「高速の渋滞」起きる? 交通量だけじゃない意外な「原因」 日本イチの渋滞「東名・大和トンネル付近」のイマは?
くるまのニュース
一体どんな対応をしてくれる? バイクの騒音被害を通報した際の警察の対応とは
一体どんな対応をしてくれる? バイクの騒音被害を通報した際の警察の対応とは
バイクのニュース
プレステージ電動SUVクーペのアウディQ8スポーツバックe-tronに一充電走行距離619kmを実現したレンジプラスパッケージを設定
プレステージ電動SUVクーペのアウディQ8スポーツバックe-tronに一充電走行距離619kmを実現したレンジプラスパッケージを設定
カー・アンド・ドライバー
24時間で10万台を受注!話題の「スマホ屋のスーパーEV」に人気殺到…北京モーターショー2024
24時間で10万台を受注!話題の「スマホ屋のスーパーEV」に人気殺到…北京モーターショー2024
レスポンス
“どこへでも行き、生きて帰ってこられる”究極のキャンピングカーを欧州で発見! トヨタ「ランクル70」ベースのゴツいトラキャンがカッコいい
“どこへでも行き、生きて帰ってこられる”究極のキャンピングカーを欧州で発見! トヨタ「ランクル70」ベースのゴツいトラキャンがカッコいい
VAGUE
JLR レンジローバーの25MYは出力アップとLWBにディーゼル・マイルドハイブリッドをラインアップ
JLR レンジローバーの25MYは出力アップとLWBにディーゼル・マイルドハイブリッドをラインアップ
Auto Prove
これは便利!スマホとつなげてカーナビアプリを操作できるnpdのディスプレイオーディオ「NPD-A100」
これは便利!スマホとつなげてカーナビアプリを操作できるnpdのディスプレイオーディオ「NPD-A100」
@DIME
片道2万円の完全個室「高速バス」 わずか11席の“超リッチ”仕様!? 新幹線よりも高価な「ドリームスリーパー」とは
片道2万円の完全個室「高速バス」 わずか11席の“超リッチ”仕様!? 新幹線よりも高価な「ドリームスリーパー」とは
くるまのニュース
「木を見て森を見ず」 バスドライバー不足で「給料上げろ」ばかりを騒ぎ立てる有識者の功罪
「木を見て森を見ず」 バスドライバー不足で「給料上げろ」ばかりを騒ぎ立てる有識者の功罪
Merkmal
キャリイにハイラックス! アジアのモーターショーで「トラック」が熱視線を浴びるワケ
キャリイにハイラックス! アジアのモーターショーで「トラック」が熱視線を浴びるワケ
WEB CARTOP
マツダがラージ商品群第4弾となる新型3列シートSUVの「CX-80」を欧州で初公開
マツダがラージ商品群第4弾となる新型3列シートSUVの「CX-80」を欧州で初公開
カー・アンド・ドライバー
え?これですか?電動ゲレンデヴァーゲンです 見た目も乗り心地もGクラスそのもの 電動Gは愛好家からどう受け止められるだろうか
え?これですか?電動ゲレンデヴァーゲンです 見た目も乗り心地もGクラスそのもの 電動Gは愛好家からどう受け止められるだろうか
AutoBild Japan
日産「新型スカイライン」まもなく発売 史上“最強”「匠の手組みエンジン」搭載! 旧車風デザインの「超特別モデル」 何が違う?
日産「新型スカイライン」まもなく発売 史上“最強”「匠の手組みエンジン」搭載! 旧車風デザインの「超特別モデル」 何が違う?
くるまのニュース
ニュルブルクリンクで試験中を捕捉!! トヨタ・スープラの最高峰「GRMN」
ニュルブルクリンクで試験中を捕捉!! トヨタ・スープラの最高峰「GRMN」
レスポンス
【試乗速報】ホンダ新型CBR1000RR-R「マイチェンの域を超えている!! 従来と同じ218馬力なのに、20馬力アップしたような力強さ」
【試乗速報】ホンダ新型CBR1000RR-R「マイチェンの域を超えている!! 従来と同じ218馬力なのに、20馬力アップしたような力強さ」
モーサイ
24年GWの「高速道路渋滞」後半4連休が“激コミ”の予想! どの車線が早く進む? 一般道への迂回は逆効果ってホント!?
24年GWの「高速道路渋滞」後半4連休が“激コミ”の予想! どの車線が早く進む? 一般道への迂回は逆効果ってホント!?
くるまのニュース
RIP SLYME、Crystal Kayの出演も決定! ハーレー主催の「ブルスカ」参加アーティストを発表
RIP SLYME、Crystal Kayの出演も決定! ハーレー主催の「ブルスカ」参加アーティストを発表
バイクのニュース

みんなのコメント

20件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

386.4399.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

158.0935.0万円

中古車を検索
S2000の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

386.4399.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

158.0935.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村