モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、全日本GT選手権に参戦したS15型の日産シルビアです。
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生産終了からおよそ20年経つ今もなお、ドリフトやサーキットでタイムアタックを楽しむ愛好家やファンに愛され続けている日産のS15型シルビア。
S15は、D1グランプリなどといったドリフト競技でも未だタイトルコンテンダー級のマシンとして活躍を続けているが、新車が発売されていた当時、S15は全日本GT選手権(JGTC)のGT300クラスに参戦し、サーキットレースでも“シルビア、速し”と、活躍を見せつけていた。
S15がJGTCにデビューしたのは、市販車が登場した同じ年である1999年のこと。それまでにもニスモは、S14型をカスタマー向けに開発し、GT300クラスを戦っていた。チャンピオンを獲得したこともあったが、S15になってからは、さらなるポテンシャルアップを果たしていた。
S15は、S14と比較するとボディサイズがひと回り小さくなり、スラントノーズで全高も下がっている。
もともと、レーシングカーに適したベース車両でもあったのだが、S14のウィークポイントであった空力の悪さを改善するため、ダウンフォースを減らしてでも、ドラッグを減らすというコンセプトで、S15のGTカーは開発された。
それによって、ドラッグを減らすという目標は達成したのだが、同時に予想以上のダウンフォースを得ることに成功。この改良の効果もあって、S15はデビューシーズンの開幕戦から速さを見せつけ、シリーズ7戦すべてで、ザナヴィARTAシルビアとダイシンシルビアの2台のS15がポールポジションを奪取している。
決勝でもザナヴィARTAが7戦中3勝をマークしたものの、タイトル争いでは、最終戦もてぎでの熾烈な争いの末に1点差で敗北。チャンピオンを獲得することはできなかった。
翌2000年は、ライバル車も戦闘力をアップしてきており、S15は前年ほどの速さを発揮することができなかった。そしてシルビアは2001年、大きな改良が施されることになった。
まず、トランク内に置かれていた安全燃料タンクを室内、リヤシートの位置へと移設し、重量物を重心位置に近づけることで、運動性能を向上させた。
さらに、モノコックもロールケージを後方へ延長し、パイプフレームとして流用することにより軽量化を図った。
さらに、ジオメトリーの自由度を増すのとともに重心を下げるため、リヤサスペンションをプルロッド形式で作るなど、さまざまな箇所にモディファイが加えられた。
こうして新シーズンに投入された2001年型シルビアは、見事ダイシンが同年2勝をマークして、S15型では初のシリーズチャンピオンを獲得した。
翌2002年もユニシアジェックスシルビアがシリーズ3位に入り、2年連続で上位争いを繰り広げていたが、この年限りで市販車のS15が生産を終了。2003年からはGT300における主戦力の座を徐々にZ33型のフェアレディZへと明け渡していくのだった。
市販車が売られていたわずか4シーズンの間、特にデビューイヤーの全戦ポールの偉業を成し遂げるほどのS15の速さは、今もなお色褪せない記憶としてGT史上に残り続けている。
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