ロールケージや6点式ベルト、スポーツサスを標準装備
12月に幕を閉じたヴィッツレースを引き継ぐ形で、2021年に始まるトヨタのエントリー向けレースイベント「ヤリスカップ」。そのレース用マシン「ヤリスカップカー」もTRDによって架装され、リリースされることが発表されました。
カップカーのベースとなるのは、5ドアの「ヤリス」で、3気筒 1.5Lエンジン(M15A-FKS型)搭載車です。ナンバー付きレースなので公道走行可能で、なおかつモータースポーツ用のパーツを装着した状態で販売されます。
「ヤリスカップ」での使用を前提として装着されるアイテムは、6点式+サイドバーのロールケージ、リアの減衰力調整が可能なスポーツサスペンション、エンジンの耐久性を確保するオイルクーラー、サーキット内でのけん引時に必要となるフロントトランスポートストラップとリアトランスポートフック、6点式シートベルトになります。さらストリートユースとして嬉しいのはロールケージに干渉しないように専用設計となったフロアマットも付属してくること。また、ワンメイクレースの規則に合わせてエンジンは封印されています。
車両データとGPSによる位置情報を記録できるデータロガー「TOYOTA GAZOO Racing Recorder」もオプションとして設定(13万2000円)。サーキットでの走りをデータで分析してスキルアップにつなげることができます。
ラリーの入門モデルにも最適。CVTモデルも用意される
注目は6速MT仕様に加えて、CVT仕様も用意されていること。2ペダルでのモータースポーツの幅を広げてくれるのはもちろん、AT限定免許でもモータースポーツが楽しめるというわけです。
とはいえ、ヤリスカップだけをターゲットにしているわけではなさそうです。その証拠にヤリスカップカーのリーフレットには「レース、ラリー等による過酷な走行、エンジンの過回転。過積載等に起因する不具合については保証されません」という文言が確認できます。レースだけでなく、ラリーで使われる可能性も考慮しているということでしょう。
いま日本のラリーでは実質的にオートマクラスとなっているカテゴリーが非常に盛り上がっています。また、「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ」として開催されているビギナー向けのラリーイベントにもヤリスカップカーはぴったり。WRCのイメージを受け継ぎ、ラリーの世界もターゲットにしているといえそうです。
CVT仕様であればAT限定免許でもモータースポーツ用のBライセンスを取得すれば参戦可能です。ヤリスカップカーではCVTに限って大型の空冷オイルクーラーを装備して、耐久性を確保しているのも見逃せません。もっともラリーに出場するのであれば路面と干渉したときにエンジンなどを守るアンダーガードなどの追加装備は必要になるでしょうし、サスペンションもラリー向けのものが必要となります。
専用装備を考えるとバーゲンプライス
価格は6速MTが217万1100円、CVT仕様が238万100円。快適装備の有無などがあるので、単純にカタログモデルとは比較できませんが、ヤリスのXグレードの価格は6速MTが154万3000円、CVTが159万8000円となっています。前述したようにロールケージや専用フロアマット、スポーツサスペンションといった内容を考えるとバーゲンプライスといっても過言ではありません。寒冷地仕様も選択できます。
この手のモータースポーツ車両というと白ボディしか選択肢がないというケースが多いのですが、ヤリスカップカーはレッドやグリーン、ブルーにボルドーなど全12色を設定しているのも“ナンバー付き”のレースマシンならではといえそうです。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
ましてや最近のスポーツカー・スポーツグレードは、どちらかと言うと高級車・高級グレードだから、余計なモンが付きすぎてる。それだけで若干萎える。